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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
二章 旅立ち、悩むモンスターテイマー
32/104

28話 報復には報復を

※胸糞展開です。ほのぼの期待して読んでくれていた方はすみません。

前回のあらすじ


 リーニャが周りの視線が気になると言い始めて数日経ったが、一向に何も起こらないせいで油断したユウスケ。

 レッサーリザードの討伐後、宿へと戻る途中で襲撃に会う。



---------------------------------------



~ ??? 三人称視点~



 薄暗い倉庫の中に、五人の人影があった。


 一人は筋肉質の巨漢。

 一人は病的に痩せ細ったように見える男。

 一人はローブを着てフードで顔を隠した男。


 そして残りの二人は、縄で縛られた金髪ポニーテールのエルフの女性と、特に特徴もない黒髪の男性。


 最初の三名は、冒険者ギルドで『豪腕の唸り』というパーティ名で活動している冒険者達であり、残りの二人は『救命の志』というパーティ名で活動を始めたユウスケとリーニャだった。


 豪腕の唸りはリーニャと一悶着あったあの後、数日間リーニャとユウスケを監視し、戦闘力の分析と誘拐の準備を着々と進めていた。


 そして人通りの少ない、しかも薄暗く視界の悪い夜にチャンスが訪れた為、誘拐に及んだのだった。


 ユウスケは強い衝撃により気絶しており、リーニャは睡眠の魔法を受けて眠っている状態で、筋肉質の大男はその身体を舐め回すように見ていた。


 大男が口を開く。


「あのスライムは?」


 ローブの男は答える。


「鞄の中には居なかった。気配もない。主人をおいて逃げたんだろう。所詮はスライムだ。」


 その答えに、大男はニヤリと笑った。

 続いて細身の男が口を開く。


「で、リーダー。こいつどうするんスか?」


 『豪腕の唸り』のリーダーである大男は笑みを浮かべて答える。


「エルフなんて、売っても良いし飼っても良いし壊したって良いモンだ。だけどまぁ、こいつにゃ借りがあるからなぁ?」


 そういって、リーニャの腹を蹴り上げた。

 リーニャは、いきなり走った激しい痛みと衝撃に目を覚ます。


「ぐっ……ゴホッ……はぁッ……な、何が……ッ!」


 目を覚ましたリーニャが混濁としている意識の中、正面を見上げるとそれが知らない部屋で、見たことのある3人組が目の前に居ることが分かった。


 リーニャにとって最悪の目覚めであり、またこの後にどんなことが起こるのかは、目覚めてすぐのリーニャにも容易に想像できた。


「あ、あんた達……」


「よぉクソアマ。あの時はえらく調子に乗ってくれたな。」


 大男はリーニャの髪をつかんで強引に視線を合わせる。

 リーニャは痛みに悶えながら、何の抵抗も出来ず大男のされるがままになる。


「あの後調べてみりゃ、大したことない雑魚だったしよ。Eランク風情が調子に乗るとどうなるか、教えてやるよ。」


 そう言うと、大男はリーニャの髪を投げるような仕草で乱暴に離し、リーニャの隣で未だ目の覚めていないユウスケを引きずってリーニャの正面へ運ぶ。


 引きずられるユウスケを見て、リーニャは初めてユウスケが隣にいることに気づいた。


「ユウスケ!!!」


 リーニャが大声でユウスケを呼ぶが、ユウスケは反応しない。

 縛られた身体でユウスケの元へ行こうとするが、細身の男がリーニャの首筋にナイフを突きつけた。


「おっと、あんたは動いたらダメ。今からショーが始まるんスから。」


 ショーと聞いて一瞬訳の分からなかったリーニャだが、大男がユウスケの右腕を両手で掴んだところでハッと気づく。


「やめて!!」


 大男は、目の覚めないユウスケの腕に、曲がってはいけない方向へ力を入れ始める。


 リーニャの蒼白とした表情を見て、愉悦の籠った声でリーニャへ言う。


「見て分かる通り、今から俺はこいつの腕を折る。いや、腕だけじゃねぇ。足も、あばらも、背骨も。最後にはお前の目の前で首をへし折って殺す。お前をまわして殺すのはその後だ。」


