表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
四章 知るモンスターテイマー
79/104

72話 意外な来客

 冒険者ギルドでゴブリンの討伐を受けた俺は、早速ゴブリンの討伐へと向かうべく『浪々楽々(ろうろうらくらく)』へと向かっていた。

 何故かって? そりゃシロナとヒサメを連れて行く為さ。

 俺とレイだけでも討伐できないこともないけど、やっぱ時間掛かるし、数狩る時は人数多いに越したことはない。

 それに、シロナやヒサメが居ない時間を作らないとニーアもリラックス出来ないだろう。


 という訳で、宿の前についたんだけど、何やら中が騒がしい。

 片方は女性の……多分リーニャの声だ。

 それでもう片方は、男性の声? でもダートンの声ではない。

 かと言って他に誰がいるんだと思い返しても皆目検討もつかないわけで。


 まぁいいや、どっち道避けては通れぬ道だ。

 今まで数々の厄介事に首を突っ込んできた実績もある。

 今回だって乗り切れるさ……


 と、宿の入口を豪快に開いた俺の目に飛び込んできたのは。


「お願いします! お願いしますから!」


「いっ、いや、だからユウスケが居ないと判断が……。」


 ちょっと小太りのオッサンが、リーニャに土下座している姿だった。




「いやぁ~、貴方がユウスケさんですか! 噂に聞く通り好青年ですなぁ!」


 地面に頭を擦り付ける小太りのオッサンを取り敢えずテーブルへと誘導し、何とか話せる状態へと持ち込んだ俺は、既にもういくつかゴブリンの集落を潰してきたのではないかくらいの疲労が溜まったのだが、小太りのオッサンはそんな俺が見えてか見えずか瞳をキラキラさせて最高の笑顔を振りまいていた。


 彼の名前はクリント。どうやら色んな町を移りながら物を売る、いわゆる旅商人のようなものらしい。

 町ごとに名産品を仕入れ、そして別の町でそれを売る。各地の名産品というものは当然その地でしか取れず、手に入れる為にはその地まで赴かなければならない。しかし中々遠出をすることが出来ない人達も多く、旅商人という存在はかなり重要な存在であるといえる。

 かと思えば彼はクリント商会の会長でもあり、その商会は各地へ拠点を構える、かなりの大御所みたいだ。

 会長が自ら旅商人をしているってどうなのだろうか。


 そんな大商人が、いち冒険者の俺に何用なのかとしばし悩んだのだが、すぐに答えはクリントの方から出てきた。


「あの~……どうしてもですね、彼女の羽毛をですね、頂きたいと思っているのですが……あぁ! 勿論乱暴に抜いてくれだの何だのという事ではなくてですね! 世の中毛が生えている生き物には、どの生き物にも換毛期と言うものが御座います故に、毛の処理をする際に私の所へ卸して頂きたいなぁと言うことでございまして。」


 そう言ってクリントが視線を向けた先はシロナだった。

 シロナは白いハーピィで、白いハーピィの素材というのはかなり高値で取引されると聞いた。

 だが、白いハーピィは唯でさえ発見が困難であり、発見できたとして討伐出来るのはCランクから。

 一介の商人が手に入れるには、余りにも高すぎるハードルだ。

 それが、あろうことか人の従魔として街を歩いている。

 今考えれば、こんなに堂々と歩いていてよくもまぁ襲われないもんだと一瞬思ったのだが、よくよく思い返せばシロナを寄越せだとか何だとかっていうトラブルは結構あったような。


 まぁとにかく、彼は町で俺達が歩いているのを見て、汚い言い方をすれば金の匂いを感じ取ったわけだ。

 

 彼はお金を払うことで、俺達から安全に白いハーピィの羽毛を手に入れることができ、俺達は何のリスクもなくお金を手に入れることができる。


 さて、これにどう答えるか何だけども、その前にシロナに一つ確認しておかないと。


「シロナ、換毛期ってあるのか?」


「かんもうき?」


「あぁ、えっと、毛が生え変わる時ってあるか?」


「んー。ある。」


 どうやらあるらしい。


「その抜けた毛って、誰かにあげてもいいか?」


「? ん。」


 シロナは首を傾げた後、肯定の返事をくれた。多分抜けた毛に何の価値があるのか分からないのだろう。

 シロナの返事は殆ど「ん」だが、「ん」だけでも最近どんな意味の「ん」なのかはよく分かる。意思疎通スキルのお陰もあるかもしれない。


「ユウスケ、その話受けるの?」


「うん、受けるつもりだよ。条件付きで。」


 リーニャが心配そうにこっちを見ながら聞いてくるが、俺はとある条件を付けて受ける気満々だった。

 この条件は、成功すれば俺達にお金以外にも多大なメリットがある条件だ。


「ほう、条件ですか。」


「そうです。条件の内容なんですが、交渉により換毛期で抜けた羽毛を購入したというのをですね、大々的に公表して欲しいんですよ。」


「なんと、それは……」


 俺の狙いは、ハーピィの羽毛に限らず、人型の素材というのは話を通せば戦わずとも提供してもらえるという刷り込みだった。

 この刷り込みが成功すれば、無闇矢鱈と人型を襲うことも無くなるのではという、まぁ安易な考えだ。


 人型と人間の間にある壁は、最初から会話をする気もなく戦闘の構えを取るから、お互いに歩み寄れないというのが原因の一つとしてあると思う。

 それを取り除くには、話ができますよ、話が通じますよという噂と、それを裏付ける証拠がいるわけだ。

 俺達でそれを広めるには余りにも時間が掛かるし、裏付ける証拠だって無いに等しい。


 その点、彼は旅商人で、色んな土地へ広めるにはもってこいの人材だ。裏付ける証拠も、いつ何処に生まれるかもわからない白いハーピィの羽毛を定期的に仕入れていたら、誰しもが「何処かにいる白いハーピィから安全に仕入れている」と思うはずだ。

