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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
二章 旅立ち、悩むモンスターテイマー
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27話 油断大敵

前回のあらすじ


 ヒロツグさんと、将来レイを貸す代わりに色々協力してもらうという口約束を交わしたユウスケは、図書室へと向かう為に冒険者ギルドへと向かった。

 そこで、スクリーマーという黒い悪魔の噂や、最近起こっている人攫いや商人殺し等の事件を知る。


 スクリーマーに遭遇しないように出没地域を聞いたユウスケは、そこへ近づかないことを心に決めて図書室へと入っていった。



---------------------------------------



 図書室で調べ物をして気付いたことは、エマの図書室とは情報量が違うことだ。

 まず、書物の数が何倍もある。


 魔物一つとっても、系統別に別れて棚へ並べられているのだ。

 もちろん歴史関係の書物もあれば、魔法や魔力についての研究結果等も並んでいる。


 そして地理関係、国々の位置関係や世界地図の様なもの。そしてこの周辺地図も事細かに書かれた物もあった。


 取り敢えずこの周辺の地図と魔物の情報は頭に叩き込んでおいた。

 と、言いたい所なんだけど、情報量が莫大すぎて全く頭に入ってない。


 どうにか打開策がないものかと思っていた時、ふと頭に浮かんだのはメモを取ることだった。

 ギルドの職員に書き写しは可能かどうか訪ねた所、別に問題はないとのことだったので紙とペンを職員から銅貨5枚で購入し、必要な情報は全てメモした。


 一瞬、メモして持ち帰るのは良いんだ、なんて思ったけど、よく考えたら入室料金無料だし、メモしようがしまいがあんまり影響無いよね。

 そもそも書物の書き写しって依頼も一般向けにはあるらしい。コピー機とかがないから、書物の全てが手写しでしか増やせないのだ。


 周辺地図を書き写している時、リーニャから絵が上手いと妙に感心された。

 そりゃそうだ。伊達にテストが終わった後に問題用紙の裏側に落書きをして過ごしたわけではない。

 でもプロと比べたらダメだよ。



 さて、書物を読み漁るだけでも随分時間が立ってしまった。窓から外を見てみると、もう日は沈んでいた。

 そろそろ帰ろう。今日メモした情報を元に、明日は討伐依頼を選別して受けるつもりだ。

 写したメモをポーチにしまい、図書室を後にする。


 図書室を出たら、酒場の方にケツアゴ、ヒョロガリ、ローブの例の三人組が座っていた。

 一度ちらっとこちらへ視線を向けてきたが、すぐに視線をそらして酒を飲み始める。

 どうやら、もう絡んでくるつもりはないみたいだ。


 受付のお姉さんがこっちに気がついて声を掛けてきた。


「あら、まだいらしたんですか?」


「えぇ、初日なので、ここらの地形や魔物なんかを先に調べておこうと思っていたら、結構な量になってしまって。」


「なるほど。しかし初日でもそこまでしっかりと調べられる方は珍しいですね。」


 そんな感じで一言二言会話を交わした後、宿へと向かう。



 この町には街灯のようなものが設置されている。

 仕組みは詳しく知らないが、ソーラーパネルと似たようなものらしい。

 昼間に魔力を補充して、夜に発光させる。


 魔力って、そこらへんにふよふよ浮いてるような物なんだろうか。

 それとも太陽光を魔力に変換出来るのだろうか。

 まぁ、どっちでもいいや、多分俺には関係ない技術だ。


 流石に日が落ちた後は人通りが少なく、人混みで窮屈な思いをしていたリーニャは割りとスッキリしたような表情で歩いていた。

 俺は少なすぎて不安が拭えなかった。通り魔事件は人の少ない時に起きやすいものなのだ。

 そしてリーニャもまた、いきなり俺の不安を煽るようなことを言い始める。


「ねぇ、何か、視線を感じない?」


「ぜ、全然分からない……ちょっと怖いからやめてよ……」


「昼間も沢山の視線を感じていたけど、今もまた嫌な視線を感じるわ。」


「えぇー……早く帰ろうよ。何かあっても嫌だし。」


 視線を感じる、なんて言われても俺には全くわからなかった。

 ザ・鈍感である。俺にシーフは務まらない。

 とにかく、何かが起きても困るし、さっさと宿へと帰るに限る。


 そうして走っている最中、頭に浮かんできたのはアステニアについてすぐに遭遇した、銀髪犬耳の獣人の姿だった。

 鋭い視線をこちらに向けていて、一瞬目が合って、すぐ消えたあの獣人の女性。


 俺達は、監視されているのか?

 酒場の冒険者が言っていた、人攫いが俺達に目を付けた……?


