ノロケ話
「智也君早く帰ろ〜」
「悪い。少し待ってくれ」
俺は米原智也どこにでもいるちょっぴりオタクな普通の高校生だ。テンプレな自己紹介だがそうとしか言い様がないから仕方がない。
…虚しくなってきた
だが!!俺はそこらのラノベの鈍感ハーレム主人公とは違うのだ。今、話しかけてきた彼女こそ永田詩織。学校のアイドルで俺の幼なじみ、そして俺の恋人だ。非リアの諸君ざまぁみろ
…クラスの視線が痛いのでこれくらいにしとこう。
「…也君。ねぇ智也君ってば!!私の話聞いてた?」
「あぁ、ごめん地球の食料危機のことについてだっけ?」
「そんな話してないよ!今日の夕飯の話だよ!」
頬をプクぅと膨らませながら怒っていた。
かわいい。
どうして詩織が夕飯の話をしているのかと言うと俺たちは同棲しているのだ。それもお互いの両親の了承の元でだ。
「ほんと仲いいわね。羨ましいかぎりだわ。私も恋人が欲しいわ。」
そう声をかけてきたのは小宮咲。俺たちの幼馴染の1人だ。黒髪の和服が似合いそうな美人系だ。幼稚園から小学校まで一緒でよく一緒に遊んでいたが、校区の関係で中学生は別になってしまったが、高校は一緒のところに通おうと同じところを受験した。
「まぁな。てか咲のルックスだったらすぐ彼氏くらいできるだろ。」
「私もそこそこ外見には自信あったのに、あたしの好きな人は鈍感の難聴系なのよね……。自信なくすわ。」
と言って、ちらっと隣にいた男子を見た。
「咲はかわいいんだから振り向いてもらえるよ。だから自信もって。」
そう小っ恥ずかしい台詞を何のためらいもなく言ったのはもう1人の幼馴染の1人の、金沢俊哉だ。
運動神経抜群で勉強もできて、顔はモデルばりのイケメン。
週に一回は必ず告白されている。なんでこんな奴と幼馴染なんだろう。死ねばいいのに。
まぁ、親友だからな。あんまり悪く言うのもやめておこう。
「そういうところが鈍感だって言ってるのよ。」
「どういうこと?」
「なんでもないわよ」
そういって頬を赤く染めてぷいっと顔をそむける姿は普段クールなところとのギャップでその光景を見ていた数人の男子生徒の恋に落ちた音が聞こえてきた。
そう。咲は小学校のころから俊哉に片思いをしている。
しかし、奥手な咲はなかなか告白できずにいる。
過去に俊哉に彼女が何人かいた事があるが、その時の咲の辛そうな顔を思い出すとぶん殴ってやりたくなる。
まぁ、俊哉はなかなか長続きしないため今はフリーらしい。
シオリにアドバイスをもらいながら絶賛アピール中のようだ。
「ねえ、咲ちゃんと俊哉君も一緒に帰ろ?」
「そうだね。帰ろうか。でも日誌職員室に出しに行くから先に行ってていいよ。」
「私も一緒に行くわ。」
チャンスとばかりに咲が俊哉そう言った。
「じゃあ、俺たち校門で待ってるな。」
そう言って、俺たちは手をつないで教室を出て校門へ向かった。校門を出ようとしたその時、なんの前触れも無くトラックが突っ込んできた。
俺と詩織は呆然とその光景を他人事のように見ているしかなかった。
一瞬強い衝撃が体を襲い、意識がブラックアウトした。
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