第10話 強気と根気
強豪を撃破し、勝ち上がってきた函館大翔稜。準決勝の先発は調子が良く好投を続けている1年平田。
相手はセンバツベスト8まで登り詰めた白楊学園。
相手の先発はエースの片山。
昼前の午前10:00試合が始まった。
「1回の表。白楊学園の攻撃は1番センター佐野くん。」
春の大会だが準決勝からはローカルチャンネルではテレビ中継される。
「プレイ!」昼前の午前10:00準決勝第1試合開始の合図がかかった。
両校全校応援の中、白楊学園の1番佐野に対して応援歌が流れる。
「栄光に向かって走るー(佐野!)あの列車に乗ってゆこう(海斗!)」大声援が佐野に後押ししている。
左打席の佐野に対してワインドアップから平田が1球目を投じた。
アウトローにスライダーを決めた。
「ストライク!」初球を決めてきた。
2球目アウトコースのストレートを捉えられた。快音が響く。
ピッチャー返のボールを輝星は取れずセンター前へ運ばれた。
「2番ライト青山くん。」
強行策で来るのか、走ってくるのか、城は色々と考えた。
ここでの試合では白楊学園は送りバントは少ない。どちらかというと1アウトランナー2塁にしようとするケースが目立っていた。
初球はボール。2球目もボールとボール先行に。
3球目だった。佐野がスチールを切ってきた。
青山はアウトコースのストレートを捉えた。
打球はライト前へ。
0アウト1、3塁のピンチに。
すかさず城はタイムをかけ、輝星の元へ。
「球自体いい球が来ている。無理に抑えようとせず、1点はいいから最小失点で切り抜けよう。」と話した。
3番好打者のセカンド高瀬に打席が回る。
内野は中間守備。
初球を打ってきた高瀬。打球はボテボテのショートゴロ。6-4-3のダブルプレーに打ち取るもの1点を返上した。
「ダブルプレーの間に白楊学園1点を先制!」
1点を先取された。
4番のプロ注目の高橋は三振に打ち取った。
「1回の表。函館大翔稜の攻撃は1番ショート和田くん。」
この春の大会で1年生ながらレギュラーをとり、ここ3試合でもしっかり結果を残している。
左オーバースローの片山は2-2からカーブで三振に打ち取った。
2番渡部はセカンドゴロ。3番小柳はライトフライに倒れた。
流れは完全に白楊学園に行っている。
2回表。またしても先頭打者を出した輝星。
今度は2者連続ヒットから送りバントを挟んで1アウト2、3塁のピンチに。
しかし、抑えることはできず。
8番打者にヒットを打たれ、3点目を返上した。
この段階でブルペンではエース大楽が準備を進めた。
9番と1番佐野をきっちり抑えた。
2回裏函館大翔稜は4番城からも3者凡退。
3回表に白楊学園はもう1点追加し4-0とリードを広げた。
その後お互い打線が奮起しない中
4回裏ついに函館大翔稜に火がついた。
3番小柳が2アウトからヒットで出塁。4番城が右中間に強烈な2塁打を放つ間に1塁ランナー小柳が生還した。
5回裏は6番輝星がヒットと盗塁でチャンスメイク。7番須田の長打の間に1点を返上。
そして、9番寺尾にもタイムリーが出て4-3と1点差まで詰め寄った。
5回が終わり、グランド整備に入る。
白楊学園の船越監督は「チャンスはまだある。ゆっくり辛抱しながら待とう。」とアドバイス
対する大柳監督は「流れは来ている。ロースコアできているから我慢をしながらだ。輝星。もう少し頼むぞ!」と声をかけた。
4回から配球を少し変えている城は
「奪三振は少ないがその分打たせて取るスタイルで流れが来ている。」と察していた。
しかし、6回表先頭バッターにヒットを許し
送りバントで1アウト2塁のピンチに。
バッターは3巡目になり1番佐野を迎える。
城はすかさずマウンドに行った。
「勝負するか、避けるか、どーする?ちなみにつぎの1点の入った方でほぼ試合の行方は決まるぞ。」と厳し目に訴えた
「勝負しましょう。」輝星は最初からそのつもりだった。
ここまで苦しみながら強気な気持ちで投げ込んでいた。1年だからと弱気にならず試合に出れるのは9人。ピッチャーが流れをつかまなきゃと思っていた。
