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第43話 愛の書簡 8

「あの~、どうして私がいる場所が分かったんですか?」


忍様の車で家に向かっている途中私はずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。


「・・・電話をもらったんです。百合乃さんから。」


ママが!?


「学校へ行くと言って出掛けたけど、帰って来る様子がないし、携帯にも出ない。だから僕と一緒にいるのかどうかって聞かれたんです。それで最近は桃乃ちゃんと会っていないことをお話ししたら、もしかしたらスポーツセンタじゃないかって言われて・・・・」


「ママ・・知って・・・」


知ってたんだ。時々スポーツセンタに行っていたこと。


「・・まさかあんな・・・でも、間に合って良かったです」


一瞬車内の空気が重苦しくなったけど、「間に合って良かった」って言った忍様の声に私も笑みがこぼれて穏やかな空気が戻ってきた。


「それから一つお願いがあるんですが」


なんだろう?忍様からお願いって。


「なんでしょうか?」


「できたら『忍様』じゃない方がいいんですが」


んーそうすると


「・・・忍さん?・・・・」


「はい」


忍様、もとい忍さんは私の疑問形の呼びかけにも関わらずすぐさま答えて下さった。


運転中なので私の方を向いては下さらなかったけど、私の呼びかけ(疑問形)にニッコリとされた横顔はとっても素敵♪








「本当に心配したんだから。」


「ごめんなさい。」


玄関で忍様からママに引き渡された。ママは忍様にお昼ご飯をうちでどうかとお誘いしたが、帰る途中大学のお友達から連絡が来て、研究か何かのことで大学に行かなくてはならなくなっていたので、ママに夕べのうちに家に帰さなかったことを謝罪して忍様はすぐに帰られてしまった。


家に着くともうお昼の支度が出来ていた。


「夏くんと萩乃様は?」


「夏くんのレッスン、今日は萩乃様に連れて行ってもらったの。桃乃は立花のお友達の家に泊ったことになっているから、でも夏くんのレッスンが夏休みだから時間が変更になって、桃乃が帰ってきたとき萩乃様に色々聞かれたら困るかなって、先に話を合わせておこうかなって思って、萩乃様には用事があるからって頼んじゃった。夏んも帰りにアイスクリーム食べさせてもらえるって喜んじゃって・・・ふう、嘘を重ねるのは良くないと思うからこれからは嘘はなしね。」


ママも夕べは大変だったんだろうなぁ。だから素直に謝れた。


「うん、ごめんね。それから・・・スポーツセンタに内緒で行ってたことも・・・」


「いいわよ。」


ママは仕方がないかったわよねって顔をして言った。


「萩乃様が反対するだろうから、桃乃が言いたくなかったってのも分かる気がするし、あっ、知っていたのは偶然、夏くんの幼稚園のお友達ママが見かけたって、前に家に遊びに来た時に顔を覚えていたらしくて立ち話程度に教えてくれてたのよ。でももう今度からは一言言ってね。」


ママって最近はずっと夏くんのバイオリンに振り回されているなぁって思っていたけど、ちゃんと私のことも見ていたんだね。照れくさい感じもしたけど、少し心が温かくなった気がする。


「あ、勉さんだけには本当のこと話してあるから。やっぱり夜中でも迎えに行った方がいいんじゃないかって心配してたからきちんと話ししてね。」


「分かった」


今日の私は本当に素直だ。






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