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概念屋『』  作者: 夕夜鶴
3/10

第二判『起始回成』

破壊は、消極的な創造であるのかもしれない。


確かあの日は2月4日だったと思う。まだ雪が降っていたと思う。

正直なことを言わせてもらうと、様々な物語。繋げる話をするため記憶が曖昧なものも多い。

それにもう二年も前の話だ。誰だってさすがに二年前のことなんぞ憶えていることは多くないはずだ。

まして、ある日数のことを完璧に覚えている人なんぞ、数えられるくらいしかいないはずだ。

今回の話は『俺が、概念破壊になった時の話』だ。

正直、全然面白くない。起承転結なんてルールはぶち壊している。

だから、付き合ってくれる奴だけ聞いてもらえればいい。

最初の語りを見て『気持ち悪い人間だな。俺が友達になってやんよ』と、思ってくれる者が聞いてくれればいい。

さて、そんな聞き手を突き返すようなことをやるのはやめようか。

さて、ではスタートしよう。


俺は、確か二年前といえば、1歳だったはずだ。・・・嘘である。

確か、25歳だったな。そうだ25歳だった。四捨五入すると30歳になるのだなと思って絶望していた頃だった。

その日、俺は休日だったから家で朝からずっとTVを見ていた。

暇を潰すために、時間を消費するためにTVを見ていた。

画面の中では、バラエティ番組がやっていた。

感動させる実体験。感動させる友情、愛情の話をドラマのようにして流していた。

スタジオでは、感動して号泣するゲストがいた。

・・・・俺はそれを見て『怒り』を覚えた。

なぜ、こいつらは感動なんてものができるのだろうか?と。

俺には理解ができなかった。こんなドラマのような実体験。なんの感情も覚えない。

『他人の気持ちがわかるやつなんていうのは異質』だと。

同情というものなのだろう。かわいそうと思う慈悲の心なのだろう。

そんなものを赤の他人に出ているのである。

できるわけがない。

だいたい同情なんていうものは、人間には不可能だ。

同じ感情になる。

同じ気持ちになる。

気持ち悪い。そんな奴絶対に一緒にいて欲しくない。心が見透かされそうだったし、何を考えているか分かりそうだから。

俺は、他のチャンネルがニュースだったから、このバラエティ番組を変えようとはしなかった。

ただ見ていた。傍観していた。

そんなことをしていると、携帯から電話がかかってきた。

勿論2年前なのだからもうスマートフォンが普及してきた頃だった。

俺も、25歳というジェネレーションギャップを若者との間で感じるか感じないかの瀬戸際だったため、流行に乗って買ってしまった。

アプリは一切入れていない。電話、メール、ミュージック、設定。

それくらいだ。そんな外柄だけでなく、画面の中も無機質な携帯電話を手に取り、画面を見る。

そこには『裁島心理』という4文字。

それを確認した俺は、応答のボタンを押す。

「もしもし」

というと、あちらから声が返ってくる。

「もしもし、XXXXXか?俺だ裁島だ。今から飲みに行かないか?」

チラリと時間を見やると午後9時。

結構いい時間帯である。

まあ、たまには飲みに行くのもいいかもしれないと思った。


俺はコートをはおり外に出る。

ここから俺の概念破壊というの名の『原因』へと近づいていったのだ。

ここで俺が行かなければ、いわゆる世の中の影へと引き込まれることはなかったのだろう。

ここから『有無家』との関係が築かれている。

ここから物事が始まる。

二年という長い物語が始まる。

正直、戻りたいとしか思わない。

正直、人間という枠に戻りたい。

正直、今の世界は出来すぎた。

だから、もう一度壊したくなった。

そしてより出来過ぎた世界をもう一度壊したい。

正直

『今の俺は楽しすぎて愉しすぎてたまらない』

話がそれてしまった。

だが、最終的に言えば、まあ、別に行って良かったのということだ。

俺は、寒空の下、裁島の待つ居酒屋に向かった。

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