しゃけがすき(別サイト掲載加筆修正)
(・ω・)ゆっくりたべていってね!
少し前の作品『ほにゅのはなし(・ω・)しゃけがすき』http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3225741 の加筆修正版となります。
ほにゅは久しぶりに食べたいものがあって、おおきな港町におりました。とにかくしゃけが食べたい!とおもったのです。
この町サンタニーアにはもにゅがすでにいっぱい暮らしていて、珍しい存在ではなくなっていますから、ゆっくりのんびりできるのです。人間社会に溶け込んだものも多く、人間の通貨を得て使ったりすることもできますし、そうでなくても対価を払う方法があって、気兼ねなくおいしいものを食べることが出来るのです。
大通りの両側に、大きな港町らしく海産物のお店が立ち並んでいて、その場で調理して食べさせてくれるところもたくさんです。ほにゅにとっては何度か訪れている町なので、何軒かはなじみのお店をもっています。港の様々な物音。通りを行く人々の足音や話し声。ざわざわとやかましいほどの音の洪水の中を、ほにゅはぽてぽてと進んでいくのでした。
*****
ほにゅは行ったことのないお店に別のもにゅが入っていくのを見て、そのお店に入ってみることにしました。
入ると、もにゅ用の席を見つけたので、そこに着きました。人間の席のテーブルの一部にちいさな座布団が並んでいるのです。
先にはいったもにゅが、店員を呼ぶためにおいてあるベルをちりちりと鳴らしたので、ほにゅもついでに注文することにしました。
隣のもにゅは、ほにゅが話しかけても思念しか返してくれません。
(なんの よう?)
ほにゅはそのまま喋ります。
「ここには よく くるの?」
(うん)
「ほかの店は?」
(あんまり しらない)
そこで話は終わってしまいました。
しばらく黙っていると、注文したものが乗ったお盆が運ばれてきました。ご飯の上に鮭の切り身が乗っていて、店員さんが秘伝のたれをまわし掛けて行きます。すると、甘辛い香りがほわっとたちのぼって、ほにゅは幸せな気持ちになりました。
ほにゅは、鮭が好きです。焼いたのもいいし、生の身、つまり刺身もだいすき。日本で食べるようなお醤油でもいいし、この町のように、醤油やそれに近いソースに砂糖やみりんを加えても楽しいのです。お刺身なら、胡麻だれやドレッシングでもとってもおいしい!
ご飯は人間の子供用のかわいらしいお茶碗に、こんもりと山のように盛られています。上に海苔と、刻んだ薬味の葉が乗っています。葉は刺身の下にも敷かれています。紫蘇に似ていて、たれで口の中が甘くなりすぎるのを緩和してくれます。
ほにゅは飛びつくようにしてぱくぱくと食べていきました。
隣のもにゅは、別の魚の切り身を黙々と食べています。味付けもかけるものもなく、ただ人が食べるにはちょっとぱさついてるかな?というくらいによく火が通った白身の魚に、ちょこちょこと食いついています。
もにゅの味覚はいろいろです。人間と暮らしていても雑草しか食べないやつも居ますし、人間と同じ調理された手の込んだものばっかり食べているのも居ます。ほにゅは人間の食べ物には興味があるので、かなりの雑食です。
さて、ほにゅは食べ終わると会計へはねていきました。
ここの支払いは
1.人間のようにお金を払う
2.港に魚を仕入れに行ってもらう
3.呼び子をする(誰か一人でも入るまで。誰も来なければ休憩や閉店まで。)
4.皿洗いなどの雑用
のいずれかのようです。
ほにゅはお金を払うと、
「ごちそうさまでした。」
うきうきと跳ねていくのでした。