第25話 声援を力に
3回1アウト1.3塁。
前の回にスライディングキャッチを見せた黒田が無念の降板。
緊急登板として2番目に寺尾が決勝戦のマウンドに登った。
果たして教えることは出来るのか!?
3回1アウト1.3塁。
結果として緊急登板となった2番手寺尾。
元々背番号1を背負っていた逸材。
「緊急登板。1点勝負のこの試合。今こそエースのピッチングを見せる時だな」城は寺尾に話した
寺尾も笑いながら応えた。
苫小牧日大は1番福田が2巡目に入る。
函館大翔稜は中間守備だ。
初球125キロのストレートが外れる。
2球目インローのスライダーを振らせた。
3球目ストレートを当てられたファール
4球目だった。城は思い切った。
寺尾はセットから投げ込んだ。
しかし、福田はタイミングをずらされ空振り三振に。
なんとチェンジアップを投げてきたのだ。
主なストレート、スライダーをメインに投げる寺尾。
チェンジアップはここまで投げたことない球だった。
2番大澤に回る。
城が1番警戒をしているバッターだ。
初球ストレートを打ち上げた。
高々く上がったフライはサード和田が捌いた。
1アウト1.3塁を火消しにした。
寺尾は右手を軽く握り喜んだ。
3回裏。函館大翔稜は7番宮迫からだ。
宮迫は4球目を打った。三遊間の深い当たりだったが、ショート山崎の好プレーが飛び出した。
8番中村に打席が回る。
2球目、アウトコースのストレートを逆らわず右方向に打ち返した。
右中間を真っ二つに破った。
中村は一塁を蹴り、二塁へ向かう。
ボールは中継に戻されただけだった。
ここで大きなチャンスが訪れる。
9番渡部から上位打線に回る。
このチャンスをモノに出来れば。大柳監督は考えていた。
初球渡部は仕掛けた。セーフティーバンドだ。
アウトコースの真っ直ぐを三塁線に転がした。
ピッチャー橘が捌き1塁に送球するも間に合わなかった。
1番和田が打席に入る前に、駒澤が和田に助言を与えた。
初球ストレートを見逃しストライク。
2球目スクイズの構えもボールに
3球目アウトコースからのスライダーを叩きつけた。
弱いあたりのゴロが転がり、3塁ランナー中村は突っ込んだ。
ピッチャーの橘はホームに送球した。
タッチプレーの結果アウトになってしまった。
2アウト1.3塁に。
2番チャンスに強い城が打席に入る。
城はストレート1本に絞っていた。
初球のストレートを捌いた。
快音が響く中センター方向にフライが上がる。
センター大澤は快速を飛ばしながら下がる。
そして、フェンス手前まで来た。
ボールは徐々に落ちてきて、フェンス手前の大澤のグラブに入った。
結果0点で終わってしまった。
4回5回とお互い0に抑えられた。
5回を終えて0-0
お互いチャンスは作るも0に抑えられる展開が続いていた。
6回も寺尾はマウンドに上がる。
苫小牧日大は3番山田健からのクリーンナップからだ。
山田健は6球目を捉え右中間に2塁打を放った。
4番山田大に回る。
山田大は2球目を打つもショートゴロに倒れた。
5番田山はなんと送りバントを決めてきた。
2アウト3塁。
なんとしても山崎に回したかったのが受けて取れる。
城はここでタイムを取る。
「7番久本は何かと当たったいる。ここで勝負するぞ!」と声をかけた。
スタンドからは全校応援とスタンド組の声が聞こえる。
それをなんとか力にしたい。寺尾は思っていた。
山崎との勝負を選択したバッテリー。
初球135キロのストレートが決まる。
2球目アウトコース低めにまたストレートが決まる。
3球目4球目は外れる。
そして、5球目アウトコース低めギリギリにストレートが決まり三振に打ち取った。
寺尾は「しゃー!」と言いながら右手を拳にし喜んだ。
6回裏。函館大翔稜は城からの打席だ。
ストレート狙いは変えてはいない。
いつか甘い球は必ず来ると信じていた。
4球目だった。橘が投げたストレートがインコースにきた。
コースは甘めのインコースだ。
城は迷わずバットを振り抜いた。
「まさかはいるか!?」スタンドは少しざわついた。
ライト久本はフェンス手前まで走るもボールはその上を通過した。ライトの上段付近まで飛ばしてきた。
「わーー!」スタンドは盛り上がった。
キャプテンの一振りでゲームを動かし、ベンチでも大柳監督が喜びを爆発させた。
ダイヤモンドを1周し帰ってきた城に大柳監督ハグした。
3番小柳はセンター前、4番寺尾はエンドランを決めて0アウト1.3塁にした。
5番須田は4球目を捉えて、6-4-3のダブルプレーに倒れた。
しかし、その間に2点目を奪った。
6番秋山は一、二塁間に打球を転がすもセカンド西野のファインプレーに倒れた。
この回2点。これは大きな2点だと大柳監督も考えていた。
7回表。ついに大柳監督は告げた。
ブルペンの方からマウンドに指を刺した。
「函館大翔稜ピッチャーの交代をお知らせいたします。ピッチャーの寺尾くんがレフト、レフトの中村くんに変わりましてピッチャー大楽くん。」
函館大翔稜スタンドは沸いた。
「大楽!頼むぞ!」「大楽やったれ!」などといった声が響いた。
最初のバッターは久本だ。
果たしてあと3イニングどう対応してくるのか楽しみだ。
前半5回はお互いチャンスは作るも0-0で後半に入る。
6回裏函館大翔稜はキャプテン城の1振りで試合を動かした。また、5番須田のゲッツーの間に1点追加した。
3回途中からリリーフした寺尾に変わり7回からエース大楽がマウンドに登った。
苫小牧日大打線を残り3イニングどのように抑えるのか注目が集まる。




