表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第03話:沈黙は暴力

 部屋につくと、女の子はまだ寝ていた。起こすのも悪いからそのままにする。


「この子は何でこんな所で……?」


 先程、此処に連れていく時に服装を見たが、貴族と呼ばれる人達が着ているドレスのようだった。

 という事は彼女は必然的に貴族のそれになるだろう。

 だからこそ、廃墟の城で一人でいるのは違和感が生まれてくる。


「訳あり……?」


 それなら確かに有り得る。

 敵国に命を狙われている某国の姫様とか、どこかの大貴族の生まれだが妾の子とかありそうだ。

 そして思う。


「何で俺?」


 どう考えてもこのシチュエーションでは奴らが選ばれるはずだ。

 俺みたいな一介のモブで一般人の雑魚が何で異世界にご招待されないといけないんだよ。

 どちらかと言えば道端にいる平民が似合っている俺を何で召喚するしよ。

 ……ヤバい。


「これ言ったらフラグ……」


 こんな事を言ったら確実に巻き込まれる。そして奴らに美味しい所を持っていかれる。


「本当に損な徳周りだよな。」


 今まであいつらが起こした問題や俺が助けた人は大抵はあいつらが評価されている。

 何故なら奴ら恵まれて生まれているし、漫画に出てくるイケメンみたいで顔は良い。何よりも、大抵は女性関係なのでイケメンの方にいくのでモテモテである。


「本当に殺意以外ないわぁ……」


 しかし、そんな事を言っても今更どうしようもない上に自身が納得したのだから諦めはついている。

 ただ、一つだけ納得できず怒りを覚えるとすれば……。


「……やめよう。昔の事だしな。」


 今更、あの事を恨んでも仕方がない。

 俺も守れなかったのだから悪いのは俺自身でもあるから恨む事事態がおかしい。


「……今更どうしようもないし、な。」


 そんな事を考えると、ベットで眠っている女の子からガタンと音がなった。


「!?」


 流石にいきなりだったので俺は驚いてしまった。

 別にびくついている訳ではない。


「な、なんだ?」


 俺は恐る恐る女の子に近づいて見る。


「うぅん……ん……」

「なんだ。寝返っただけか……」


 それにしても可愛いな。

 あいつらと関わってなかったら「ラッキー!」とか思うシチュエーションなんだがどうしてもあいつらに取られるイメージしかないな。

 うん。確実にあいつらがいると前提に考えておこう。


「……あぁ、最悪だ。」


 俺には安息の地はないのかと考えると、女の子の顔を眺めている。

 すると、女の子の閉ざされた目蓋がゆっくりと開いた。


「お? 起きたか?」

「……?」


 女の子は上半身だけ起こすと、状況を掴むためか辺りを見渡してみる。

 そして俺と目が合った途端に顔を青くして怯え始める。

 俺、なんかしたっけ?


「お、おい? どうした?」

「ひっ……!」


 そんなに露骨に怯えられると困るんだが……。

 取り敢えずは彼女に俺は敵でないと告げないと問題になるしな。

 何とかしないといけないな。うん。


「え~と……。俺はさっきのなんかの儀式で呼ばれた人間なんだが……。覚えてる?」

「は、はい……。」


 駄目だ。完全に怯えてる。

 大体、この子は何で怯えてるだ? そんな事を考えると、現在の状況と薄暗い部屋、見知らぬ男と二人っきりでやっとわかった。


「俺は危ない人じゃない。」

「……。」

「安心は……。男と一緒だからできないかもしれないが俺は変な事はしないから。」

「……。」


 何故だか俺は何か言い訳しているみたいに話してしまったような気がする。あいつらといるが基本は女性についてはあいつらが担当なので俺は女性の扱いが苦手だ。


「……ふふ!」


 すると、女の子は何かがおかしかったのかクスクスと微笑んで笑い出したのだった。


「なんかおかしい事でも言ったか?」

「あ、いえいえ。優しい方だと思ってつい……。」

「まぁ……面は三枚目だからな。それだけが取り柄だよ。」


 本当に俺が二枚目だったら苦労はなかったのに……。

 何故だか顔が三枚目だからか女子からいきなり「不潔よ!」とか、「エロゲーのあれよ!」などと変な言い掛かりをされてしまい心底泣きたくなりました。てかエロゲーのあれって何?


「あ、あの……。大丈夫ですか……?」

「あぁ、少しだけ悲しい思い出でな……。」


 話が打線し過ぎているが、それはそれで考えておこう。

 とりあえずは彼女から自己紹介や説明を受けよう。


「……話が逸れたけど、俺の名前は山中虹。君の名前は?」

「……私の名前はアルミシアンです。」





 私は名字を隠して彼に名前を告げてしまいました。

 でも、それは仕方がないのです。私は魔族で彼は人間なのですから。言わば私は敵である人間を召喚してしまったのですから名字を伏せるのは当然です。


「ふぅん。アルミシアンね。宜しく。」

「はい、宜しくお願いします。」


 彼は私の名前に対して疑問を持たないのか、それとも知っているのかわからない態度で接していましたが、私には「この魔族をどう始末をつけるか……」ととれて恐怖を表に出さないようにするのがやっとでした。


「(恐怖で焦っては駄目……。この男を利用する方法を見つけて考えないと!)」


 もし、彼があの召喚の内容道理に『世界を根底から覆す』程の力を持っているなら彼らにもあの人たちにも戦える。もう私は弱者の魔王ではなくなるかもしれない。

 それなら何も知らないこの異世界人の男を利用して騙そう。それが最善で、私が生き残る為の利用価値のある人間なのだから……。


「一応確認だが、あれは異世界召喚なのか? そして此処は異世界なのか?」

「はい、この世界はあなたの認識では異世界です。」

「へぇ……。なら、俺なんかを異世界召喚したのは何か訳でもあるのか?」

「はい。それは……。」


 そこで私はこの人になんて言えばいいのか考えてしまう。

 本当の事は人間だから言えない、言っても私が殺される可能性が高い。なら、もっと自分の立場を安定化させてこの人に命令できる立場としていれば問題ない。


「それは……。」

「それは?」

「あなたに私の騎士になって貰う為です!」

「……。」


 ……その沈黙で私は言った事を(痛い意味で)後悔しました。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