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(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生  作者: 釧路太郎
悪魔狩り

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悪魔狩り 第六話

 うまなちゃんと栗鳥院柘榴以外にこの学校にはもう一人有名な生徒がいる。


 彼は自称悪魔召喚師で名前は野城圭重という。

 年齢的には栗鳥院柘榴と同じでうまなちゃんよりも一つ上なのだが、約一年間の入院生活の影響で学年としてはうまなちゃんと同学年という事になる。

 彼が入院していた理由は公にはされていないのだが、悪魔に取り憑かれていたので人前に出ることが出来なかったという噂もあるのだ。


 そんな彼がカフェにやってきたのだ。

 一人ではなく、栗鳥院柘榴と一緒にやってきたのだ。


「先日はどうもありがとうございました。おかげで私の心も軽くなりましたよ。そこでもう一つご相談があるのですが、詳しいことはこの男から聞いてくださいまし」


 栗鳥院柘榴はいつも座っていたテーブル席ではなくイザーちゃんがいるカウンター席に座っていた。何人かは栗鳥院柘榴の事を気にしている生徒もいるのだが、大半の生徒は特に気にする様子もなく俺と野城圭重の事を見ていた。


「いきなり相談事というのもなんですが、俺の話を聞いてもらってもいいですか」

「話を聞くのは構わないんだけど、誰かに聞かれたらまずい話だったりするかな?」

「俺としては問題ないと思うんですけど、この話を聞いた他の人が困ったりするんじゃないかって思うんですよ。なので、出来れば他の人に聞かれないところがいいんですが」


 同性同士とはいえ生徒と二人きりで相談室に入らないという決まりごとがあるため今すぐに相談室に入ることは出来ない。イザーちゃんと栗鳥院柘榴が仲良くなっているのか楽しそうに話をしているのだ。

 この前とは全く違う様子の二人を見ているとその邪魔をするのも良くないのではないかと思ってしまい、俺はイザーちゃんに声をかけることが出来ずにいた。


「ごめんなさいね。イザーさんは少しお借りしますよ。イザーさんがいないと相談室が使えないというのは存じ上げていますが、いましばらくの間は私にイザーさんとお話をする時間をお与えくださいまし」

「お兄さんごめんね。私は少し柘榴と二人で今後について語り合うことにするよ。そうだ、うまなちゃんと一緒に聞いてみたらいいんじゃないかな。そのお兄さんとうまなちゃんはクラスメイトだし良いと思うよ。柘榴もそう思うでしょ?」

「そうですわね。うまなちゃんとだったら真琴さんも気が楽になるんじゃないかしら」


 イザーちゃんがそう言うのであれば一緒に入るのはうまなちゃんでもいいのだ。

 ただ、肝心のうまなちゃんがどこにいるのかという話になるのだが、まるでタイミングを計っていたかのようにうまなちゃんがカフェにやってきたのだ。

 店内にいる全ての人の視線を独占したうまなちゃんは少し焦っていたのか、みんなの顔を一通り見てから困ったような表情を浮かべてイザーちゃんの方へと駆け寄っていた。


「あ、柘榴ちゃん。最近見なかったけど元気だったかな?」

「お久しぶりね。私は元気だけどうまなちゃんも相変わらず元気そうね」

「うん、私も元気だよ。柘榴ちゃんが遊びに来てくれなくなって寂しかったけど、こうしてまた会えたから嬉しいな」


 積もる話もあるのだろうと思って様子を見ていたところ、イザーちゃんと栗鳥院柘榴がうまなちゃんに先ほどの提案をしていたようだ。

 うまなちゃんは二人に手を振ってから俺たちの方へと駆け寄ってきた。

 いつも以上に今日は元気に見えるのだが、何かいいことでもあったのだろうか?


「圭重先輩の話を聞いて来いって言われたんだけど、何のお話を聞けばいいの?」

「やあ、お嬢さん。俺の話を聞いてもらいたいのはやまやまなんだが、ここでは皆に余計な心配をかけてしまう恐れもあるのだよ。そこで、相談室を使わせてもらおうという事になっているんだが、君も一緒に入ってもらっていいかな?」

「私は別にいいけど、お兄ちゃんは私と一緒でもいいの?」


「もちろん。イザーちゃんからの指名もあるけど、俺としてはうまなちゃんが一緒にいてくれたら心強いなって思うよ」

「お兄ちゃんの役に立てるって言うんだったら、私はいくらでも協力するからね。じゃあ、何か飲み物貰ってくるよ。圭重先輩は何がいいかな?」


 野城圭重はメニューとにらめっこをしながらも何にするか決めあぐねているようだ。

 俺は珠希ちゃんの気まぐれで決めてくれていいので何でもいいのだけど、野城圭重は俺が知る限りではここに来るのが初めてという事もあって何にするか迷っている。


「何でも好きなモノを頼んでいいんだよ。午彪さんと奈緒美さんのおかげでここでは何を頼んでも大丈夫だからね」

「お金で悩んでるんじゃなくて、どっちも美味しそうだなって思って悩んでるんです。珍しいジュースがいっぱいあるんでどれにしようか決められないんですよ」


「決められないんだったら、飲んでみたいもの全部頼んでもいいんじゃないかな。パパもママも圭重先輩が喜んでくれるんだったら、好きなモノを好きなだけ頼んでも文句なんて言わないと思うよ。私もホットチョコレートとジャスミンティーにしようかな」

「じゃあ、俺はカツゲンとガラナとリボンナポリンにする」

「あ、私もカツゲンあるなら飲みたいかも。お兄ちゃんも飲むでしょ?」


 いつの間にそんなものがメニューに加わっていたのだろうと思っていた。

 どのタイミングでメニューに加わったのかわからないけれど、珠希ちゃんがここで働くようになったタイミングでメニューのレイアウトを変えたことはあった。

 もしかしたら、その時にメニューに加えられたのかもしれないな。

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