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我こそはモン娘テイマー也  作者: hoikun
四章 知るモンスターテイマー
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94話 再会

かなり展開に悩んだので、後々修正するかもしれません。

「クロノス、あとどのくらいだ?」


「もうすぐ見える。」



 クロノスはそう答えると、また気配を探るのに集中し始めた。

 クロノスの背に乗った俺は、俺の前に乗せた少女が落ちないように支えている。普通に移動していたのでは遅いので、クロノスに背に乗せて貰えるよう頼み込んだのだ。クロノスにとってはそれ程苦でもないらしく、一つ返事で許可を貰った。


 今、俺達は助け出した少女の親を救出しに行っている。

 少女を助けた後、念の為に反応を探ってもらった所、クロノスから似た魔力反応があると報告を受けたので、親だろうと予想を立てたのだ。

 たとえ魔族が襲来していようと、親というものは子供を見捨てないものだ。恐らく魔族の目をどうにか掻い潜りながら自宅に向かっているに違いない。


 リーニャはシロナやヒサメと一緒に、別の反応がある方向へと向かってもらっている。

 手分けして魔族を減らしていくことで、より多くの人を助ける為だ。このレベルの魔族ならシロナやヒサメの魔法でも余裕があるし、リーニャの指示もかなり的確だから問題ないだろう。

 こちらは俺が足手まといで、スライムのレイも強力な酸弾はもっているが、多数の敵への対処は得意ではない。それに加えて少女を連れているということもあって最高戦力のクロノスに来てもらった。クロノスが一人いれば、まぁ問題はないだろう。


 幸い魔族の勢いはそれ程でもないので、大きな被害が出る前に事態を収拾させることも不可能ではなさそうだ。



「……近いぞ。」



 クロノスはそう言うと速度を上げた。


 まるで新幹線に乗っているような景色の変わりように、思わずクロノスに掴まる手に力が入った。

 空気の抵抗をもろに受けて目を細める。通りすぎる民家や、すれ違いにクロノスに切り刻まれる魔族がちらちらと視界に映りつつ、クロノスは迷いなく目的地に向かう。


 前方に魔族が集まっているのが見えてきた。これはあまりよくない状況かもしれない。恐らく魔族は、人間を何らかの方法で認識できているはず。つまり、あの集まっている場所に女の子の親がいるはずだ。



「クロノス! 急いで!」


「分かっている。」



 クロノスはスピードを上げながら蜘蛛糸スキルを発動する。

 撚糸(ねんし)で束ね、硬糸(こうし)で強度を上げた投げ槍状の蜘蛛糸を、魔族達に向かって投げつける。



「展開、枷。」



 空中でほどかれた糸は、広がりながら魔族達へと降りかかり、枷の粘着力上昇によってその場に縫い付けられた。



「やっぱり蜘蛛糸スキル強いな。」


「……いや、今回はあまり長く持たなそうだ。」



 蜘蛛糸スキルの強さに感心していた俺は、クロノスの言葉を聞いて魔族達に視線を向ける。

 降りかかった蜘蛛糸は、魔族の体に触れている部分がジューと音を立てている。そういえば、魔族に触れた冒険者が火傷のような傷を負ったと聞いた。もしかして、蜘蛛糸が溶けているのか?



「この位置では巻き込みかねない。先に人間を救出、その後魔族を一掃する。」



 クロノスは魔族達を縫うように素早く通り抜け、少女の親と思われる人へと直行する。

 俺と少女は、振り落とされないようにクロノスにしっかり掴まる。一瞬感じた浮遊感とも呼べるような加速の後、クロノスは止まった。



「わっ! 何故町中にアラクネが!」


「あぁ、あなた。やっぱりあの子を置いて出かけた私達への罰なのよ……」



 あー、案の定クロノスにも怯えてるなぁ……って、ん?