 その問いかけは、この薄暗い町に静かに消えるだけで、何の回答も得ることはできなかった。




 結局、誰の襲撃があるわけでもなく宿屋へとついた。

 日も沈んでいるので、少し遅めの夕飯を頂いた後、風呂に入って部屋へと戻る。


 リーニャは風呂の更衣室で寝間着に着替えたらしく、普段着を腕にかけて部屋に戻ってきた。

 風呂の後は、明日早くから行動できるようにとベッドにすぐ入った。


 女の子と同じ部屋で一緒に寝るのは初めてなのに、そんなこと全く頭になかった。

 ずっと視線のことが頭に残っている。

 一度気にし始めるといつまでも気になるもので、窓にチラチラと視線が向かってしまう。


 リーニャもベッドには入っているが、なんだか寝られないようで寝返りを頻繁にうっている。

 俺もそうだった。これだけずっとリーニャが視線を感じるといっているのだ。

 寝ている間に襲撃なんかがあったっておかしくないかもしれない。


 気休めかもしれないが、俺はレイに寝ている間の監視と、何かあったら起こしてもらう様に言って眠りに入る。


 何も起こらなければいいのに、と思いながら、体感1時間程ごろごろしてようやく眠りについた。




 翌朝。


 特に何もなく、至って普通の朝が来た。

 リーニャも何だかんだ睡眠だけは充分に取れたようで、伸びをしている姿が目に写った。

 交代で部屋から出て着替えを済ませる。


 荷物を確認するけど、特に何も盗まれた形跡もない。


 あの視線は、ただの好奇の視線だったのか。



 冒険者ギルドへとつき、俺たちで狩れそうな魔物を選んで依頼を受ける。

 今回受けたのはリーチ10匹の討伐だ。


 リーチというのは、簡単に言うとでかいイモムシだ。

 糸を吐いたりして獲物を動きづらくした所に近づいて、円状に広がる口で頭から丸呑みにしてしまうらしい。

 ただし、丸呑み出来ない相手だった場合は円状に生えている牙を使って少しずつ噛みちぎっていく。


 こいつは、もう想像できるかもしれないが、動きが遅いのだ。

 糸さえ当たらなければまず負けることはないだろう。

 問題は、レイのリーチに対する相性が悪い事かな。


 レイの特徴である液化(相手に絡みつく攻撃をそう名付けた) もリーチにはあまり効果がないだろうし、レイ自体が小さいので丸呑みされる危険性もある。

 通用する攻撃といえば酸弾と、触手ムチや体当たりという打撃系の攻撃に限られる。


 レイには前に出ないようにしてもらって、俺が前衛で攻撃を防ぎつつレイがムチで援護、リーニャが矢で弱らせるという戦法が恐らく最善だ。


 視線を気にしつつ討伐へ出かけ、リーチを狩っていく。

 事前に決めていた戦法が功を奏し、順調に狩ることが出来た。

 その間もずっと視線を気にしていたのだが、結局討伐が終わり、ギルドへ戻って完了報告まで行っても、何も起こることはなかった。


 その頃には、リーニャも俺も視線を感じるのは気のせいではないかと思い始めていた。

 きっと、初めにアステニアに来た時の好奇の視線が尾を引いていただけだ。


 もともと、気にしすぎだったのだ。



 それから数日間、狩りやすそうな魔物を選んでは討伐依頼を受けた。

 討伐証明部位が小さい魔物の場合は肉も含めて、魔石をレイに食べさせて成長させたお陰で、レイも相当強くなってきた。


「何か、気にしすぎてたね。」


