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第37話 愛の書簡 2

長い時間走った車はあまり見たことがないくらい高い塀のそばに止まった。


長い時間といっても気分的に長く感じただけかもしれなくて、実際はどのくらいの時間か良く分からなかった。


忍様が行き先を変更した時に時計を見ていなかったし・・・


車の窓から見えるその塀は距離もかなりあって、塀の中の敷地はかなりの広さのように推察された。


忍様はダッシュボードの中をいじっていて何かを探しているようだ。


塀の上から綺麗な緑の葉がたくさん見える。


あそこは公園かなにかで樹木がたくさん植えてあるのだろうか?と思っていたら、忍様が小さなリモコンを手にしてその塀に向けた。


塀だと思っていたけど、その一部は門だったらしく仰々しく開き始めた。


「・・・もしかして・・・」


いやまさか?と思いつつ声に出していたら忍様に聴こえていたようで


「はい、僕の実家です。」


え゛?


「嘘?」


これしか言葉が出て来なかった。


「すみません。嘘じゃないんです。僕の実家だけじゃなくて、親戚やうちで働いてもらっている者も住んでいるので、中に数軒家があります。敷地内の車道は一方通行で僕が住んでいた家には一番最後に着きますからもう少し車に乗っていて下さい。」


車はどうやら敷地内を時計回り進むらしく、門を入って左に入って行った。門の方は今度はリモコン操作なしに勝手に閉まり始めた。


手に変な汗が湧いてきた。


車をゆっくりと走らせながら忍様はご親戚の家についても説明して下さった。


敷地内に住むご親戚全員が「周防院さん」になるので、敷地内で使われる通称があるらしく、門を入ってから見えるお家順に「鷹野宮たかのみや」「柏木かしわぎ」「高月たかつき」と呼ばれているらしい。


この呼び名はその家を建てた時にその家の奥さまに当たる人の旧姓が使われているらしい。


ちなみに忍様が住むお家は「本家ほんけ」もしくは「朱雀すざく」と呼ばれているそうです。


4軒目に見た白い落ち着いた建物にはベランダがたくさん見え、周防院家内で働く方々の寮ということだった。


1軒1軒の間にたくさんの樹木があって高級別荘地を思わせる風景に唖然としていた。


最後に着いた白い大きな洋館が忍様の正式なご実家、「周防院本家」通称「朱雀院すざくいん」だそうです。


何故???洋館で「朱雀」??


しかも呼び方も「朱雀」だったり「朱雀院」だったりするようで、私のキャパを軽く超えてしまっている。


忍様の「おいた」の詳細以前に本当に結婚できるのだろうか?と途方に暮れた表情かおをして黙っていたら忍様が声をかけてきた。


「もうひとつ話しておきたいことがあるんです。」


「な、なんですか?」


これ以上何があるんですか!?


私は顔を引きつらせていた。


忍様はそれ見て苦笑した。しかも笑い顔を見せないように横を向いたのよ。


ちょっと失礼じゃないですか。って思ったけど、多分引きつった私の顔を見ながらだと話しが続けられないでしょう。


そこは何も言わないことにした。


「僕、この家の相続権無いんです。」









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