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もにゅの飼い方 (上)

地球上で飼うときには、最初は入れ物と仕切りを用意してそこから出ないことを教えておけば、だいたい何とかなる気がしてまいりました。あとはある程度みずから覚えていきます。

 最初に大陸に渡って数千年、もにゅ種は寒い地域と、文明的でない好戦的な民族の人々の居る地域をのぞいて、広がっていきました。発生した島が熱帯だったので、個体差を除けば暑いのは平気です。


 都会では、地球上とちがって犬や猫の世話をするのは上流階級のたしなみで、それ以外の人はペットが欲しくなったら小鳥を飼います。

 長く、小鳥ばかりが飼われていましたが、やがて、トカゲやヤモリ、地球上では実験動物などに使うハツカネズミに近いちいさなねずみを改良していったものなどが広く飼われるようになりました。


 それからは数年ごとに動物や植物を育てるブームがあって、あるときからもにゅも仲間に入りました。


 最初に売り出したペットショップでは、たまたま一体を捕まえた店員が数日後に別の動物のかごに発生していたのを育てて記録し、増えたり捕まえたものに人間社会のことを教えていったのだそうです。そうして作られたマニュアルが出回り、あちこちでもにゅが売られるようになりました。


 もにゅには雄雌などの性別の区別がありませんし、二匹一緒にしておいたら増えるわけでもありません。現在売られているのは、エルフの人から仕入れているか、波動の吹き溜まりを探してじっと見張り、発生したものを捕まえたものです。

 適当に見張って捕まえると、有る程度育ったものの中には嫌がって反撃するものも居ますし、もにゅたちの中には仕事がしにくいので良くないと考えている者もいるので、慣習的に「野生を捕まえる」というのは行われないことになっています。そして、もしかすると誰かが既に飼っているものかもしれないという理由も、もちろんあります。



 他の動物と同じように、ショップでもにゅを買うとマニュアルがもらえます。犬や猫のように、家や家族の審査などはありません。(注:この世界では、地球上と違い、動物によっては育てる環境や飼う人間に条件があったり審査や試験が行われる。)


 最初にもにゅを買うときのポイントは、目を合わせたときに目をそらしたり、敵意を見せたりしないことです。吹き溜まりから発生したばかりの場合はあまりありませんが、輸入ものの場合、人間に敵意を持っていたり、都会の建物や慣習を嫌がる者が混ざっている場合があります。


 本来は、そういう明らかに嫌がっていると分かった場合はエルフに返され、もとの生息地に帰されるのですが、手間賃をケチってそのまま店頭に並べるショップもあるようです。

 そうしたショップは、たいてい、他の動物の扱いも悪いことがほとんどです。ですからもにゅたちは動物達から悪い事をいろいろ聞いています。それで、自分もひどい扱いを受けるのではないかと怯えたり、嫌だと憤っていることがあるのです。


 飼いたいと思った個体が怒ったり悲しんだりしているときは、まず、自分がもにゅを可愛がっている様子を想像しながら目を見つめましょう。

 撫でてあげているところや、あったかいお布団やふかふかのクッションの上でそのもにゅが楽しく遊んでいるところなどがいいでしょう。何回か通ってそれを繰り返しても改善がない場合は、もともと荒い性格をしている可能性がありますので、別の個体を選びましょう。


(荒い性格をしている個体を買う場合、飼い主になれるまで家じゅうをめちゃくちゃにされる覚悟をしなければなりません。

 人間の子供が暴れたときや、地球上で犬や猫を買うときとは比べ物にならない被害が出る覚悟をしなければなりません。

 あなたが仕事から帰ったら家の屋根や壁がなくなっているかもしれませんよ!)


 選んだ個体とお互い敵意がない事を確認したら購入です。地域や時代にも寄りますがだいたい小鳥より高価ではありますが、犬や猫よりははるかに安いはずです。優良資格者向けの安い個体の半額くらいまで用意すれば、もにゅ自体と、すぐに必要なものは、きちんと手に入ります。

 逆に、小鳥の市場価格(国によっては決められた相場)よりも安く売られている場合は、輸出したエルフ側かショップに問題があります。すぐに『国際機関』の関連部署に報告しましょう(*)。問題は買う側が気をつけたり是正したりすることではないのと、長くなってしまうのでここでは書きません。


 購入したもにゅは、まずはもにゅの体長の3~4倍程度のかごやバケツを用意してください。置き場所を決めたらそこへ買ってきたもにゅを入れ、次にいいというまでそこから出ない事を教えてあげてください。数時間おきとあなたが寝る前に言い聞かせてやれば十分です。

 寝る前に、もにゅが載る程度の小さな皿に水を張ってかごの中に置き、おやすみの挨拶をしましょう。ほかは、全て次の日から教える事になります。必ず、次の朝にあなたが起きるときまで、『そこから出ない』ことを言っておくことが大切です。




*(報告について)

 報告の方法は郵送と通信端末(注:電話やラジオのようなもの)があります。『機関』の番号に通信をつないで、受け付けた人に『波動生物に関する未承認行為の可能性がある』と伝えてください。担当者と繋いでくれるはずです。繋いでもらったら、ショップの名前と、買ったときの値段、店頭や購入証明書に書かれた原産地と分類、個体番号を伝えてください。あとはあなたが気にする事は何もありません。その子を大事にしてあげてください。


 郵送の場合は購入証明書の転写か書き写しを用意してください。魔法転写でも物理転写でもかまいませんが、書き写しの場合はあなたが行うのではなく証明書を扱う写字店に依頼してください。封筒の表に『国際機関宛て 波動未承認確認』と大きく書いて郵便局へ投函に行きましょう。(注:ポストが街頭に設置してある地域は非常に少ない)

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