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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
二章 旅立ち、悩むモンスターテイマー
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37話 制空権

前回のあらすじ


「おいしい! 幸せ! これが私の人生!」

「よし、食べ歩きすっぞ!」

「わーい!」



---------------------------------------



 今、俺達『救命の志』は、ある討伐依頼を行っている。

 それは、ゴブリンの討伐依頼だった。


 なんで今ゴブリンなのかと言えば、単純に連携の練習もあるし、ゴブリンは数が多いので早くレベルが上がりそうと言う安直な思いもあるし、何より、病み上がりのシロナにあまり無理をさせたくないと言う事からだった。


 まぁ、戦闘のフォーメーションは殆ど変わらないから、大丈夫そうならすぐにワンランク上の依頼を受けるつもりだ。


 今までのフォーメーションは、先頭のレイが液化で敵を拘束、レイがターゲットを取れなかった残りを俺が牽制しつつダメージを稼ぐ、そしてリーニャが優先順位を決めつつ弓で各個撃破。


 今はハーピィのシロナが居るので、今までのフォーメーションに加えてシロナが爪での遊撃兼風魔法での遠距離援護だ。


 戦闘に入る前にシロナの風魔法を見せてもらったのだが、お世辞にも殲滅できるレベルの威力があるとは言えなかった。


 まぁそれは仕方ない。レベルが上がるなり、魔法を使っていて馴れてくれば徐々に強力な魔法を使えるようになるはずだ。


 だけど戦闘が始まれば、シロナの持つスキルの気配感知のおかげなのか、それともシロナの性格のおかげなのか、シロナの状況把握能力の高さが伺えた。


 回り込もうとしたゴブリンには風魔法で足止めをし、傷ついたゴブリンには積極的に爪での一撃を食らわせる。それもリーニャの狙いにくい位置に居る奴なんかを積極的に狙っている。


 自分が沢山のヘイトを稼いだと思えば、ギリギリ攻撃の届かないところで飛び回って錯乱した。


 ゴブリン達も、自由に空から攻撃してくるシロナに気を取られて隙だらけになり、俺やリーニャの攻撃がどんどん刺さった。



 はっきり言って、結構バランスの取れたパーティだと思う。

 欲を言えば前衛の内の一人が脆いテイマーである俺なので、もっと打たれ強い前衛が一人欲しいってところだ。


 まぁそれはモン娘を仲間に引き入れていけばいずれ解決するだろう。

 今はこれで安定しているし、焦ることはない。


 エマと同じく、ゴブリンの討伐は基本10匹で固定報酬にプラスアルファで狩った分だけ追加報酬と言う事だったので、ゴブリンを殲滅する勢いで狩っていた。


 シロナの体調は自己申告プラス俺がステータスで確認と言う形で見ていたが、2時間程の討伐依頼なら何ら問題無さそうだった。

 むしろ身体を動かしたことによって良い方向に向かっている感じさえする。


 シロナ自身も、身体を動かすのはそう嫌いではないらしく……と言うか、ご飯を美味しく食べる為にお腹を空かせたいと言う二重の意味のハングリー精神で意気揚々と戦闘に参加していた。


