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第41話 愛の書簡 6

祝様が部屋を出ていかれてしばらくすると水嶋さんと一緒に亜紀枝様がお越しになった。


目の前に立つ亜紀枝様にはなんだかものすごいオーラがあって・・・


こ、怖いよ~。


忍様をチラッと見たら目が合って、ニッコリとほほ笑んでくれたら、ここはもうお任せしちゃうことに決めた。


なるようになれって感じかな。


「ごきげんよう、忍さん、桃乃さん。祝さんといいお若い方達は行動が早いのね。」


そう、まだお昼前なのです。


「実は亜紀枝様のお力をお借りできたらと思いまして・・・・」


忍様は昨日起きたことをなるべく私の立場が悪くならないように脚色を加えて亜紀枝様にお話しした。





「・・・・つまりは忍さんが指定した場所で桃乃さんはずっと待っていたと」


「そうです。」


「そこに不届き者が桃乃さんを連れ出そうとした。抵抗しているところへ忍さんが到着したが抵抗していた時に桃乃さんは怪我をした。桃乃さんの心理状態が落ち着くまで忍さんのマンションにいたが、時刻が遅かったのでそのまま部屋に泊め、今朝マンションの駐車場で立花の教師と会ってしまったと。」


「その通りです。」


本当は忍様と待ち合わせなんてしてません。ごめんなさい。


「桃乃さん」


「は、はいっ」


えっ~。私ですか?どうしよう辻褄の合わないこと言っちゃったら・・・・


程よい空調の効いた部屋のはずなのに背中に変な汗がいっぱい出てきた。


「今朝ほど立花の先生とお会いした時は今と同じ制服姿だったのかしら?」


えっそれはもちろん着替えなんて持ってませんでしたから


「は、はい。」


緊張のあまりかつ舌が悪い言い方になってしまった。嘘を言っていると取られないといいけど、制服姿で会ってしまったのは間違いなく事実だし・・・


すると亜紀枝様は電話をかけ始めた。


お部屋に設置されている子機を水嶋さんが亜紀枝様のお席まで運んで来たのよ。


映画やドラマみたいって思って茫然と眺めていたら、なんと立花の学長に電話をしていたの!


忍様の縁談が決まりそうで、その相手が立花のOGの曾孫で今は立花の高等科にいると説明されていたわ。


縁故があるにもかかわらず進学クラスにいると聞かされた辺りで、学校長は私だと気づいたみたい、学校長の声は聞こえなかったけど、亜紀枝様が「そうですわ。津和蕗桃乃さんですのよ。」とおっしゃっていたから。


電話を終えた亜紀枝様が私達を見た。凛としてでも慈愛に満ちた優しい表情だった。


「恐らくこれで大丈夫でしょう。」


そ、そうなんですか?今朝のことが一切話題になっていなかったのに、どう大丈夫なんだろう?


忍様も同じことを思っていたようで


「亜紀枝様・・・桃乃ちゃんに縁談があるということだけでどうして大丈夫だと言い切れるんですか?」


一瞬亜紀枝様の瞳がきらりと光ったように見えた。


眼光よ!眼光!


「仮にも立花で教鞭を取るものがですよ。これだけの情報を手にして桃乃さんの『おいた』があったかどうかの真偽を判別できないようでどうするんですか!」


えぇっ~!


あの先生は今私と今朝会ってしまったことで立花の教師として試されているってことですかぁ?


うわぁ~、挨拶なんかしちゃって返って申し訳ない気持ちになってきてしまった。



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