発見と発展
3歳になった。
歩けるようになって、少しずつ体も鍛え始め、魔法の練習も本格的になってきた。氷の彫刻を作ったり、土人形を作ったり、炎で動物を作って動かしてみたりとあまり危険な事は出来ないが、バレない程度にひっそりとやっている。
普通魔法は詠唱をすることで発動する。この体はハイスペックなようで本に乗っていた呪文くらいならすぐに覚えることが出来た。魔導書の類の本は高価なイメージなのだが、流石は一流の魔法使いの住む家なのだろう。相当深い内容の本まで置いてあった。
なので親の目を盗んで読み漁って、下級、中級、上級、超級と1人で使う用に作られた魔法はだいたい網羅して、魔法使いが何人も集まって発動させる戦略級の魔法も呪文は覚えたのだが何分試す訳には行かないのでまだ練習すらしていない。
俺の魔力量なら1人でも使えるのではなかろうかと試す機会をひそかに楽しみにしている。
魔法には様々な技術があり、合成魔法や詠唱破棄、無詠唱に特定の動きをすると発動する魔法というのもあるらしい。
例えば、野球ボールくらいの火の玉をイメージすると、手の上に火の玉が現れる。それに周りの酸素を送り込むようにイメージすると、火の玉が大きくなり青色になる。
これが火と風の合成魔法でこれに回転を加えたりして飛ばすだけで結構えぐい威力を出せることは実践済みだ。
ちなみに低級の魔法しか使ってない。
そもそも魔法とは火、水、風、地、の基本属性があり、その派生で雷、氷、無、etc… 。種族毎にその種族しか使えない魔法などもある。
例えば闇属性の魔法は魔族しか使えない。
光の魔法はどの種族にも適正があれば使えるらしいのだが、光魔法には攻撃魔法が基本的にはない。回復魔法がメインになるのだが、例外で女神の加護をもった勇者のみ光の攻撃魔法が使えるらしい。それは邪悪なものにたいし絶大な威力を発揮する。
俺は神様の加護を持っているので使える可能性もあるが何分光の攻撃魔法の呪文は秘匿されているため、試しようがない。
勇者と魔王はやっぱこの世界にはいるらしい。
その日も物置で夢中になって魔法の練習をしていた。そのせいで、いつもやっていた周囲の警戒を怠ってしまった。
「トモヤなにやってるの?」
「やばっ!!?」
マーシャに見つかってしまった。しかも、ちょうど炎の虎を動かしていたところだったので言い逃れできない。
「トモヤ、あなた魔法を使ってるの?」
マーシャは目を見開いて驚いている。
俺が正直に答えようか迷って、黙り込んでいると、俺の目線までしゃがんで
「怒ってないから、正直に話して、ね?」
諭されてしまった。
仕方ない、正直に話そう。
「ごめんなさい母さん。本に載ってたから…」
それと同時に、魔法が載っている本を差し出した。
マーシャは本をパラパラっとめくって、また驚いた顔になった。
なにかおかしい事でもかいてあったかな?この本。
「この本が読めるの?」
あっ。俺まだ文字習ってない。すっかり忘れてた。自分で墓穴ほってどうするんだよ!?
とりあえず答えないと。
「うん。読めるよ」
バカ正直に答えてどうすんだよ!?やばい。いきなりだったから相当テンパってる。
するとマーシャが猛ダッシュで一階に降りていって、夫の名を叫んでいる。
「レオン!!レオン!!」
レオンの怪訝そうな声が聞こえる。
「どうしたんだ?」
「やっぱりうちの子は天才だったわ!!!」
うちの親は親ばかでした。
☆
「それでトモヤがまだ教えてない文字が読めて、魔法を使っていたと?夢でもみていたんじゃないか?」
「ほんとなの!!ちゃんとこの目でトモヤが魔法使ってるところ見たのよ。自分で文字が読めるって言ってたし。ねぇ?トモヤ?」
俺に振られてもこまるんだけど…。
俺は今マーシャとレオンに取り調べを受けている。
「本当なのか?トモヤ」
マーシャには言ってしまったしもう言い訳は聞かないだろう。
「うん、文字読めるし、魔法も使えるよ。」
証明する為に火の玉を出す。
レオンは心底驚いた様子で
「本当に使えるんだな。」
「ね?言ったでしょ?」
マーシャが得意そうな顔で豊満な胸を張る。
「これからどうする?もう少ししたら教えるつもりだったんだろ?」
「えぇ。だからもう魔法を教えることにするわ。」
まじか!!専門家に教えてもらえるなら、独学よりずっといい。
「なら俺も剣術を教えようと思う。どうだ?トモヤ。剣術やってみないか?」
「やりたい!!」
即答した。出来るだけ早く強くなって旅に出たい。
レオンは嬉しそうに
「そうか!じゃあ、早速明日からだな」
「うん」
これは願ったり叶ったりの展開だ。こんな早くに教えてもらえるとは思ってなかった。
10歳くらいには探しに行きたいな。
遅くなってすいません。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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