転生
「産まれましたよ!旦那様男の子です」
「本当か!!よかった」
男はその吉報を聞き、愛する妻の元へ飛んでいった。
「マーシャ!!」
「レオン。男の子よ」
女は安心したように男の名を呼び、抱いている赤子を見せる。
「あぁよく頑張ったな。教会に名前を授かりに行かないとな」
「そうね。いい名前がもらえるといいわね」
そういうと、女はいきなり不安そうに顔をしかめて
「ねぇ、この子全く泣かないけど大丈夫かしら」
「そういえばそうだな。大丈夫なのか?」
すると、両親の不安を感じ取ったかのように泣き出した。
「オギャー!オギャー!」
「あぁ。よかった。」
「お前、父さんと母さんを産まれた早々ビックリさせるなよ」
「あはは。ほんとビックリしたわ」
2人は笑い合い、そして見つめ合い、キスを交わした。
☆
「奥様産まれましたよ。男の子です。」
そんな声で目が覚めた。どうやら無事転生できたみたいだな。俺を医者らしき人物が、母親らしき人に手渡した。
母親の顔を見て驚いた。耳が長い。整った顔とエメラルドグリーンの長い髪。色素がないんではないかと思わせる白い肌。だが、病弱という印象はない。
エルフか?じゃあ俺はエルフなのか?今はまだ確かめようがないが、ハーフエルフという線もある。これは父親の顔を見れば分かる。
すると、俺の考えを読んでいたかのように一人の男が部屋に入ってきた。
「マーシャ!!」
「レオン。男の子よ」
「あぁ。よく頑張ったな」
俺の母親の名前はマーシャというらしい。このレオンという男が父親か。
父親の顔を見ると母親の顔を見たとき以上に驚いた。付いていた。犬耳が。思わず倒置法になってしまった。これまた整った顔で茶色の髪を短く切りそろえている。ガタイがよく、身長も結構高い。この両親なら俺はさぞかし美形だろう。
獣人か。初めて見た。まぁ当然だが。
今まで気づかなかったが、お尻のところに今までなかった感覚がある。
これは、しっぽ?
まさか、俺はエルフと獣人のハーフなのか?
そんなのあるのか?
そんなことを考えていると。話していた両親の声音が急に不安そうなものに変わった。
「ねぇ、この子全く泣かないけど大丈夫かしら」
「そういえばそうだな。大丈夫なのか?」
そうか、俺は赤ん坊なのに一回も泣いてない。精神年齢15歳だから当然だが、泣かない赤子は呼吸が上手くできていないとか聞いたことがある。詳しい事は知らないが、一応泣いていた方がいいだろう。
「オギャー!オギャー!」
…若干棒読みになっている気がする。涙もまったくでない。
だが、両親のは安心してくれたようで
「あぁ、よかった。」
「お前、父さんと母さんを産まれた早々ビックリさせるなよ」
大変申し訳ございませんでした。
すると、笑っていた両親がいい雰囲気になってきて、キスをした。
おいおい、赤ん坊の前でイチャつくなよ。
くそ!リア充め。
…俺もリア充だった。
詩織に会いたいな。早く大きくなって探しに行かないといけないな。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。次回もよろしければ見ていってください。