15話 ゴブリンを狩りに行く
前回のあらすじ
レイにお肉と魔石を食べさせてあげたユウスケ。
着々と強くなっていくレイに満足しながら、防具を揃え、リーニャの元へ顔を出して雑談を交わした。
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リーニャの家を後にし、俺は冒険者ギルドである依頼を受けようとしていた。
ゴブリンの討伐依頼だ。
Eランク帯の魔物として登録されているが、個々の強さはFランクである。
ではなぜEランクなのか。
それは繁殖力が高く、基本群れているからである。
ときには集落を作るほどに繁殖してしまい、大規模な討伐依頼が出される時もあるらしい。
しかし、俺はEランクだし、今の俺とレイなら十分戦えるはず。
生息地域はポイズンビーが発生した森以外にもあるらしいので、そっちの森へ向かうつもりだ。
ゴブリンの肉はクソほど美味しくないらしく、討伐証明部位も右耳だけ。
つまり、肉は全部レイに食わせてステータスの糧にできる。
魔石は……
そういえば魔石でスライムが育つのって、一般的に知られているのか?
テイマーについて調べた時に書いてなかったから、もしかしたら俺が初めて見つけた情報である可能性もある。
あぁでも、リーニャはレイのこと特殊個体って言ってたし、魔石で育つのも特殊個体であるがゆえかもしれないな。
むしろ、今までそんな情報が出てない分、そう考える方が自然だ。
レイが魔石で育つ事は隠しておいたほうが良いのか?
いや、別に隠すほどでもないか。
まぁ適当に武器の手入れ用とか言って持っとけばいいか。ゴブリンは実質Fランクレベルの魔石らしいし。
と、そんなわけでゴブリンの討伐依頼の紙を受付に持っていく。
今受付にいるのはイルダさんだ。リーニャに頼まれたあの日のうちにリーニャがそのまま倒れてしまったので、なし崩し的にそのまま続けることになっていた。
「おっ、今日は討伐依頼かい。若い子は元気だねぇ。」
「採取ばかりじゃ手持ちが心もとなくなるもので…」
「そうだね、適度に討伐もやっておかないと、採取なんてみっつよっつ受けてようやくその日暮らしみたいなものだからねぇ。」
イルダさんにギルドカードと依頼書を渡して手続きをしてもらう。
「はいよ、間違えないようにポイズンビーが出ない森にいくんだよ。」
「はい。」
「まぁ、1匹出たくらいじゃ、あんたなら倒しそうなもんだけどねぇ。」
イルダさんはそう言ってクスクスと笑った。
ゴブリンの討伐依頼は基本的には10匹で銅貨10枚、それにプラス1匹につき銅貨1枚ずつ上乗せという感じになっている。
ゴブリンは他の魔物と比べても持ち帰る証明部位が右耳のみと少なく、また売る素材も魔石のみということで手持ちに余裕があり、その分多く狩ることが出来るということでこの報酬額となっている。
一度に多く持ち帰れる分他の依頼より短時間で報酬額も良いということで、普通の冒険者にとってはそこそこ美味しい依頼と言える。
ダートフロッグを狩った時もホーンラビットを狩った時も、本当は荷物運び用の馬車でもない限りは何往復かするものらしいのだが、あいにく俺にはレイが居たので荷物運びには難がなかった。
つまり俺にとって一度に持ち帰れる素材が少ない分、ゴブリンの討伐はあまり美味しくない依頼と言える。
と、そんなことを考えつつ歩いていると、どんどんゴブリンの生息地域が近づいていく。
ステータスが上がったお陰で、レイは抱えなくても歩く速度についてこれるようになっている。
ちょっとちっさくなって、大きくなるはずみで前進するみたいな感じの移動方法だが、これまた可愛い。
いつまでも見ていたい。
身体が魔力で出来ているお陰で、若干の収縮膨張なんかが行えるんだろうか。
魔石を食うってことは、魔力を調達してるようなもんだし、食えば食うほど身体を大きく出来たりして。
もし大きくなれるなら、一度は人をダメにするソファならぬ俺をダメにするレイになっていただきたいものだ。
きっと座った感触はウォーターベッドのそれだろう。気持ちいいだろうなぁ……
なんてね。
レイをテイムした周辺に来たから他のスライムと比べてみたけど、大きさはそんなに違いがなかった。
夢のまた夢のような話を妄想していただけなのだ。
俺をダメにするレイ。
スライムを沢山テイムして敷き詰めればウォーターベッドに……?
