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第9話 夏の夜の贈り物 6

台風一過、朝は眩しいほどの晴天だった。


シンとファーストフードで朝ごはんにした。一人で帰れるって言ったけど、シンは送ると言って一緒にバスに乗ってくれた。


もしかして家出娘だと思われている?


「もし、今日誰も帰って来なかったらここに電話して」


渡された信用金庫の粗品みたいなメモ用紙に携帯の番号が書いてあった。


「?」


「俺の携帯の番号だから。心配なら一緒に警察に相談に行ってもいいからな」


「ありがと」


なんだか大げさに心配されているような気がした。


メモ用紙を財布に入れて私たちは目的のバス停で降りた。



「あの通りの向こうがうちだから」


シンを安心させたくて言ったのに、何故か自分の心に不安が生まれていた。


「・・・じゃあ」


シンは静かに微笑んでくれた。


信号が青に変わって私は走って渡った。どうして走ったのかは分からなかったけど、信号を渡り切ったところでシンに向かって思い切り手を振った。


シンも手を振ってくれた。


「ありがとう!シン!」




朝、電話したときにも誰も出なかったので予想はしていたけど、やっぱり家は無人だった。


それからすぐにバタバタと萩乃様が帰ってきた。


「桃乃ー!!」


萩乃様が私に飛びついて来た。


「萩乃様?」


「さっき菊乃から電話があって、私はてっきり菊乃が桃乃を預かっていると思っていたから・・・」


息を切らしながら萩乃様がこれまでの経緯を教えてもらった。


まず私が塾から帰ってきた日の昼間、ママに陣痛が起きて萩乃様の付き添いで助産院へ行っていた。


このとき萩乃様は菊乃様の携帯の留守電にメッセージを入れたつもりでいたんだけど、これが菊乃様の自宅の留守電だった。


そしてタイミングの悪いことに菊乃様は旅行へ行ってしまったのだ。菊乃様の方も携帯に連絡をもらえばいいからと特に萩乃様達には旅行に行くことを伝えてなかったらしい。


当然家には帰らないから留守電は聞けない。


そしてパパも取引先とトラブルが起きたらしく、急きょ出張に出てしまった。


パパと萩乃様は連絡を取り合っていたんだけど、私のことは菊乃様に任せているからと安心しきっていたみたい。


そしてママ、実はママは通常の検診は病院で行っていたんだけど、助産院で赤ちゃんを産む予定にしていた。だから陣痛が起きた最初は助産院へ行ったんだけど、ところが赤ちゃんの様子が設備のある病院ではないとダメだと分かり、病院へ移動。


どういうわけか病院へ移動するのに時間がかかったらしい。まぁママは運ばれるだけだったけど。


なんだがんだで夜中に緊急帝王切開に切り替わり、付き添っていた萩乃様も病院で仮眠したみたい。


翌日、私がシンと噴水を見ていた頃は赤ちゃんは無事生まれていたけど、ママが相当参ったようで、萩乃様はママのそばにつきっきりになっていた。


そして今朝私とシンが朝ごはんを食べていた頃、萩乃様は無事赤ちゃんが生まれたことをパパと菊乃様に連絡した。


そして萩乃様達は私が一人っきりにされていることを知ったの。



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