プロローグ
私と彼との出会いは最悪でした。
「我は希望を願う者なり……」
薄暗く、不気味な城の中で怪しげな儀式が行われていた。
その儀式をしているのは一人の少女であった。少女は顔が隠れる程の長さの髪で隠れており、崩れた城の隙間から月の光が照らす。
白いドレスに黒いレースが入った姿は月の光により少女の身をより一層に美しく写していた。
「我は大いなる王者の末裔なり……」
少女が呪文を唱え続けると、まるで少女に引き寄せられるかのように光が集まり出して魔法陣を形成を始めた。
「しかし、我には統べる力なく、民を救う力もなし……」
魔法陣は少女の呪文に呼応するかのように光を強めて溢れ出していく。
溢れ出た光は渦となり、魔法陣の中央で巨大な光の玉になる。
「我は願う! 全ての民を統べる者を! 我は誓う! 全てを捧げて我が異界の者に仕える事を!」
巨大な光の玉は少しづつ空に上がり、夜の世界を照らしていく。
その輝きはまるで人々を導く為に照らし、輝いているようであった。
「来たれ! 異界の騎士よ!」
光の玉は一瞬だけだったが何倍にも輝いて、影すらも消し去る光に変わる。その光は少女をも包み込み、それは廃墟の城を包み込む程のものだった。
光は数十秒間も輝き続き、それは収束していくのであった。光が魔法陣だけを照らしているまで収束すると、先程の少女が地面に倒れており、激しく息づいている。
「はぁ……っ! はぁ……!」
少女は息も絶え絶えであるが、その瞳には強い意志があった。地面に倒れていたが、ゆっくりと顔を魔法陣の方に向ける。魔法陣の中央では今だに光が降り注ぎ、魔法陣が描かれている地面さへ見えなかった。
その時、少女は確信していた。成功したと。
「(今まで何度も召喚したけど、今度こそ成功したはず……。これが失敗したら私は、もう……。)」
少女は絶望的な状況を想像して振り払う。そんなはずはないと、自分に言い聞かせながら願った。
「(お願い! 多くは望まないから、私を助けて!)」
ただ一人、自信を守ってくれる騎士の存在を望んだ。すると、魔法陣の光が少しづつ小さくなり始めて、人の姿に変わり始めた。
徐々に光はそれに集約されていき、完全に光が人の姿になると消えてなくなり、一人の人間が現れた。
「……えぇっと、何処だよ。ここは?」
「……え?」
そこには一人の少年が立っていた。
少年の年は15から17に見えていて、顔の作りは悪くはなく、特別良くもない一般的な町にいてもおかしくないような普通の顔だった。ただ、少年はこの世界には特別な一族と同じ黒い髪に黒い瞳をしていた。その上、遠くの東邦の人しか持っていない黄色の肌をしていた。服装も変わっていて、黒いコートと黒いズボンで右手には見たことのない黒い道具袋を持っていた。
人間なら少年を見ても思う事はなかっただろう。人間なら。
「に、人間……っ!?」
少女は少年を見ていて絶望してしまった。
魔族である自身が敵の種族を喚んでしまった事と、自身を守ってくれる騎士を希望と期待をしたが、喚んだのがただ人間である事に絶望したのだった。
「(これからどう……すれ……ば……)」
そう思いながら、少女こと現・魔王のアルミシアン・ピアード・レイヴンは気絶するのだった。




