表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
一章 舞い降りたモンスターテイマー
9/104

7話 ダートフロッグ2

前回のあらすじ


 ダートフロッグを1体倒したユウスケは、肉と魔石をレイに食べさせて、ステータス上昇値の比較を行う。

 結果、肉より魔石の方が上昇率が高いことが判明。

 結果に確信を持つ為、さらなる比較を行おうとしたユウスケは、依頼完了に必要な部位の持ち運び方法に頭を抱えるのであった。



---------------------------------------



「7匹分ってどんな量だよ! いや今更だけども!」


 町を出るときに気付かなかった俺の失態、勘弁してくれ。

 これじゃ良くて2匹分しか持ち運べないぞ……


 こんな時にパーティメンバーとかが居たら……それでも3人で6匹分くらいか……


 ちらっとレイを見る。

 レイは……運べないよなぁ。

 体の上に乗っけても、せいぜい1匹分だろうし、そもそもレイは俺が持ち運ばないと遅くて大変だし。


 それでも呟かざるを得なかったのは、やはり2匹倒して町と往復するのは勘弁して欲しい俺の思いからだった。


「なぁレイ……これ、運べないか?運べないよなぁ……」


 ダートフロッグの足を担いだ俺は、レイの近くに置いてあったダートフロッグの舌を見ながらそう呟いた。

 すると、レイはぷるんとした後、舌に向かって進み始めた。


「持ってくれるのか?可愛いなぁ……でも舌だけ持ってもらっても結局足が…え?」


 レイは舌に覆いかぶさり、体内に吸収した。


「待ってぇ! それ大事なやつなのぉ! 待ってレイちゃぁん!!」


 俺はダートフロッグの足を放り投げてレイへと近づくが、もう遅かった。


「あぁ……」


 なんかどっと疲れが来てうつ伏せに倒れた。いやレイは悪くないぞ、まだ0歳なんだし。

 俺が頼ったからそうなった。でも辛い。


 レイは舌を吸収した後ぷるぷると震えて俺を見ている?ような気がした。

 なんとなくぼんやりと、運ぶ、みたいな意思を感じる。


「……レイ?」


 レイがぷるんとすると、体の上からポンと何かが飛び出した。


「ダートフロッグの舌……」


 なんだ? 吸収してなかったのか?


「レイ、もしかして、体内に保存できるのか?」


 レイはぷるぷるしている。

 俺はレイの目の前にダートフロッグの舌と両足を置いて、もう一度レイに言う。


「なぁレイ、これ、全部運んでもらえるか?」


 レイはひときわ大きくぷるん! と震えると、全てを体内に取り込んだ。


 ステータスを開く。



-

レイ

0歳

種族:スライム

状態:普通


Lv1


HP 32/32

MP 7/7


STR:4

VIT:6

INT:2

DEX:3

AGI:2


【所持スキル】

悪食

格納

-



 確かにステータスは変わってない。それに、


「格納……。」


 新しいスキルを手に入れていた。

 格納の文字が点滅していたので、触れてみる。

 すると、格納リストが表示された。


ダートフロッグの舌×1

ダートフロッグの足×2


「レイ!! すごいぞ!! これはすごいぞ!!」


 俺はレイを持ち上げてくるくる回った。


 すごい。この能力は俺が冒険するにあたって一番重宝すると言っても過言ではないスキルだ。

 しかしスライムってこんなスキル覚えたのか。ステータス上昇といい、格納といい、まさに冒険者の為に生み出されたような存在だな。


 しかしこれで、町を往復する必要も無くなったし、あと6匹のダートフロッグを狩ることに集中すればいい。


 レイ、愛してる。モン娘より好きになっちゃう可能性ある。


 俺はものすごく上機嫌になりながら、次のダートフロッグを探し始めた。






 ダートフロッグを狩り始めて1時間半くらい。俺は最後のダートフロッグと対峙していた。

 正確には、ダートフロッグ2匹と睨み合っていた。


 5匹目までは順調に狩っていった俺だが、2匹出てきたとなればまた話は別だった。


 目の前の2匹のダートフロッグは、前後に並ぶように居た。

 しかも後ろの奴、若干動きが早い。レベルが高いのかもしれない。


 後ろのダートフロッグまで回り込んで、また横から剣を振り下ろす戦法で行くか…?後ろのダートフロッグさえ倒してしまえば楽そうだ。


 そうと決まれば、早速横に回り込もうと左回りに走り始める。

 ダートフロッグはこちらを追って身体を動かす。

 後ろのダートフロッグはやっぱりちょっと動きが早い。

 でも、横に回り込めない速度じゃなかった。


 横に回り込んで剣を振り下ろし、即座に距離を取る。

 肉を斬る感触にはちょっと慣れてきたので、手の震えもない。


 ダートフロッグは肉を斬られ、苦痛の表情で地面を叩く。

 また横にキープしつつ、素早く近寄って先程出来た傷に向かって剣を振り下ろす。


 しかし、ダートフロッグは後ろ足で地面を蹴り、ジャンプした。


「ッ! うわっ!」


 何も捉えずに空振りした俺は少し体勢を崩す。

 ダートフロッグに向き直ると、斬りかかったダートフロッグは無傷のダートフロッグの後ろに回っており、無傷のダートフロッグは俺に向かって大きな口を開けていた。


 俺とダートフロッグの距離は、2m程。ゴム状に伸びる舌なら、瞬間的にここまで届くかもしれない。

 俺は左腕に付けていた盾を前に構えた。直後、ダートフロッグの舌が伸びてきた。狙われた場所は、足。

 俺の右足に、強い衝撃が走った。


「ぐぁ、痛ってぇ!」


 後ろに転がる。痛みの走る足を動かし、少し距離を取る。


「っつぅ……」


 ダートフロッグへと視線を向ける。

 ダートフロッグは2匹ともこちらを向いていた。


(とにかく動き回って、口を開けるタイミングを作らせないようにしないと。)


 一度傷を作ったダートフロッグへと標的を絞り、横へと走り出す。

 横へ回り込み、剣を振り下ろす。

 傷を作った場所ではなく、身体の当たるところへ。

 ダートフロッグは痛みにもがく。


 今度は距離を取らずにもう一撃、傷に向かって突きを繰り出した。俺の剣は、ダートフロッグの身体に深く刺さった。剣を引き抜き、ここで距離をとる。

 無傷のダートフロッグがこちらに向き直す直前くらいだった。すぐさま左回りに走り、傷を負っているダートフロッグの背後に回ると、剣を振り下ろす。


 傷だらけのダートフロッグは、背後からの一撃を受けて動かなくなった。

 よし、1匹は倒した。次は残りの1匹だ。


 これまでと同じように横に回り込みながら一撃ずつ入れていく。

 そうして2匹目も、問題なく倒す。



 こうして、ダートフロッグ討伐依頼は無事完了した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