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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
一章 舞い降りたモンスターテイマー
23/104

20話 僕、決めました

前回のあらすじ


 ゴブリンの依頼完了の手続きをしに行くと、そこにはギルドマスターのマグラさんが居た。

 いい人だった。(小学生並みの感想)



---------------------------------------



 ギルドを出た後、俺とレイはまたもや町の外れの開けたところへ居た。

 レイのお食事タイムがあったからだ。


 あったという言い回しになったのは、もう食べさせたからで、その結果に俺は多少ショックを受けていた。

 それもそのはず、ゴブリンさん達15匹とゴブリンリーダーを1匹分、肉と魔石を食べさせたのだが、ステータスの伸びが驚くほど少なかった。

 スライムの魔石よりは良いかなってレベルだった。


 ゴブリンさん弱すぎません? ダートフロッグの方がまだステータス伸びましたよこれ。

 切なさで埋まるこの心を誰が掘り起こしてくれるのかしら。


 いやいや、ゴブリンはまだいいよ。うん。

 ゴブリンリーダー! お前や! 俺を気絶させた癖にどんだけステータス伸びないんだよお前は!


 はぁ、しかし終わったことはもう仕方ない。

 心に誓ったのは、ゴブリンリーダーを今後討伐した時にはステータスには期待しないということだ。

 期待するから落ち込むのだ。


 そう自分を慰めながらレイのステータスを眺める……



-

レイ

0歳

種族:スライム

状態:普通


Lv6


HP 156/156

MP 44/44


STR:62

VIT:44

INT:27

DEX:40

AGI:42


【所持スキル】

悪食

格納

酸弾

-



 あんなに痛い思いしたのに……簡単に割り切れないぞ本当に……


 それはいいとして、ポイズンビーの討伐隊が来るまでまだ日にちは掛かるだろう。

 それまでエマに居ても、レイが吸収できる魔物はもうスモールタートルくらいしか居ない。

 俺は、なるべく早くにモン娘とイチャイチャしたい。

 つまり、そろそろこの町を出ていこうと思っている。


 隣の町はかなり大きいらしく、話を聞く限りでは依頼の数もそれは多いらしく、冒険者だって何万と居るのに、それでも捌ききれないくらいの依頼があるらしかった。


 エマでスモールタートルを狩れるようになるまでずっと待ってるよりかは、さっさと隣町に行ってレイを成長させたほうが良いはず。

 身の回りの荷物はレイに格納してもらえるし、回復したらまた依頼を受けてくれって行ってくれたマグラさんには悪いけど、明日には出ようかな。

 そうと決まってからの俺の行動は早かった。





「えっ、明日この町を出るって……また随分と急な思いつきじゃない?」


「まぁいつかは出るつもりだったし、スモールタートルを狩れない今の状況がいつまで続くかもはっきりしないしさ。」


「そっか、冒険者は依頼が無いと生活できないもんね。隣町って依頼多いみたいだし、そっちの方が稼げそうだね。」


 サッタの防具屋へと寄った俺は、サッタに別れの挨拶をしていた。


「俺の旅には目的があるし、それを達成したらここにまた戻ってくるかもしれないから、その時はよろしく頼むよ。」


「うん、じゃ、楽しみに待っておくよ。」


 町の殆どの人にはもう挨拶して回ったところだ。

 後はリーニャとリビテラさんに挨拶してから、今日は寝よう。

 もうだいぶ日は沈んできていた。




 コンコンとドアをノックする。中からは前に来た時と同じ元気そうな声で返事が来た。


「はーい。」


「ユウスケだけど、ちょっと遅い時間で悪いんだけどさ、話いいかな?」


「ユウスケ? どうしたの? とりあえず上がって。」


 そう言うと、リーニャは居間へと案内してくれる。


 前と同じ、机を挟んで向かい合わせに座る。

 前回は少し気まずくて緊張してたけど、今日は別の意味で緊張していた。


 ここまで来て、なんだか伝えるのを躊躇ってしまいそうで。


「で、話ってなに?」


 リーニャにそう聞かれて、ようやく話し始めることが出来た。


「俺、明日にはこの町を出ようと思うんだ。もっとレイを成長させたいし。」


「……そう、なのね。」


 リーニャはしばらく黙ってしまった。

 二人の間に、沈黙の時間が続く。

 気まずかった。でも、それ以上に言う言葉も出てこなかった。


「そっか、そっか……なんだか、寂しくなるわね……」


「そ、そうかな? 多分俺が居なくても、いつも通りの生活に戻るだけだよ。」


「いつも通り、かぁ……」


 リーニャは何か思い悩むような表情をしていた。

 いつも発言した後に気付くのが俺の悪いところなんだけど、今回もそれかもしれなかった。

 今のリーニャにとってのいつも通りって、何なんだろう。

 ついこの間、リーニャはいつも通りを乗り越えたっていうのに、またもや軽はずみな発言をしてしまった気がした。


「なんか、ごめん。言葉、悪かったかも。」


 リーニャにそう言うと、リーニャは首を振って否定した。


「ううん、全然。いつも通り。そう、いつも通りよ。最初からずっと、いつも通り。私の視点が違うだけで、周りの人は何も変わっていないんだから。間違っていないわ。」


 リーニャは何かを決断したような、強い口調で俺に言った。


