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第26話 さよならシン 1

トクントクンって音が聴こえる―――――


忍様の心臓の音だ。


私達のそばを通る人がこっちを見ていて抱きしめられた直後はすごい恥ずかしいって思ったけど、でも段々そんなことは気にならなくなって、逆にホッとしてきてちゃって忍様のシャツを掴んでいた。


そして・・・・・


「はい」って静かに答えていた。





「別段、何が変わるってわけじゃないんですけどね。ただ、桃乃ちゃんに直接言いたくなってしまって・・・」


よどみなく進む高速で車を走らせながら忍様は静かにおっしゃった。


お見合いが故にどうしても、一つ段階を進ませる度に私達の場合は亜紀枝様、萩乃様、菊乃様、そして両親が関わってくる。忍様はそれは後回しにしてまずは私と決められたと思っていたみたい。


そんな感じのことをおっしゃっていた。


将来のことを二人で決めて、それを家族に報告する。そういう風にしたいって・・・


なんだか恋人同士みたいって思ってしまった。


嬉しかった・・・・





その後忍様は大学がお忙しいのか、ご自分の様子を知らせたり私の様子を尋ねてくるメールを時折送ってくるくらいで、外出、いやこの場合デートよね、そのお誘いはなかった。


私の方も2日間家を空けてしまったためにご機嫌斜めの夏くんのお相手や、なかなか終わりの見えない宿題を消化しなくてはならない日々だった。


それでも宿題の方の目途がついてきたので、図書館へ行ったときに「お時間があるようでしたらどこかでお茶でもしませんか?」とメールを送ってみた。


だって会えない日が続いてしまったから忍様にお会いしたくなってしまって・・・


自分からお誘いしてもきっと忍様にご馳走になってしまうんだろうなぁと思うと恐縮してしまうけど、それでも私は忍様からの返信を待った。


しばらくすると忍様から返信が来た。


メールのやりとりなんて何度かしているのに、今日に限っては内容を見る前からものすごく嬉しくなってしまった。


「3時過ぎても良ければ大学病院の喫茶室で待っていて下さい。合流したら移動しましょう。忍」


良かった~断られなかった。


待ち合わせが喫茶室だけど、合流したら移動って書いてあるからお店をどこにするか考えておかなくては!私ははりきって広げていた教科書なんかを鞄に片付けて忍様のいる大学病院へ移動することにした。


この日もおとなしく忍様からの連絡を待って過ごしていれば良かったのにと後々悔むことになるとは、私はまだ知らなかった・・・・





ふぅやっとサブタイトルが変わりました~

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