 実際12歳と言えば、まだまだご飯を沢山食べてグイグイ成長する頃だし、全然問題ない。金銭面を除けば……


 シロナには、流石に憲兵団の寮で食べたレベルの量は、お金の問題で毎日は食べられないと伝えてある。

 シロナは肩をガクリと落とし、その後すぐ顔をあげて「お金貰う方法は?」と聞いてきたので、魔物の討伐依頼をする事だと言った。


 それのお陰で今張り切っているって言うのもあるかもしれないな。

 どちらにしても、依頼をこなす上でシロナのやる気と体調が万全だという事はとても大事なことだ。

 いい流れが来ている。



「今日は沢山狩ったわね……」


 ゴブリン狩りが一段落したところで、今日は引き上げることにした。

 リーニャの言うとおり、今日は沢山狩った。

 普通のゴブリンが43匹にリーダーが2匹だ。


 俺とレイだけでゴブリンを狩ったあの時と違い、パーティでの狩りはとてもスムーズだったおかげでここまで狩れたのだ。

 俺とレイだけだったらきっと15匹くらいで引き上げていたことだろう。主に俺の精神の限界的な意味で。


「ここまで狩りがスムーズだと、剥ぎ取りの方が疲れるね。」


「確かにそうね。」


「んー! 硬い!」


 本日最後のゴブリン達を狩った後、休憩を取っている俺とリーニャの横で、シロナはゴブリンの肉を食っていた。


 うん、俺がさっき、とてもマズいと思うけどどうしてもお腹が空いたら食べても構わないと言ったんだ。

 そしたらシロナはいつの間にかレイに格納してもらっていた肉焼きセットみたいな物を使って肉を焼き始めた。

 俺の知らないうちに、レイとコミュニケーションを取ってる人多くない?


 焼いたゴブリンの肉は匂いだけは美味しそうだったけど、実際食べてみると臭いしパサパサでスジっぽいという嫌な味だった。


 それでもある程度食べるシロナのたくましさ(いやしさ…?)は見習っていきたい。


 シロナが軽く腹ごなしを終わらせた後、アステニアに戻って依頼完了だ。





「あら、これほどの数のゴブリンを討伐してくれるなんて、ありがとうございます。」


 冒険者ギルドの受付嬢に耳をまとめて渡したらそう言われる。


 ゴブリンは繁殖力が高いので、どれだけ討伐しても問題ないのだ。

 いや、むしろコレほど討伐してようやく数パーセントの貢献だ。

 世の中の全ての低ランク冒険者がゴブリン討伐をやらなければ、今頃ゴブリンはもりもり繁殖して国でも作っているだろう。国を作る知能があるかどうかは別の話だ。


 新人や低ランク冒険者の存在は、こういう面ではとても有難いものだった。まぁ俺もまだ低ランクだけど。


 流石にアレだけゴブリンを狩れば銀貨2枚ちょいになる。ゴブリンリーダーも2匹狩ったので上乗せ2枚だ。

 数も数だったのでシロナのレベルも上がっていた。1だけだったが上出来だ。


 ちなみにステータスはこんな感じ。


-

シロナ

12歳

種族:ハーピィ

状態:普通


Lv10


HP 124/124

MP 56/92


STR:100

VIT:70

INT:108

DEX:154

AGI:172


【所持スキル】

[U]痛覚遮断

風属性魔法

気配感知

-


 やはりハーピィの売りなのだろう、DEXとAGIが物凄い伸びが良い。

 耐久力に難があるが、シロナの立ち回りならまず攻撃を食らうことはないから問題ない。

 しかしAGI172って……本気で飛び回ったら俺達じゃ見えないんじゃないか……?


