第5話 強豪vs強豪
5回70球エース大楽の力投で東光大港西の攻撃を0で封じ込めている。
一方東光大港西の右のエース北方も初回の1点以降完璧なピッチングを続けている。
両軍ブルペンではピッチャーが肩を作っている。
勝負の後半へ今始まる
5回70球。エース大楽の球数だ。
春は100球をメドに変えるのが函館大翔稜の野球スタイル。
ブルペンでは背番号10の黒田と二刀流の寺尾が準備を進めている。
6回の表の攻撃へ。
バッターは5番1年の佐藤からだ。
「迷わずバットを振る。」胸に刻みバッターボックスへ
初球の145キロのストレート佐藤は振り抜いた。
レフト方向にフライが上がる。
風は無風。だが打球が伸びる。
レフトはフェンス付近まで走った。
打球はフェンスを越えた。
ホームランだ。
「入ったー!1年佐藤追加点となるホームランを放ちました!」函館大翔稜にとっては大きな1点だ。
次の1点を大事にしていた為このホームランは大きかった。
北方はやられたと言わんばかりにうなだれた。
「東光大港西ピッチャー北方くんに変わりまして渡部くん。」左の渡部がここで登場した。
ダブルエースの1人の渡部。
左の本格派で道でも1、2を争うピッチャーなのだ。
ここから快進撃が始まる。
6、7、8と3者連続三振に打ち取った。
6回裏大楽は続投。
またランナーを許すも0に抑えた。
大楽は7回2アウトをとった時点で球数は95球へ。
ここでピッチャーをスイッチした
大楽から黒田のリレーへ
黒田は1年時に注目された右腕。
ここ最近は肩の怪我の影響で投球自体ままならなかった。
しかし、冬場のリハビリと努力の結果で万全ではないが投げれるまでに成長し、いまではMAX140だがコーナーをつく投球が出来るようになった。
試合は両者譲らず9回へ
6回からリリーフの渡部は被安打1、奪三振7と躍動した。
一方黒田は8回もしっかりと抑えゼロ封に抑えた。
9回黒田に代わりマウンドに上がるのは寺尾だ。
ノビのあるストレートと変化球のスライダーが武器の投手。
1アウトを取ったが、ヒットとフォアボールで1アウト1、3塁のチャンスを与えた。
ここですかさずマウンドに城が行く。
「1点はOK!サヨナラ負けはやめよう。」
寺尾に喝を入れた。
ピンチになりストレートを多投。
コースをつく投球で追い込んだ。
4球目アウトコースのスライダーで三振
2アウト1、3塁へ変わる
東光大港西はクリーンナップの登場
クリーンナップで2安打を放っている。
特に3番の山下は先ほどの打席でライトへ2塁打を放っている。
長打が出ると同点になる。
城からのサインが出る。
構えたところはインロー
初球ストレートを見逃しボール
2球目はインローに落としスイング
1-1からの3球目だった
アウトコースのボールぎみのストレートを流し打ち。三遊間を破った。
2-1になった。
東光大港西サイドは最大な盛り上がり。
城はすかさず寺尾の元へ
「悪い球ではなかった。あのコースを打たれたら仕方がない。次の4番の榊は振ってくるぞ。低めであと1つ取ろう。」励ましにかかった。
狙われていたか?思いっきり踏み込んできた。城は感じ取っていた。
4番榊へ打順が回る。
1ヒット同点のチャンスの東光大港西
抑えれば勝ちの函館大翔稜
熱い戦いが始まる。
初球2塁ランナーはスチールを切る
だがファールで1ストライクに
2球目アウトコースに沈めボール
3球目。城はアウトコースのストレートを求めだが寺尾は首を振った
インローのストレートを求めた。
3球目を投じた。低めに決まりストライク。
城はすかさず榊の踏み込んだ足を見た。
アウトローを狙っていた。
4球目インローのスライダーを要求。
しかし、寺尾はまたしても首を振る
アウトローのスライダーを求めた。
投じた球は際どいコースだがボールに。
勝負の5球目。城はアウトコースのストレートを求めた。寺尾はうなずく。
投じた5球目バットは空を切った。
「ストライク!バッターアウト!」
最後はアウトコース低めのストレート
147キロを計測した。
それにより函館大翔稜が強豪東光大港西を2-1で破り明日の3回戦に繋げた。
試合後大柳監督は「厳しい試合になるのは承知していた。東光大港西の北方くん、渡部くんこの2投手を攻略できなければ上にはいけない。そんな中で1年の佐藤がよくやってくれました。」
明日の3回戦は北見山陽に決まった。
北見山陽は北北海道の中でも必ずと言っていいほどベスト4に食い込んでくるチーム。
投手の左の古谷は秋の大会でMAX152キロを計測した逸材。
他にもスライダーを得意とする橋本
4番の宮川は注意が必要だ。
夜のミーティング。
「今日の試合北海道の1、2を張る投手を相手に2点を取って勝った。しかし、その投手を相手に2点しか取れなかったのも事実。内容は大楽に助けられた面が大きかった。夏に向けて課題も出てきた。明日の試合は北見山陽。
先発は黒田!お前で行く。寺尾をスタメンから外しブルペンで準備するようスタンバイしておく。明日は北北海道の中で一番の投手が登場するであろうことが予想される。各自対策を練るように。」先発は黒田。今日もリリーフで連投になる。
1点は取られたが寺尾の投球も戻ってきている。
勝てば中1日で準々決勝へ。
厳しい戦いはまだまだ続く。
1年佐藤の決勝ホームランで2-1と東光大港西に勝利した函館大翔稜。
3回戦の相手は北見山陽。
今度は北北海道の中での好投手が相手に。
先発は3年黒田。東光大港西戦でリリーフで好投をした。
エースの温存。投手陣はどう乗り越えていくのか。