命の危機
体が熱い。頭が痛い。どうやら熱が出たらしい。
なんだか、体から力が無限に湧き出てくるようだ。風邪ひいたのに力が湧いてくるっておかしくないか?
それより、生後一週間で風邪をひくのはやばくないか?
すると、マーシャが慌てて部屋に駆け込んできた。
「何この魔力!!?」
俺のほうに近寄って、抱き抱えた。
「すごい熱。魔力が多すぎて、体から漏れ出てるんだわ。
おかしい、漏れ出すなら産まれてすぐになるはずなのに。」
おいおい、この熱ってあのドジ女神からもらったチート魔力のせいなのか?
どうしてこのタイミングで魔力が漏れ出したんだ?
産まれてすぐは魔力やらなんやらはまだなくて、一週間たった今やっと体に定着したとかそんなところか。
はぁ、あのクソ女神そのくらい考えとけよ。
やばい意識が飛びそう。
「この子が魔力をしっかり扱えるようになるまで封じ込めるしかないわね。確か、あれが使えたはず……。」
と呟くと、ものすごい勢いで部屋を出ていった。
ものの数分で戻ってきたマーシャの手にあったのはシンプルな銀色の腕輪だった。大きさは普通の大人の基準で作られているのか俺に付けるにはいささか大きすぎる気がすぎるんだが、大丈夫か?
「お願い、これで収まって……。」
マーシャが俺の腕をそっと持ち上げ、腕輪をはめると俺のむちむちした赤ん坊の腕に合わせて大きさが変わった。
腕輪は俺の体から溢れていた魔力をみるみるうちに吸い込んで、俺の魔力に蓋をしたみたいにもう体から魔力が溢れることは無かった。
「よかった……。」
力が抜けたみたいでほっとした顔で床に座り込んだマーシャを見ながら俺も意識が遠のいていった。
☆
目が覚めた時には熱は下がっていた。
マーシャが付けてくれた腕輪のおかげだろう。確かにあの時の溢れんばかりの力はもうない。
腹が減ったな。さすがにお腹が空いたくらいで泣くのは抵抗があるから、あーあーとうなった。
すると、マーシャが、部屋に入ってきた。
「よかった。目が覚めたのね。お腹すいたの?」
「あー!」
あーだけで返事をすると、服をはだけさせて白い豊満な胸をポロンとだした。
そうだった、今の俺の主食、母乳だったんだ。完全に忘れていた。
俺が渋っていると、どうしたの?とそのマシュマロのような胸を近づけてきた。
結局、空腹には勝てず、飲み口を口に含んだ。
食事を終えて、ゲップもして、マーシャがもう一度俺をベッドに寝かせようとしようとしたとき、
「マーシャ。トモヤの具合はどうだ?」
父親のレオンが部屋に入ってきた。
「レオン。帰ってきてたの?」
「たった今な」
「さっき目が覚めて、今、ご飯あげたとこ」
俺が大丈夫な事を知ると、ホッとしたような顔をして、そうか。と答えた。
「それにしても、体から漏れだすくらいの魔力を持っているなら、将来すごい魔法使いになるかもしれないな」
「魔力を抑えてる今の状態でも、私と同じくらいの魔力をもってるわ。多分、この子は私以上の魔法使いになる。」
「それは頼もしいな。」
おそらく、2人の話からすると、マーシャの魔力も多い方なんだろう。やはり膨大な魔力というのは本当みたいだな。
魔法か。楽しみだな。
読んでいただきありがとうございます。次回もよろしければ見ていってください。