「ご飯!」


 依頼を完了するやいなや、シロナはご飯の要求をしてきた。

 はいはい、用意しますとも。



 俺が白いハーピィをテイムしたと言う話は、思いの外早く広まっていた。

 まぁ、そりゃ町を歩いていれば誰でも目に入るだろうしそんなもんだろうけど……


 それより何より、やはり皆のシロナを見る目は様々だった。

 人型の魔物を恐れる目や、素材欲しそうな目。


 それでも中には、友好的な視線もあった。

 目を輝かせながら屋台を回る姿に、いくらか警戒心も解けているらしい。


 それと、恐らくもう一つ注目を集めている原因があった。


 それは、シロナの首につけている従魔の首輪だ。


 憲兵団の寮を出る時にヴェルニーに聞いたのだが、従魔の証明証として身につけるものには腕輪と首輪があるらしい。


 本当はレイにも必要なはずなんだけど、スライムは無害だしつけるところがどこにもないので、例外的に従魔の証明証はつけなくても良いことになっている。


 ハーピィは翼という構造上、腕輪は無理だから必然的に首輪になった。

 その場でヴェルニーから首輪を貰い、シロナにつけた。


 首輪をつけてると、なんか奴隷みたいで嫌だったのだが仕方ない。

 シロナ自体は、別に全く気にしてないみたいだけど……


 そんな訳で、俺は首輪をつけた12歳の白いハーピィを連れ回しているわけだ。

 犯罪者臭がプンプンする。


 そんなこと知ってか知らずか、シロナは目につく屋台に飛び込んでいくのだ。

 まぁ、時間が経てば慣れるだろ……俺も皆も……


 幸せそうに肉の串焼きを頬張るシロナを見つつ、さっさと帰りたい俺だった。




 翌日受けた討伐依頼は、一度受けたことのあるレッサーリザードの討伐だ。

 これも対空戦は苦手な部類のはずだし、基本群れないので狩りやすい。

 群れているのは、子を産んで育てている間くらいだ。

 その時のレッサーリザードは中々厄介だからあんまり関わらないほうが良いらしい。


 まぁ、そんなの見かけたら遠回りだ。わざわざ難易度の高い奴を狩る必要はない。


 探し回っていたら、1匹のレッサーリザードを見つけた。

 ゴブリンの時と同じフォーメーションで戦う。


 まず、レイが液化で絡みつく。

 前にも一度戦ったことがあるから分かるが、こいつはレイが絡みついても動きが鈍るだけで、普通に俺達を攻撃しに来る。


 つまり、こいつ相手には俺が盾の役割をしなければいけない。


 案の定、レイに絡みつかれたレッサーリザードは俺達に向かって突進してきた。

 俺は盾を構えて足に力を入れる。

 ぶつかる瞬間に少し盾をずらし、斜めに力を入れる。

 こいつの突進は何度食らっても受け流しにくく、今回も結局俺が後ろによろめいた。


「ッ! リーニャ!!」


「任せなさい!」


 だが相手も突進が一度当たれば止まる。俺がよろめいて離れたお陰で狙いやすくなったレッサーリザードに、リーニャが矢を放つ。


 矢は首元に突き刺さり、レッサーリザードは痛みにもがく。

 今まではここで俺達も一度立て直す必要があったが、今回からは違う。


「ふぅッ!」


 空から降りてきたシロナが、レッサーリザードの首を足で掴み、地面に叩きつけた。

 視覚外からの衝撃に対応することが出来ず、レッサーリザードは地面に倒れ込む。

 そこへ、リーニャが二本目の矢を放つ。

 矢は胴体へと命中、続けざまに俺が斬りかかる。


 そうして、レッサーリザードを狩ることが出来た。


 シロナが参戦したおかげで、前より短時間で終わった。

 多少強い敵くらいなら問題なさそうだ。




 ここまで俺が狩ってきているのはEランクの魔物ばかり。

 Dランクの昇級試験まで、まだ依頼をこなさないといけない。

 数だけではなく、ある指定の魔物も狩らなければならなかった。


 その魔物は、毛玉に蜘蛛の足が3本生えたような見た目をしているらしい。

 名前はウグバゴ、凄く強烈な名前だ。

 胴体の中心に大きな口があり、そこから毒の液体を吐いてくるらしい。

 動きも中々素早く、体長は大きいやつで2mにも及ぶとか。


 今まで俺が見てきた他の魔物は、大体何かの生き物がベースになっていたが、こいつは何もベースになっておらず、どうやって産まれたのか全くわからない。

 こっちの世界オリジナルの魔物の名前なので、多言語理解を使っても俺達の世界にいる生き物の名前に翻訳できないようだ。

 それにしてもウグバゴって……


 まぁ、そいつを討伐すること、それがDランク昇級の条件の一つだった。

 そろそろ挑戦するつもりだ。戦力も増えたし、依頼達成回数も着々と増えてきている。



 俺はレッサーリザードの剥ぎ取りをしながら、厄介な毒を扱うウグバゴとどうやって戦うのか考え始めた。

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