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概念屋『』  作者: 夕夜鶴
2/10

第一判『ナレナレシイカコ』

物語には起承転結が必要である。

なんていうルール?条件?があるのだが、俺にとってみれば、そんなものは、くだらないものに過ぎない。

いや、決して『必要がない』と言っているわけではない。確かに、起承転結はあったほうが面白いと思うし、事実、そういう物こそが、面白いと思われるのだろう。

が、その起承転結というものが、絶対に必要。あってはならないものなのだろうか?

たまには、ないものをいいのではないだろうか?

『起と結』しかないものもあってもいいと思うのだ。

始まって終わる。

ただそれだけ。

面白くはないだろう。いや、面白いという可能性は低いだろう。

実際、そんなものを俺が買ってしまったら(本、小説の類はほぼ読まないが)即、投げ捨てることになるだろう。

ただ、なぜ人間は『それ(つまり、起結のようなもの)をそんなもの』と判断してしまうのだろうか?

そんなことは正直、簡単なことだ。人間が肉を食べる、魚を食べるという理由と同じくらい簡単だ。

それは

人間が『変化を好む』からだ。

人間は常識を覆す。

ルールを変える。

非常識を常識と思えることを好む。

人間は変化したがる。

いや変化したいと思いたがる。

それはつまり、変化したかどうかはどうでもいいということなのだ。

起承転結。

小説の起承転結に関しても人間が変化することの気持ちよさ、展開の速さから生まれてきたルールなのだろう。

あくまでも人間に合わせるために作ったルールにすぎない。

最近も『スマートフォン』というタッチパネル式の携帯電話が爆発的に普及した。

これは携帯電話の『常識』を覆し、新しい変化が生まれたから、

新しいルールを作られたから、人間は自分自身が変化したと思いたいがために買っていったのだろう。

だが、結局のところ、残念ながら『周りが変化しただけであって自分自身は変化したわけではない』

あくまでも偽物、あくまでも周囲の変化、あくまでも嘘の変化。

ただ、変化という言葉に出し抜かれたに過ぎない。

人間は自身を変化することは不可能だ。

外見は変化できるかもしれない。ただそれは、自身が変化したのではない。

ただ装飾しただけである。先ほど、外見は変化できるなんてことを言っちまったが、正確には装飾だ。

飾った。真似た。だけである。

だがらといって、人間が『変化できないわけではない』

変化するのであれば、人間という『枠』を越えればいいのである。

怪物の皮をかぶった人間と、人間の皮をかぶった怪物。

この二つを見たとき、俺は、おそらく、いや絶対に必然的に後者に恐怖するだろう。

変化というものは常に良いこととは限らない。

明らかに絶望的で

明らかに堕落的で

明らかに失望的な

そんな変化もある。

そして変化というものには、退化がない。

進んだら戻れる。

だが

変わってしまったら戻れない。

誰がなんと言おうと最悪な変化だったとしても、

戻れることは誰一人として、何一つして

不可能だ。

変化した道を進み続けなければならない。

加速もしなければ、減速もしない。

止まることもしなければ、スタートに戻ることもない。

ただ『変化し続ける』

こう考えると、変化というのは恐ろしいものなのだとわかる。

ただ俺はこれに気づくのが遅すぎた。

だから俺はルールを壊し壊し壊し

新しく作り作り作り過ぎた。

ルールという支えを壊し、崩し

《概念》というものを壊し、消し飛ばした。

そしてその全てを、作り直すという大掛かりな大仕事を達成することができた。

だが、これを終えた瞬間、俺はあることに気づいた。

概念を破壊してしまった俺は、自分自身も破壊してしまったということを。

自分という存在を概念を壊してしまった。そのせいで、俺は人間という枠を越えてしまった、いや超えてしまったのだ。

人間という枠から抜けたのではなく、漏れてしまったのだ。

事実上、他の枠組みとつながり、人間という存在ではなくなってしまった。

人を殺した者、人を裁いてきたもの、何にでもなれるものとはまた別の次元へと突き進んでしまった。

さて、自分の過ち、いや変化の話はここまでにしよう。

この俺《概念破壊がいねんはかい》の紹介、いや人間じゃないのだから説明になるのか。

それはそのへんにしておこうと思う。

さて、これは昔々の話と最近の話、ナゾをつなげる物語。

『起承転結』のなかにまた『起承転結』が重なる。かなり複雑な物語。

そして『結』はきっと俺は話さないだろう。

誰かが、変化を求めた結果、話すことになるだろう。

この俺

《概念破壊》

が破壊した人間

《時間》の狂わせ

世界の破壊。

そんな物語をはじめよう。



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