いやいやソレはないだろう。ウォーターベッドみたいにするのに何匹必要だと思ってるんだ。
そんなに10匹も20匹もテイムしたら食事代が馬鹿にならない。
でも逆に言えば、CランクやBランクまで上がれば金銭面は問題ないし、家を買ってそこにスライムを放し飼いしておけばいいのか。
猫カフェならぬスライムハウス。
なんか字面だけ見てるとモンスターハウスみたいで物騒である。
そんなことを考えているうちにふとあることを思い始める。
それは、今後どの様な魔物をテイムしていくか。
モン娘コンプリートは目的だ。まず外せない。
そのモン娘をテイムする為には、戦力が必要だ。
この世界ではモン娘、いわゆる人型モンスターというのは知能を持っている。
知能を持つモンスターというのは、身体能力だけでなく、戦闘方法、戦闘技術という面でも他のモンスターより秀でており、基本的にはランクC以上の討伐ランクとされている。
討伐ランクCというのは、普通はパーティで挑むときの難易度であり、パーティの人数は4~5人が基本である。
つまり、俺は人間でいうCランクの4~5人パーティ並の戦力を整えてから挑まなければならないのだ。
レイは肉と魔石さえ食べさせれば成長するからいいとして、ここいらのスモールタートルやホーンラビットをテイムしていくら育てたところで、素質も何もかもが違うモン娘相手には焼け石に水だろう。
つまり、Eランク帯のモンスターはテイムするべきではない。
レイ1匹と俺だけで狩りがきつくなってくる頃合いに、その周辺ランクのモンスターをテイムするのが一番よさそうだ。
繋ぎでホーンラビットやスモールタートルをテイムすることも考えたが、モンスターテイマーというのはテイムした後のモンスターの処理? といったらちょっと言い方が悪いけど、まぁソレも考えてテイムしないといけない。
と、本に書いてあった。
要するに、テイムするなら最後まで面倒を見る。面倒を見きれなくなったら預けられる場所などを確保すること。逃がすのはご法度。
ということだ。
大きい国なら、テイムされたモンスターを預かってそのまま育成する施設があるらしいので、そういう場所なら大丈夫なんだろうけど。
それでも収容可能な数っていうのはあるだろうし、それを当てにしてアホみたいにテイムするわけにもいかない。
育てた従魔を逃がすなんて以ての外だ。ある程度強くなったモンスターのはずだし、逃がした後に人を襲うことにでもなったら大惨事だ。
もとのランク帯を大幅に超えた強さを持つ魔物の出現は、色々と混乱を招くだろう。
場合によっては調査やなんやで被害を受ける以上に沢山の人に迷惑がかかる可能性も出てくる。
ちなみにテイムしたモンスターというのは、主人から一定期間離ればなれになっていると野生化するらしい。
それを抑えるためのマジックアイテムも存在し、ごく一部の富豪からはテイマーに特定の魔物をテイムしてきてもらうなんて依頼もごく稀にあるとかないとか。
そんなことを考えていたら、ゴブリンの生息する森へと到着した。
なんにせよ、これと言って取り柄のないゴブリンをテイムすることはまずないな。
それならまだホーンラビットをテイムした方がマシだ。
さて、それじゃあ討伐開始しますか。
と、早速森に入っていこうと思ったところで、森の方からガサガサと何かがこちらにやって来る音が聞こえた。
すぐさま警戒に入る俺。
ポイズンビーの一件から、物音に反射的に反応して身構えるような癖がついてきている。
実に良いことなんだけど、今回は全く意味がなかった。
なぜなら……
「よっと……お? ユウスケじゃねーか。こんなとこで何してんだ?」
森から現れたのは筋骨隆々の農夫、アルダンだったからだ。