 この男性の少し高めの声、どこかで聞いたことがあるような……


 と思った瞬間、俺の前から少女が飛び降りた。

 慌てて少女を追いかけるように俺も飛び降りると、少女は両親に抱きついたところだった。



「ぱぱぁ! ままぁ!!!」


「エメル!!」


「お、おぉ! エメル! どうしてこんなところへ!」


「あのね、あのね、大きい蜘蛛のお姉ちゃんが連れてきてくれたの!」


「まさか、アラクネが……?」



 そう言ってこちらに視線を向ける父親と、俺は目が合う。

 そこで、声の主のことを思い出した。



「クリントさんじゃないですか!」


「ユウスケさん!! ということは、新しい従魔ですか!!」



 クリントは俺を見るなり駆け足で俺に近寄ってきた。

 もうその時の目が、なんていうか……



「ほほぉ、アラクネといえば、糸がとても貴重なんですよ。アラクネは趣味で糸玉を作る個体もいると聞きますが、糸玉はお持ちでしょうか? もし差し支えなければ、お譲りしていただきたいところなんですが……あ! もちろん報酬は弾みますよ!! 品質にもよりますが、糸玉一つ金貨……いたっ!!」


「あなた! 今は我慢しなさい!」


「ら、ラーナ……」



 ラーナと呼ばれたクリントの奥さんらしき人が呆れたようにクリントの頭を叩く。奥さんがクリントを止めないと、ここで商談を完結するまで続けていただろう。やっぱり、クリントさんは根っからの商人みたいだ。思わず笑みをこぼしてしまう。



「クリントさん、その話は後でしましょう。命がなければ、物は売れませんから。」


「ユウスケさん……そうですね。まずは安全なところへ向かいましょう。」


「はい。それに、シロナの羽毛も渡さないといけませんしね。」



 シロナの羽毛と聞いて、一瞬クリントの目が光ったような気もしたが、奥さんのラーナにジトーっとした目を向けられて慌てて咳き込んでごまかした。

 そして、こっちを向いて頭を下げた。



「改めて。ユウスケさん、娘を助けていただいてありがとうございます。」


「いえいえ、たまたまですが、間に合ってよかったです。」



 クリントは微笑み、俺もつられて微笑んだ。







 あの後クロノスの見事な糸使いによって、集まっていた10体ほどの魔族をすべて切り刻んだ後、クリント家の三人を連れて、俺達は一旦町の外へと向かった。

 冒険者ギルドにも避難場所は存在するのだが、冒険者ギルドに行くよりも外に出る方が近く、人の多さからしても安全だと判断した。

 何より小さい子供がいる中で、これから更に奥に進みますなんて言えない。



「いやぁ、本当にありがとうございました!」



 門までたどり着き、外の景色が見えたところでクリントはペコペコと頭を下げる。

 あまり感謝されすぎても恐縮してしまうから、本当はやめてほしいんだけど……



「蜘蛛のお姉ちゃん、お兄ちゃん、ありがとう!」



 クリントの娘のエメルがとびきりの笑顔でお礼を言ってくるもんだから、やめてくださいとも言えず……まぁ、周囲の人達もチラチラこっちを見てるし、人型の人助け宣伝としてはいい効果かもしれないな。



