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第45話 愛の書簡 10

「津和蕗、進学止めるの?」


私の隣りの席で単語帳を見ていた学年トップの三枝瑞希さえぐさみずきさんなんか目を丸くして聞いてきた。


「止めません!進学しますっ!」


私はきっぱりと答えました。


「あら、そうなんですの?私てっきり来年は同じ桜の組になれるかと思ってましたわ」


雪姫が意外そうに言った。


「まぁでも朱雀の忍様って以前色々おありだったみたいだから、少し猶予を持って考えた方がいいかもしれませんね。」


「それって・・・『帝王』の、こと?・・・」


教室ということもあってはっきりとは言えなかったけど、雪姫には通じたみたいで、


「まぁご存じでしたの!?」


「んー、ちゃんとは知らないんです。小耳にはさんだとうか、かすめたという程度で・・・雪姫の方こそ忍さんのことご存知なの?」


雪姫のお家も名のある家柄だから知り合いであってもそれほど不自然ではないわ。


「私自身は直接面識があるわけではないのですが、一度姉と縁談があったのでその関係で・・・」


「雪姫のお姉さまともお見合いされてたんだぁ」


「いいえ違います。母が私を身ごもった時、もし後継ぎになる男の子が生まれたら姉と忍様の話しを前向きにしようという程度で、結局私が女だったのでいずれ姉は婿を迎え、その方に北白川の跡を継いで頂こうということになりまして、忍様も当時は周防院の跡取りでしたから、他家へ婿入りすることはできないので、そのままお話は終わってしまったのです。だから忍様ご自身がどんなお人柄かは私は良く分からなくて・・・でも桃乃さんが慕われる方ならきっと立派な方なんでしょうね。以前のこともきっと若気の至りというか、私達女性には理解しえない理由がおありなんでしょう。」


さすが雪姫、忍さんへのフォローを忘れずに、上手くまとめられたわ。


でも雪姫が生まれる時って、忍様は7歳とかそのくらいよね?雪姫のお姉様は私達の5歳上だから、えっ!?そのまま5歳じゃない!!!


そんな時から結婚相手を探しているんだ。


びっくり・・・


「あっ、忍様の事でしたら、まぁご本人に伺ったり、桃乃さんご自身で確かめるのが一番かとは思いますが、高月先生に伺ってもよろしいんじゃないでしょうか?」


!!


雪姫が高月先生の名前を出した時、パッと目の前が明るくなった気がした。


そうだ!祝様に頼まれた手紙。


高月先生が祝様の手紙の届け先だと思った私は始業式もホームルームもうわの空だった。

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