しかし、粘られて7球目レフト前にヒットを打たれた。
2番の青山に打席が回る。
ランナーは気にするなとだけ訴えた。
3球目スタートは切ったがどこにも投げず。
1-2と追い込んで4球目。
アウトコース低めの真っ直ぐで見逃し三振に。輝星は吠えた。
3番打者にはインローのストレートでセカンドゴロに打ち取った。
輝星は「しゃー!」と吠えた。
その後7回からはエース大楽がマウンドに上がった。
「なんとか試合を作ってきた平田だ。次はエースのお前の出番だな。」と城は声をかけた。
エースと4番高橋の勝負に。
3球で追い込み4球目、インローのストレートで三振に打ちとった。
お互い点が入らないまま9回へ。
9回表に1アウト満塁のピンチを広げるも1-2-3のダブルプレーで凌ぎ切った。
「ラストイニングだ。ここで負けるわけにはいかないぞ。絶対勝つぞ!」と円陣が組まれた。
「9回の裏函館大翔稜の攻撃は4番キャッチャー城くん。」キャプテンが打席に回る。
白楊学園のエース片山はここまで14奪三振と力投を見せている。
初球アウトコースのストレートを振り抜いた。快音が会場中に響く。
「レフト、センターバックする。バックする!?」お互い見合った。
「入りました!函館大翔稜城!起死回生の同点ソロホームラン!この春4本目を叩き出しました!」会場は盛り上がった。
大柳監督もベンチで頭をなでた。
その後5番佐藤が2塁打を放ちチャンスを作るも後続が倒れた。
試合は延長に突入した。
エース大楽は4イニングに。
4番高橋との2度目の勝負へ。
4球目のストレートを捉えられ、レフト前ヒットに。
5番は強行策でレフトフライに。
6番は送りバントで2アウト2塁にランナーを置いた。
7番のところで代打の唐松が送られた。
城は「ここ絶対抑えるぞ!」と声をかけた。
初球インコースのストレートをストライク。
2球目インコース低めにチェンジアップ
3球目は低めにはずれ、4球目だった。
インコースのストレートを振り抜いた。
詰まった打球は・・・
レフト前へ落ちた!
2塁ランナーは3塁を駆け抜けた。
レフトの中村は強肩を生かし、ホームに伸びる球を放り投げた。
判定は・・・
「セーーーーーフ!」
「白楊学園!逆転に成功しました!」
5点目を入れた球場のボルテージが上がった。
その後の打者は打ち取った。
10回裏後がないチーム。
なんとかしようと7番須田がボテボテの内野ゴロを放つも気迫のヘッドスライディングを試みてセーフに!
0アウトからランナーが。
8番中村は打球をとらえるもレフトライナー
1アウト2塁に。
9番寺尾も打席が回る。
2ストライクからの3球目ショートライナーに倒れた。
1番和田に打席が回る。
「同じ1年が活躍している。俺も負けてられねー」と思い捉えた。
三遊間を破っていった。
2アウト1、2塁。1点入れればまだ試合は続く。
2番渡部に打席が回る。
「今大会途中から2番起用。期待に応えたい。」と心に刻んだ。
2ストライクに追い込まれるも粘りに粘る。
6球目を捉えた。打球は内野フライに。
セカンドが定位置でしっかりと刻み、
5-4で敗れた。
またしてもベスト4止まりだ。
試合後函館大翔稜の選手たちは泣き崩れた。
船越監督のインタビューでは「チャンスはあると思い序盤で捉えたので乗れると思ったがやはり城くん、平田くんのバッテリーにやられた。大楽くんもいい球を放っていて攻略の糸口を掴めなかった。」とコメント。
一方で大柳監督は「ロースコアの展開を予想していた。夏に向けてはこれから課題に取り組みます。相手の片山くんはやはりいい投手でした。」とコメントした。
春の大会、優勝は逃したもののベスト4入り。
3ヶ月後の夏の予選に向けてまた動き出す。
大事な1戦で6回4失点の力投を見せた輝星。
しかし、延長10回にエース大楽が1点を失い、惜しくも敗れてしまいベスト4止まりに。
3ヶ月後の夏の予選に向けてまた動き出す。