「あの渦がおさまるまでは、町中に入らないようにしてください。俺達は魔族を減らしながら、逃げ遅れた人達の救出をしていきますので。」


「えぇ、えぇ。頑張ってください。待っていますよ、羽毛の件もありますし!」



 この人、もしかして俺達じゃなくて羽毛が心配なのか……? と思わせるような発言だが、まぁ冗談で言っているだろうからあまり深くツッコまないでおこう。

 奥さんのラーナがクリントの頭をポコリと叩く音を後ろに感じつつ、俺達はまた町中へと戻っていく。



「さ、クロノス。次の反応がある場所まで頼む。」


「承知した。」



 俺は、さも当たり前かのようにクロノスの背に飛び乗った。

 だって、俺が走るより断然速いし効率的なんだよ、サボってるわけじゃないから本当に。




~ 商業都市マールコット リーニャ ~




 ユウスケと別れて、私達も生存者の気配を探っていた。

 数人、なんとなく気配を感じるのだけど、どうやら全員移動中のようだ。

 恐らく、外か冒険者ギルドに向かっているのだろう。


 空を見る。


 空に広がった漆黒の渦は、広がっていく様子はなく、魔族を追加してくる様子もない。

 一番近い生存者は、方向的に一本隣の大通りをまっすぐ行った所かしら。


 なら、私達ができる最善の行動は……



「シロナちゃん、空から生存者の位置を教えてほしいの。それと、出来る範囲で私のところまで誘導してくれる?」


「ん。」


「ヒサメは、私と一緒に隣の大通りの魔族を倒しながら生存者に近づいていきましょう。」


「安全な退路を作るってところかしらぁ? いい案なんじゃない?」



 魔族が追加で降りてきてないなら、数さえ減らせば安全になるはず。

 大通りなら道もわかりやすいし、裏道を通るより視野が広がる分、魔族への警戒も最小限で済むし移動速度も落とさずに済むから速く外へ出られる。

 たとえ魔族が追加で降りてきたとしても、大通りからなら空が見やすいし、ルート変更も容易だ。

 ただ、私が戦うわけではないのに、戦闘の多い方法を取ることは気が引ける。



「ごめんね、私の弓じゃ戦力にならないけど……」


「いいわよぉ、気にしないで。仲間なんだから。」


「うん……そうね、ありがと。」



 そうよ、シロナちゃんもヒサメも、仲間なんだから頼ったっていい。

 目一杯頼って、二人に頼られた時に目一杯答えてあげることが仲間だ。



 私とヒサメは大通りを駆け抜ける。

 周囲で目につく魔族は、ヒサメの氷魔法によって一体ずつ確実に仕留めていく。



「んーーーー!」



 少し離れたところで、シロナちゃんが空を飛びながら大声を上げる。

 恐らく、あの真下に生存者が居るのだろう。



「って、よく考えたらここの住人って、まだ人型を見慣れてないのよね……」


「……」



 私とヒサメは顔を見合わせた。

 恐らく、同じ一つの可能性を考えついたんだと思う。

 なんでさっき考えつかなかったんだろう。


 生存者が、シロナちゃんから……ハーピィから逃亡するルートを選ぶ可能性を。



「やばい、急ぐわよ!」



 ヒサメに声をかけて加速する。

 空中にいるシロナちゃんの従魔証明証である首飾りを、あの距離では正確に視認出来ないかもしれない。

 そうなると、従魔だという事には気付かない。

 もし誘導に気付かずにシロナちゃんを敵だと思ってしまったら、逃げる方向は冒険者ギルドかそれ以外。

 ヒサメが魔族を一掃した安全な退路は意味がなくなってしまう。


 なんとか他の魔族と接触する前に、誤解を解いておかないと。


 そう思って急いで駆けつける。

 徐々に生存者の姿が見えてきた。


 生存者は男性三人。武器を携帯しているから、恐らく冒険者だろう。

 冒険者三人は、腰を抜かして座り込んでいた。



「はあっ……はあっ……ま、間に合った……」



 全速力で走ったから、どっと疲れが押し寄せてくる。

 隣を並走していたヒサメは、全く息が上がっていないようだ。

 ヒサメのその堂々とした佇まいに、男性三人は怯えるような視線を向ける。



「あ、あのっ……助けに来たんです。安心してください! 二人共、私の仲間なので!」



 まだ息も整っていないけど、必死に声を絞り出す。

 私の必死さを見て逆に冷静になったのか、三人の内一人の男性がヒサメの腕輪を指さした。



「そ、それって、従魔証明証か……?」


「は、はいっ! そうです!」



 続いてシロナちゃんの首飾りも確認し、なんとか納得した冒険者三人に、ヒサメが魔族を倒した安全な大通りについて説明する。

 冒険者三人は、話を聞いてホッとしたような表情になった。

 やっぱり、魔族を相手にしながらの移動は消耗が激しくなるので、退路を作って正解だったみたい。



「恩に着るよ。次会った時は、何か奢らせてくれ。」


「そうね、期待しているわ。」



 三人組のリーダーらしき男性と挨拶を交わし、三人組と別れた。

 彼らは安全な大通りを通って外へと抜ける筈だ。もう気にしなくても大丈夫。


 そうして次の気配を探り始めた。すると、ゆっくりとこちらに近寄ってくる気配を感じる。

 私は、その気配に違和感を感じた。いや、違和感というよりは……


 その違和感の正体は、姿を見たらわかった。



「よぉ。久しぶりだな。」

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