 その演劇じみた口調に、しかし冗談ではないと分かっているリーニャは必死に叫ぶ。


「やめなさいよ! あんた達の標的は私でしょ! ユウスケは関係ない!」


 その叫び声も旨い肴でしかない大男は、静かにリーニャへと語りかける。


「お前の関係者だからな。こいつも可哀想に。お前の行いのせいで無惨な死を遂げるんだ。」


 お前のせいで、その言葉を聞いてリーニャの時が止まる。

 自責の言葉が脳内に次々と浮かんできて、リーニャは身体が震えだし、目からは涙が溢れ始めた。


 それを見て、大男は何かを思い付いたようにふと力を抜く。

 いきなり力を抜いた大男を見て呆然とするリーニャに、大男は話しかけた。


「お前、ギルドで俺にこんなこと言ったよな? 力があればなんでも思い通りになると思ってるのか? って。」


 その表情は邪悪に、恍惚に、変化していく。


「この状況を見たら分かるだろ?」


 膝を立てた状態で座り、ユウスケの腕を持ったまま、両手を上に持ち上げる。

 リーニャは叫ぶ。もうやめないと知っていても。

 大男は静かに笑い、


「力があれば、なんでも思い通りになるんだよ。」


 ユウスケの腕を膝へと降り下ろした。




 グシャッ




~ ??? ユウスケ視点 ~




「いやぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


 誰かの甲高い叫び声が聞こえる。

 意識は朦朧としているが、何だか俺はおかしな体勢になっているのが分かった。

 中途半端に上半身が浮いているような感じだ。


 ぼやける視界が徐々に鮮明になっていく。

 周りの状況を理解しようと視線を動かす。


 視線の先にはリーニャ。ひどく憔悴した表情で涙を流している。

 恐らく、先ほどの叫び声もリーニャのものだ。


 続いて大男が視界に入る。大男はとても楽しそうに笑っている。

 大男は何かを掴んでいる。何だ?


 大男、腕、右腕。あぁ、これは俺の右腕だ。

 大男が俺の右腕を掴んでいるから、上半身が少し浮いているらしい。

 でもおかしい。何でこいつは俺の右腕を掴んでいるんだ?

 何で、俺の右腕は曲がっているんだ?


 曲がって……


 鮮明になった視界と、ハッキリしてきた意識と共に。

 理解した瞬間、俺は叫んでいた。


「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「はっはっはっは! 流石に起きたか。腕折られただけでもう死にそうだなコイツ。」


 何か喋る声が聞こえるけど、今の俺はそれどころではなかった。


 腕が折れている。折れているのに、痛みがない。神経がない。


 痛覚と言うのは、ある一線を超えると脳が遮断してしまうらしい。

 それを知識として持っていれば、あるいはここまで焦ることはなかったのかもしれない。


 しかし、痛みを感じないと言うのは、想像以上に恐怖を覚えるものだった。

 全身に力が入らなくなる。


 大男が立ち上がり、今度は俺の足を持ち上げる。

 俺は大男を見上げる形になった。


「やめてぇぇぇ! やめてよぉぉぉ!!」


 リーニャがずっと叫んでいる。


 そうか、こいつ、次は俺の足を折るつもりなんだ。

 あの、ギルド内の出来事の報復で。

 力任せに、我儘に、俺達を痛め付けて遊ぶつもりだ。


 いや、痛め付けるじゃない。俺達は殺される。


 魔物を相手にしている時より、どうしようもない絶望感のせいか。

 痛みの無い折れた腕のせいか。

 それともリーニャを守れなかった何ていう正義感のせいか。


 よく分からない内に、変に冷静になって分析していく。


 多分、全部だ。諦めていて、どこか走馬灯のようなふわふわとした気持ちで状況を見ている。


 俺の旅に、リーニャを付き添わせてしまったから、リーニャは巻き込まれたんだろうか。


 宿を見つけるのに時間を掛けたから、この大男と出会ってしまったんだろうか。


 俺がなんて答えれば、こいつらはおとなしく引き下がったんだろうか。


 なぁ、教えてくれよ。



 そう思い大男を見上げる途中、奥に見たことのある顔を見つけた。

 静かにこちらへ歩いて来ている。誰も気づいてないのか、誰もその女性へ視線を向けることはない。


アステニアに来てすぐに見かけた、黒い軽装の鎧を身に纏った、金色の目をした、銀髪の、犬耳の、獣人の女性。


 あぁ、やっぱりコイツの差し金だったのか。

 コイツが監視して、この『豪腕の唸り』に情報を渡していたんだ。


 見た目通りだ。コイツは間違いなくシーフ系統。

 闇に紛れる為の黒い軽鎧と、獲物を殺す為の鋭い目。

 町に入った時点で、目を付けられていたって事だ。


 俺が気になった理由は、そんな直感だったんだ。



 大男が俺の足に向かって、そこらにあった角材を拾い、降り下ろそうとする。


 獣人の女性も大男の後ろまで近づき。




 大男の首が地面に落ちた。


ブクマ50件超えました!皆様読んでくださってありがとうございます!

PV13,000アクセス、ユニーク3,000アクセス突破。嬉しい。

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