 命を奪って素材を手に入れればその場限りだが、換毛期を待てば半永久的に素材が手に入るという事も。


 私は交渉により、白いハーピィから換毛期で抜けた羽毛を購入している。


 その言葉だけで、どれだけ人型が生きやすい世界になるか。


 ただ、当然その言葉を使うのはデメリットもある。


「ユウスケさん。ちょっとその条件は……。」


「分かっていますよ。その話を聞いた人が直接俺のもとに買いに来たら、貴方の商売が出来なくなってしまうという心配ですよね。」


「えぇ、仰る通りです。私達は様々な町を旅して物を売っています、それに交渉を行った手間、苦労、それらを加味して販売価格を決めていますから、例え各地の商店で売るにしてもやはり高額になります。直接ユウスケさんに声を掛けることが出来る人間ならば、私から買うよりも安く仕入れることが出来るはずですからね。」


 クリントが言った通り、商会側にデメリットが発生する。


「まぁ、ユウスケさんが契約書に魔力を流していただけるなら、その条件をのめないこともないですが。」


「契約書ですか?」


「えぇ、特殊な紙でして、処分するにはそれなりの手順を踏まなければ燃えず破けずという代物なのですが。その紙を使って貴方の魔力と筆跡による契約書を作っていただけるなら、条件をのみましょう。勿論、契約内容はクリント商会以外に彼女の羽毛を卸さない事と、可能なら今後増えたお仲間達の素材も私どもに卸して頂ければと。」


 成る程、シロナだけでなく他の人型の素材もクリント商会で独占したいと。

 まぁ、俺達には損はないし、契約内容はそれで良いか。


「いいですよ、そうしましょう。」


「ほほー! 有難いです! それならば、ユウスケさん達の事を張り切って宣伝させていただきますよ! 人型を愛する男が、人型の為に商談の仲介人となる。何と美しい話でしょうか!」


 クリントは、今にも踊りだしそうなテンションでバッグから紙を取り出す。

 それで、クリントは俺が人型を好きで助けてることを何で知ってるんだ。


「いやね。私は別に人型を嫌っていたりする訳ではありませんよ。寧ろ会話ができるなら仲良くしたいと思っています。まぁ、素材を提供していただければという下心はありますが。それを抜きにしてもいがみ合う理由なんて何処にも無いと思っておりますから。」


 クリントは話しながら二枚の紙を取り出して、テーブルに並べた。

 胸のポケットからペンを取り出して、契約書を書き上げていく。


「この二枚にサインをお願いします。片方ずつ両者で管理するように、決して無くしてはいけませんよ。」


 書き終わった二枚を俺の前に並べ、ペンを渡してくる。

 俺は契約書の隅々まで目を通し、内容を確認するとサインを行う。


「貴方の噂も聞いておりますよ。まさかクリシュナードにいらっしゃるとは思いませんでしたが、ここまで積極的に人型にコンタクトを取ろうとしておられる方は珍しいですからね。まぁ、ユウスケさんの場合はスキルの関係もあるでしょうが。」


 俺がサインし終わった紙二枚にクリントが手を添える。

 魔力を流すと、数秒間淡く発光した。

 クリントが俺にも魔力を流すように促す。


「とにかく、貴方の生き方は私は素晴らしいと思っております。人型と私どもが手を取り合って生きる世界を、見てみたいものです。そういう思いもありますから、精一杯宣伝させていただきますよ。なのでまぁ、末永くご贔屓によろしくお願いします。」


 本心なのか建前なのか、まぁ見事な営業トークだ。

 ひっきりなしによくここまで言葉が出ること。嫌味じゃないよ。

 クリントは、俺がこの条件を出すことも予想して俺の所に来たんだろうか。

 契約書の用意も良い、俺達の噂も知ってるし、噂で流れてないであろう俺達の目的も知ってる。


 食えない人だ。でもまぁ悪い取引じゃないか。


 俺が魔力を流した紙を手に取り、幸せそうな笑顔を見せるクリントは、それをささっとバッグにしまい込むと、バッグから新しく何かを取り出した。


「これは?」


 クリントが持っていたのは、カードのようなものだった。


「えぇえぇ、これはですね。クリント商会のお得意様にお渡ししている会員証のようなものですね。クリント商会に御用があれば、そのカードを提示して頂ければ便宜を図らせていただきます。」


「いいんですか? まだ一度も買い物とかしてないですけど。」


「いえいえ、只今重要なお客様になられましたからね。買い物が全てではございません。ユウスケさんからは多大な利益をもたらして貰えると確信しておりますから、それの先行投資と思ってください。それでは、またよろしくお願いしますね!」


 なんだか、別の意味でとんでもない事になってしまったのではないか?

 そう思ってリーニャを見れば、リーニャはリーニャで苦笑いだし。

 クリントは眩しい笑顔で宿を出て行くし。


 まぁ、いいか。


 思わぬところから進展した俺達の目的に、多少心が踊りながらも、俺達はゴブリン討伐への準備を始めた。

商談とかそういうのは経験ないのでどう書けばいいか悩みますね。

皆さんはどういうものを参考に書かれているのでしょうか……


感想、ブクマよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