第3話 翔稜発進
春季大会1回戦先発に抜擢された輝星
練習試合は中継ぎで結果を残していただけに初先発は不安が募る。
北斗東の本格派投手山城をどう打ち崩すか
見所が集まる。
試合前両校の先発メンバーがスコアボードに発表された
1 和田 遊 1年 6
2 小柳 中 2年 8
3 須田 一 3年 3
4 城 捕 3年 2
5 佐藤 三 1年 5
6 平田 投 1年 15
7 中村 左 3年 7
8 寺尾 右 3年 18
9 渡部 二 2年 4
練習試合と違うのは1、2番の入れ替えと
二刀流寺尾がライトでの先発だ。
1番に好調の和田が2番に長打力もある小柳が入った。
また、8番の寺尾はここ最近打撃が好調高校通算47HRまで伸ばしてきたホームランバッターだ。
秋の大会では主に野手ながら4番で出場している。
函館大翔稜は後攻
「まず守ります函館大翔稜高校のピッチャーは、」
順次ポジションと名前が発表される。
「1回の表北斗東の攻撃は、」
輝星は大きく深呼吸をした。
サイレンと共に試合が始まる。
キャッチャーの城がサインを出す。
ワインドアップから大きく振りかぶって投げた
「ストライク!」
インロー低めにストレートが決まる。
2球で追い込み、3球目はスライダーがインコースに決まる。
3つインコースで攻めた。
「ストライクバッターアウト!」
初アウトを三振で取った。
続くバッターも三振に倒れ、3番はセカンドゴロ。幸先のいいスタートを切った。
「1回の表函館大翔稜高校の攻撃は1番ショート和田くん。」
スタンドからは応援歌の紅が流れる。
左バッターボックスにゆっくりと入る。
「ストレートで押すタイプのピッチャーで、初球のほとんどはストレート。持ち球のスプリットやカーブは見せ球として使われることが多い。幸先よくスタートを切るなら鍵は1番。そして、得点圏でクリーンナップに回す事。ここになると思います。」作戦係の3年高野が昨日のミーティングで話した。
「おい。輝星。主役はお前だけじゃねえ。俺らも主役だ!」と思わせんばかりの打球が右中間に飛んでゆく。
初球をとらえた打球は右中間を真っ二つに割った。
和田は1塁蹴って2塁へ。そして、3塁へ向かう。余裕の3塁打だ。
2番小柳も初球をとらえ、1-0になった。
その後打線は止まらず4番城の春季大会初HRを含む一挙5点をもぎ取った。
その後も得点を重ねていった。
平田もテンポ良く投げて3回まで完全に抑え、奪三振も7となっていた。
4回裏の攻撃へ。
「まだまだ攻撃は緩めさないぞ。毎回得点でいくぞ。」キャプテン城がまた気合を入れた。
先頭の渡部がフォアボールを選び
今日3打数2安打1盗塁の和田へ打席が回る
初球はファールからの2球目
三塁線へセーフティーバント
1塁ランナー渡部は走っていた
迷うことなく2塁を蹴る
和田は一塁へヘッドスライディング
0アウト1、3塁の形を作った。
北斗東の監督は「なんなんだ。この隙のない野球わ。」全体的に焦りが見える。
チャンスで小柳が初球を左中間へ2塁打2打点を稼いだ。
なおもチャンスで須田がフォアボールで歩かされ
4番城がトドメの今日2本目のHRでとどめを刺した。
5回表ピッチャーは川井への継投。
3者凡退に抑え、1回戦は15-0の5回コールドで勝利をもぎ取った。
輝星は公式戦初勝利。城は2HRと投打が噛み合った。
試合後の取材で大柳は「とりあえず一安心です。投打が噛み合いましたが、山城くんはいい球を投げていました。次の試合への課題もあるのでしっかり調整させます。」と冷静なコメントだった。
プロ注目のキャプテン城は「2HR共に狙ってはいません。たまたま6打点も稼ぎましたが納得は行ってません。毎回得点はいいですが、内容がまだまだ。次に向けて反省します。」とコメントした。
次戦は24日相手は次の試合の勝者となる。
公式戦初先発で勝利投手になった輝星。
打撃陣も城が2HR6打点、寺尾のHRも飛び出るなど毎回得点の15得点の爆発。
24日の試合は次の試合で7回コールド勝ちをした東光大港西。
エースの渡部が鍵を握り、打線ではクリーンナップが鍵を握る。
先発はエースの大楽が告げられた。
大事な一戦。勝つことができるのか