第24話 婚約者の条件 13
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―――――― これは夢だ、と思った。
だってシンがいるんだもん。
どうしてか笑ってる。
シン、どうしたの?っていうか今までどこに行ってたの?心配してたんだよ。私はシンに色々聞いている。
なのにシンは何も答えない・・・
でも笑ってる。桃乃はしょうがない奴だなぁって言っているみたい。
「おはよう。桃乃・・・」
「おはよう、シン・・・」眠い目をこすりながら私は答えた。
―――――――― 「朝ですよ。桃乃ちゃん」
えっ?
忍様!
目を開けると目の前に忍様のドアップがあって、よく見ると既に着替えは完了していて・・・
うわぁ~、寝坊した!って今何時?
「おはよう。目が覚めた?僕、ロビーで新聞読んでますから、支度が済んだら来て下さい。朝ごはん食べに行きましょう。」
忍様はクスクス笑いながらおしゃって、軽く手を振って部屋を出て行かれた。
私はふうっと深呼吸してベッドから出て洗顔や着替えを始めることにした。
あれ?
私さっき「シン」って言ったの声に出してた?
もしそうなら、あの距離だと忍様には聞こえていたよね?
ど、どうしよう・・・
心臓がバクバクしてきた。なんか男の人の影があるように思われていたらどうしよう。
動揺するままに支度を終え、忍様の待つロビーに向かう。広いロビーにはソファーがいくつかあって、そこで新聞読んだり出発までの時間を過ごしたりする人達がいた。
端の方のソファーに新聞を広げた忍様がいたけど、どうしてかそのそばに見知らぬ綺麗な女の人が立っていた。忍様に話しかけているようだったし、忍様も新聞は読まず女の人の話しを聞いている風だった。
多分昨日と一緒で忍様をナンパ?しているんだろうなと思って、忍様が困っているならと思い二人に近づいたら忍様の声がした。
「お元気そうで良かったです。」
「忍くんもね。心配していたのよあのまま死んでしまうんじゃないかってもっぱらの噂だったから」
死!あまりに縁起でもない単語が耳に入ったので驚いて固まっていたら忍様が気がついてくれた。
「彼女が来たので、これで失礼します。」
忍様は新聞を畳んでソファーから立ち上がった。
女の人は私のを見て微笑んだ。とても綺麗な大人の女の笑顔だった。私は言葉が出て来なかったので会釈だけした。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さんね。良かったわね忍くん、死んじゃわなくて、フフッ」
女の人の唇には綺麗なバラ色の口紅が塗られていて私の目はその色に釘づけになった。
忍様は少し呆れたように笑っていた。
「じゃぁまたね、ってのは変よね。お元気で」
「サオリさんも」
サオリさんとう女性は私達の方は振りかえらず手を軽くあげて立ち去って行った。
「朝ごはん、食べに行きましょう」
忍様が私に声をかけてきた。
二人はどんな知り合いなんだろう?聞きたかったのに聞くことが出来なかった。
私は忍様に手を引かれて朝食を予約したダイニングへ行った。