「ユウスケ、私はユウスケのお陰で変われたの。とっても良い方向に。ありがとね。」


「いやいや、どういたしまして……」


「あれから私、イルダさんと話をしたの。ずっと壁があって、話せなかったこと。イルダさんは全部分かってたの。私が何をしようとしていたのか。」


 リーニャが町を出ようとしていたのが、イルダさんはずっと前から気付いていた。

 そりゃ、いきなり弓の練習なんてし始めるし、冒険者登録なんてしたら母親としては感づかない方が難しいのかもしれないね。

 それでも言わなかったのは、リーニャに負担をかけない為っていう気持ちもあったのかもしれない。


「イルダさんに言われたんだ。もうちょっとわがまま言いなさいって。全部背負わなくていいからって。私の幸せが、親孝行だよって。」


 だから、少しは甘えることにしたんだ。って、リーニャは言った。


「私、私ね、強くなる。今までよりずっと。イルダさんに迷惑をかけない為じゃなくて、街を出るためでもなくて。私の幸せの為に、強くなるよ。」


 俺に向かってそう宣言したリーニャは、出会ってから今までで、一番綺麗な笑顔をしていた。

 少し見惚れてしまったことは、内緒にしておこう。





 リーニャの家を出て、俺は宿屋へと着いた。


 後はリビテラさんに挨拶した後、明日、この宿を出る。

 そう思うと、この宿屋もなんだか恋しく思えてきた。


 俺がこの世界に来てから、毎日泊まっていた。

 料理も美味しいし、リビテラさんもいい人だし。

 もちろん宿屋のオーナーもいい人だった。あんまり会ったこと無いけど。


 普通の宿とかはお風呂が無いって話だったけど、何故かここの宿は簡易的な風呂を作っていた。

 日本風に言うとドラム缶風呂だ。

 でかいドラム缶みたいな奴の下に木を入れて、それを燃やして温めるアレだ。

 火はどこから持ってくるんだ?と思ったけど、どうやら火打ち石的な石があるみたいで、割りと家庭に普及している物らしい。


 ただ、それを使って風呂の湯を沸かす奴が居ないだけで。


 そんなこんなでこの世界では恐らくめちゃくちゃ快適な生活を送っていただけに、やっぱり恋しく思えてくるのだった。



 中へと入ると、いつも通りリビテラさんが頬杖をつきながらタバコをふかしていた。


「……よぉ、ユウスケ。今日は大変だったんだってな。」


「はい、ゴブリンリーダーに頭殴られて気絶しちゃって……」


「テイマーなのに生身で戦うからだろう。」


 ケラケラと笑うリビテラさんに、そうですねーなんて言いながら俺もつられて笑う。


「……で、明日出ていくんだって?」


「えっ? なんで知ってるんですか。情報早すぎません?」


「当たり前だ。この町の住人はお前のこと大好きだからな。」


 ケラケラと笑いながら言う。この人は本当にからかってるのかマジなのか分からない。


「……さて、明日この町を出るお前に、助言だ。」


「助言、ですか?」


「あぁ、聞いて損はない。テイマーにとって最も大事なことだ。」


 テイマーにとって最も大事? マジ? ぜひご教授ください先生。

 そう思っていた俺に、突然質問が飛んできた。


「テイムとは、何だと思う?」


「え?」


 テイムって何だと思う? って?

 なんだろう、魔物を使役する為のスキルじゃないの?

 使役……? 手懐ける?


「魔物を手懐けるスキルですか?」


「手懐ける、とはちょっと違う。使役とも違う。」


 思考読んでるんですか? エスパーですか?


「テイムとは、魔物と心を交わすことだ。」


「心を交わす?」


「正確に言うと、魔力を同調させることだ。」


 魔力を同調させる? そうなの?

 つまりレイって俺の魔力と同調してるの? だから意思疎通みたいなスキルもあるのか?


「テイムの際に相手にダメージが入るのは、体内の魔力が抵抗する際に起こる歪みが内側から肉体を損傷させる物だと考えられている。」


「へぇ、そうなんですか。詳しいですね。」


「テイマーは数が少ないし謎の多い職業だ。お前の行こうとしている町にも専門的に研究してる物好きがいるぞ。」


 へぇー。会ってみたい。

 詳しくなれば詳しくなるほど、俺は強くなる。なんてね。


「だから、テイムする時には魔力の同調を意識してやってみろ。断然結果が違うはずだ。」


「なるほど、ありがとうございます。」


「……それと。これも大事なことだが。」


 リビテラさんはコホンとわざとらしく咳払いをした後、こう言った。


「出来ないことなんて無い。思いついたことを片っ端から試してみろ。常識を常識と思い込むな。」


 この台詞を聞いた時、リビテラさんの目には、何か信念のようなものがあるように見えた。


「俺たちには分からなくてもな、ユウスケ、お前だから分かることがある。それを出来るだけ拾え。」


 そう言った後、またいつものリビテラさんに戻って頬杖をついた。


「まぁ、そういうことだ。もう遅いし、そろそろ寝な。」


 なんだかよくわからないまま、俺は部屋へと戻った。

 最後の台詞って、俺を鼓舞してくれたのかな。

 乱暴にベッドに飛び込む。


 出来ないことなんて無い……か。

 一種の自己暗示みたいなものなのかも。


 そんなことより、モン娘と魔力の同調。なんか響きがえっちだね。

 えっちだね。


 えっちだ。



 えっちな同調のことを考えていたら、いつの間にか夢の中へと入るのであった。

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