第16話 3年生の意地
初戦の札幌青雲戦は5回13-0とコールド勝ちを収めた函館大翔稜。先発の1年平田も好投を見せつけた。
次戦は札幌大第一。南北海道の中では強豪だ。
5回13得点。今年1番とも言える投打がかみ合った試合だった。
「肩の状態ですが・・・」大楽が試合後病院に行き診察を受け帰ってきた。
「夏の道大会は出場が困難です。仮に夏の甲子園まで行くことができたなら、出場は出来るとドクターが話していました。」イコールこの夏の大会は甲子園にエースを連れて行く!と大きな目標が目の前に立った。
札幌大第一戦の先発を考えていた大柳監督。
そこへある1人の選手がやってきた。
「札幌大第一戦の先発、自分に任せてくれませんか?」それは背番号11の橋本だった。
「エース不在の中、初戦は1年が完封。ラストの夏にかける身としては黙っていられませんでした。
監督が無理だと思ったらすぐ変えください。そーなったら後悔はありません。」橋本は思いを伝えた。
試合前日の練習では守備を見直し、調整程度にバッティング、投手陣は投げ込みを行った。
「明日はいよいよ札幌大第一戦。手は抜けない相手だ。3年生!必ず勝つためにここで1つ意地を見せつけろ!」明日のスタメンが発表された。
1 和田 遊 6 1年
2 城 捕 2 3年
3 小柳 中 8 2年
4 寺尾 左 7 3年
5 須田 一 5 3年
6 佐藤 三 13 1年
7 中村 右 18 3年
8 渡部 二 4 2年
9 橋本 投 11 3年
初戦スタメンの絶好調の駒澤、3安打の秋山を外し、
佐藤と3年の中村をスタメンに起用してきた。
先発ピッチャーは大柳監督に直訴した橋本に託した。
試合当日第1試合から続いていた雨が、第2試合の前、急な大雨により試合時間が延期された。
ベンチでは選手たちがその心境を見つめる。
雨はやがて弱くなり、試合時間は45分遅れる見通しが立った。
橋本の状態を心配そうに見つめる大柳監督。
ブルペンでは橋本-城のバッテリーが肩を作る。
「悪くはない。1巡目はいつも通りの投球、場合によっては秘密兵器を出すぞ。完封しろとは言わない。思いっきり全力で投げ込んでこい」と城は橋本に話した。
函館大翔稜は先攻。1番の和田が打席に入る。
ぬかるんだグランド状況と守備の動きを見たいと考えていた。
札幌大第一の先発は2枚看板の1人横手だ。
スライダーを軸に高い奪三振率を誇る。
初球、2球目と簡単に2ストライクに追い込まれるもその後4球粘りなんとか食らいつく和田。
7球目、アウトコースのスライダーを振るも空振り三振に倒れる。
2番城は高めのストレートに手を出すもライトフライ。
3番の小柳は左中間にいいあたりを打つもレフト大関のファインプレーにやられた。
1回裏。橋本がマウンドに上がる。雨が少し強まる。
1番高石が打席に入る。初球三塁線に弱い球の死んだ打球が転がる。橋本は取りに行くも間に合わない。
0アウトからランナーを出してしまった。
2番の平野は送りバント成功。
ここから3番高谷、4番大関と注目選手が2人続く。
まず高谷だ。1ボール2ストライクに追い込むも真っ直ぐが甘く入り右中間に運ばれた。2塁打となり簡単に先制点を与えてしまった。
続く4番大関。函館大翔稜ベンチは一旦間を開けた。
橋本は厳しいコースを攻めるもフォアボールを与えた。
1アウト1、2塁。キャッチャー城がここで続けてマウンドへ。
「力を抜くか。打たれても打球は死ぬ。ここは三振ではなくゲッツーを狙うぞ。」作戦を切り替えるようだ。
そして、1ストライクからの2球目ショートゴロが飛ぶ
6-4-3と渡り狙い通りゲッツーを取り最小失点に抑えた。
投げたのは小さく曲がるシュートボール。
左バッターの打ち切を阻んだのだ。
「雨が降ろうが関係ない。失点されたのは自分のせい。俺は意地を見せるだけだ。」橋本は切り替えていた。
2回表、2アウトから中村がフォアボールで出塁するも後が続かない。
2回裏、この回からピッチングを小さな変化球を中心に投げ込みゴロの山を築いた。
3回表、橋本が三振に倒れ1アウト、ここから2巡目に入る。
和田は9人の対決をみて、異例の右打席に入った。
初球のインコースの真っ直ぐを捉え、レフト前にヒットを放った。初戦2盗塁、翔稜のスピードスターが牙を剥いた。
2番城の打席でいきなりスチール。判定はセーフ!
キャプテン城はここで意地を見せることが出来るのか!?
雨が降り頻る中、函館大翔稜vs札幌大第一の試合が始まり、初回橋本の立ち上がりを第一打線が襲い掛かった。
2回表、翔稜のスピードスター和田が出塁、盗塁を決めた。
春の大会から絶好調のキャプテン城。
ここで同点に決めることが出来るのか注目が集まる。




