一章 魔王さまによる迷宮《ダンジョン》ぶっちゃけ解説 - 09 - ラスボス戦決着
一章 魔王さまによる迷宮ぶっちゃけ解説 - 09 - ラスボス戦決着
ここでまた画面の映像が、迷宮からのものに切り替わり、魔王バランはワイプに表示される。
「今回もすんなりいったね。君達さぁ、うまくいく度舌打ち書き込むんじゃないよ。トラブルがあるとスタッフは大変なんだから、それを期待するのは人としてどうよ、って話だよ? えっ? 俺は人じゃないだろうって? そういうツッコミ入れたくなる気持ちはわかるけど、今は映像見ようか」
迷宮からのライブ映像は、引きで取られていて、魔人とパーティの両方が映っている。
魔人も冒険者達も傷ついてはいるが、パーティの方はまだ全員が健在で勝敗は決したような感じになっている。
「冒険者は全員残ってるから、さすがに魔人の逆転はムリそうだね。現実問題として、よっぽどの実力差がないと数の不利をひっくり返すのって無理なんだよ。
しかも、最深部までたどり着いたパーティって、さんざん経験積んで強くなってるから、いくら強くても迷宮にいるような魔物じゃ、勝てないように結果的になってしまうんだ。
今見ているライブ映像がその良い例だよね。最初は一見互角の闘いをしていたようだけど、あらゆる条件での闘いを繰り返してき冒険者のパーティは着実に魔人を追い込んでいってたんだ。
卑怯じゃないのかって? それも合わせて、パーティなんだよ。ラスボス戦じゃないけど、右の二人組のパーティも強そうな魔物と闘ってるよね。しかも、十匹組の魔物だね。それを分断させながら闘うことで、数の不利を帳消しにする戦い方をしている。
これが、経験をつむってことなんだ。魔物の本質として、連携をして闘うってことができない。だから、数だけ多くの魔物が現れても、一対一の戦闘を連続で繰り返す的な流れになってしまうんだ。
それじゃ、左側の魔人戦に戻るよ。冒険者達の方は全員が傷ついているように見えるけど、誰一人として致命傷を負ってないよね。おっ、今魔人が起死回生の攻撃魔法を使ってきたね。
冒険者の魔法使いがアンチマジックの呪文で、威力を半分以下に押さえ込んだ。全体攻撃で分散しているから、これで十分耐えられることを魔法使いは知ってるんだね。
ダメージは受けるけど、その分を攻撃に回せるから魔人をより多く攻撃できる。実に合理的な判断だ。一方起死回生を狙った魔人の攻撃は、相手の体力を削ったけどまったく数を減らすことができなかった。
なけなしの魔力を使い切ってしまった魔人は完全に詰んだみたいだね、これは。僧侶が武器にエンチャントしたね。戦士二人が前に出るよ。魔法使いが魔法で牽制して、戦士二人が魔人を前後から挟撃するつもりだね。
ほら、いった。魔人が攻撃魔法で怯んだ空きに戦士二人が飛び込んで、前後から同時に最強の技をぶつけた。終わったね。あっさりしすぎじゃない、とか書き込んでるけど、彼らが戦ってる途中は放送してなかったってこと忘れちゃだめだよ。もっとも、俺が切り替えさせて放送してたんだけどね。で、中継終わっていいよ。画面こっちにもどしてくれない?」