 ぽろっと呟いた独り言に、リーニャも返してくる。


「そうね、ちょっと、神経質だったのかも。」


 人攫いの話を冒険者から聞いて数日経ったけど、それらしい話も商人殺しの話も全く聞かない。

 スクリーマーは真実で、それに連なって根も葉もない噂が立っていたんだろう。


 今日もレッサーリザードの討伐に出かけていたのだが、全く問題なく終わった。

 レッサーリザードは群れを作らず、基本1匹での行動をしているので討伐も楽だったし、調子に乗ってプラスアルファの報酬の為に多めに狩っていたら、気づけば時間は夜。


 冒険者ギルド自体は結構遅くまで開いているので依頼完了は出来たけど、基本的に夜は夜行性の魔物が活動し始めるので危険だし、調子に乗るのは止めようなんてリーニャと反省しあった。


今は冒険者ギルドから宿へと戻っている最中である。

街灯が薄暗い道を照らす中、人の全く居ない帰路を歩いていた。

その静けさは、俺ら二人の足音が聞こえるレベルだ。


「いやーでも、レッサーリザードって討伐難易度の割には報酬良いよね。」


「そうね、でも難易度が低く感じるのはレイのおかげだと思うわよ。」


 俺が前を歩いているので、後ろからリーニャの返事が聞こえる。


「それは確かに。レイが液化で絡みついてくれなかったらもっと苦戦してたかもね。レッサーとは言えど、その攻撃力はやっぱりリザードと言うだけあるし、俺が受ける側だったら連戦は勘弁して欲しいもん。」


 実際に一度は陣形が崩れて俺が攻撃を受けることになったんだけど、ただの体当たりで身体が吹き飛ばされた。

 盾を構えて受け流そうとはしたんだけど、受け流すとかそういう衝撃じゃなかったもんな。


 いや、でも受け流すのが上手い人なら簡単に受け流してしまうんだろうか。

 アルダンとかなら受け流してしまいそう。それもただの左腕で。


「まぁ、俺って前衛じゃないし、そこら辺は別に極めなくてもいいかなぁ。早くモン娘テイムしたいよ……」


 でもモン娘に前衛やってもらうとかも、何かアレだよね。

 女の子を酷使してるようで見栄えは悪いよね絶対。


 いや、でも女性で戦士とかの人もいるし、そういう価値観は転生者特有なのかも。


 それにしても、もう一匹くらいは魔物テイムしておくべきかなぁ。

 まだキツイとは思ってないけど、それは俺だけで決めることじゃないし。

 リーニャの意見も聞いておこう。


「ねぇ、テイムするとしたら、次は何の魔物が良いと思う?」


 その言葉に、返事が中々返ってこない。


 うすらと嫌な予感がよぎった。


 俺は立ち止まって後ろを振り返った。



 そこには、金髪ポニテで頼れるパーティメンバーのリーニャは居なく。

 代わりに居たのは筋肉質の大柄な男。


「よぉ、久しぶりだな。」


 その声が聞こえた瞬間、全身に衝撃が走る。

 後で考えれば、その時大きいバトルアクスの腹の部分で思いきり殴られたようだ。


 そんな曖昧な表現をしたのは、殴られた瞬間に意識が飛んでいたからで。


 その先、起きた時の出来事が、余りにも印象的すぎた為だった。

リーニャ誘拐イベントはどうしても入れたかったんです。始終ほのぼのを期待していた方には本当に申し訳ないです。次回は多分胸糞注意です。

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