父を死に追いやった人物に会ったとしたら……?(今日のお話は暗いかもです)
昨日のエッセイにチラリと書きましたけれど、父は自殺しました。第一発見者は私でした。
1か月後に結婚を控えていたので床の間に並ぶ豪華な結納品と、布団に横たわった父の遺体を見た百戦錬磨の刑事さんたちは、あまりにも対照的な光景に絶句しました。
父の遺体を布団まで運んだのは……たぶん私でしょう。突然の出来事に冷静な判断力を失っていましたけれど「新しいお布団を使うときっと母に叱られる」そう考えて古いお布団を引っ張り出したのはおぼえています。そして119番をして「自殺して死後硬直が始まって完璧に死んでいますから、救急車のサイレンを鳴らさずに来てもらうことはできませんか?」そうお願いして電話交換手の方を絶句させたのもおぼえています。
余談ですが病院以外の場所で死ぬと、検死のために警察と救急車が来ます。それを知っていたので救急車を先に呼びました。どっちみち警察へも連絡が行くと見越してです。近所の噂になりたくないのでサイレンを鳴らさないようお願いしたのですけれど、決まり上それはできないと言われました。でも必要最低限しか鳴らさず来てくださったので感謝しています。その節はお世話になりました。
父が死んだ、それも自殺。その事実を受け容れるのに何年もかかりましたけれど、ヘンな所だけ冷静でした(苦笑)。冷静にしていたつもりですけれど、父の冷たくなった身体を運んだ記憶はスッポリ抜けています。でも家には私しかいませんでしたから、きっと私が寝かせたのでしょう。その後もところどころ記憶が抜け落ちているのは、あまりにショックで脳が記憶を消したのだと思います。
父が自殺したのは突然でしたけれど理由は明白でした。数年に渡って職場の上司からパワハラに遭っていたのは周知の事実でしたし、最後は無理やり退職させられた。会社が解雇すると労基などがうるさいので、圧力をかけて自己退職に追い込まれたのです。
父は仕事が大好きでしたから、とても落ち込んでいました。そして遺書も残さず命を絶った。
誰が父を死に追い込んだか、私たち遺族はちゃんとわかっています。退職前に父から名前を聞かされていましたし、父が死んでたった2週間でその方は退職しました。訴えられたらかなわないとお考えになったのでしょう。
今ほど詳しくありませんけれど、当時も少しは法律の知識がありました。もし母が法的に会社やその方を訴えるつもりがあるなら、私は全力で会社や人物を追い込む。法の範囲内で合法的に完膚なきまで会社や人物を潰してやると考えました。お母さんは、どうしたい?
母 :そんなん、せんでいいっちゃ。
ソウ:どうして? お母さんは悔しくないの?
母 :もちろん悔しいけど、恨みを返してパパが生き返るん? パパは喜んでくれるん?
ソウ:…………。
母 :恨む時間があるなら、前に進むばい。もっと前向きなことをするっちゃ。
ソウ:わかった。それなら私は、お父さんのぶんまで幸せになる! お父さんができなかった楽しいことや嬉しいことを、お父さんのぶんまでやる!
母 :それがいいっちゃ! きっとパパもマチちゃんが幸せになるのを望んでるっちゃ!
正直言うと父には、私の結婚式の前に死ぬなよ……という不満があるのですけれど(苦笑)。そういうことさえ考えられないほど辛かったのだろうし、気持ちに余裕もなかったんだろうなというのは、ずっと後になって自分が死にたくなった時にわかりました(苦笑)。なんでも経験してみないと、わからんもんです(苦笑)。
何度か父を死に追いやった方に会いに行こうかと思いました。せまい町なので調べれば自宅でも何でもすぐわかります。でもやりませんでした。たぶんその方にも大事なご家族がおありだろうし、その家族を守るため仕事で父を解雇する必要があったのでしょう。大事な家族の生活を守るため、やりたくもない解雇をしなければならないとしたら? 私だってその方と同じことをしたかもしれません。死ぬまで追い詰めてほしくなかったですけれど、その方だって殺す気はなかったでしょうし。
その方のことは許せるのですけれど、一人だけどうしても許せない人がいます。救急隊員(ウダカ・実名)です。コイツ、父が自殺だと仕事で知って、一番に何をしたと思います? 父を死に追いやった上司のところへ「〇〇さんが自殺した」ってご注進に行きやがったのですよ! とっても得意げだったとその場にいらした方が教えてくださいました。机に脚を乗せて(!)ふんぞり返っていたらしい。そしてコイツ、それだけでは物足りなかったらしく、あちこちで言い触れて回りやがった! せまい町ですから噂が広まるのは、あっという間でした。父が死んだだけでも辛くて苦しいのに、さらに「……〇〇さん自殺だって」と噂される。陰でコソコソ言われるならまだしも噂好きな人たちから遠回しに自殺したと知っているとほのめかされて、遺された私たちはやり場のない思いをしました。
ウダカ、守秘義務って知ってるか? 知らんはずはないやんなぁ? お前がやらかしたことは、今も私たち遺族を苦しめてるんやぞ? そのへん、わかってんのか??
コイツだけは殴ってやりたいと今でも思います。でも娘さんはすごく性格が良くて、大好きなんですよね……。ちっ!(← 舌打ち)仕方ない。素敵な娘さんに免じて許してやるか……。
今でも父の死を防ぐことはできなかったのかと考える日々です。もう完璧に死んで思いっきり骨になっていますから、考えたってどうしようもないのですけれど(苦笑)。それでもたぶん、父の死は無駄じゃなかったと思います。後の私が相談員になってたくさんの方々のお役に立ったり、自殺を思いとどめてもらうことができたのは、父の死を経験していたからだと思います。だから父、ありがとうね。でもできれば生きててほしかったよ。
やっと父の死を言葉にすることができました。ここまで15年かかりました! 長いのか短いのかわかりませんけれど、やっと言葉にできた。どこかにきっと、私と同じ境遇の方がいらっしゃると思います。そして「家族が自死しても、おもしろおかしく生きてるヤツがいるなぁ~!」と感心してもらえたら幸いです。父のぶんまで幸せになると決めましたから、恨んだり悩んだり我慢したりするのはやめました! 頭の中をお花でいっぱいにして、一生お花畑で暮らしてやる! そのためにはイヤなことから全力で逃げる! そう決めました! どこまで逃げられるのかナゾですけれど、とにかく全力で逃げてやります!!
もうすぐ新学期が始まりますね。もし学校へ行くのが死ぬほどイヤだったら、行かないという選択肢もあります。なろうのエッセイで量産型ざくれろさんが「死を考えている、08月31日の君達と、9月1日の君達へのお願い 」という作品を書かれています。私が言いたいことを私以上に素晴らしく書いてくださっているので、詳細はそちらをご覧ください。ww
さいごに「死ぬほどイヤ」で思い出した話を一つ。
以前の職場で上司からいじめに遭って、心が折れて仕事に行けなくなりました。手続きなどで職場へ行かないといけないのですけれど、行けば会いたくない上司に会ってしまう。その上司には会わなくていいよう配慮しますから、とにかく一度来てくださいと言われたときに思わず出た言葉は……、
ソウ:行くくらいなら死んだほうがマシです! ぜったいに行きませんから!!
てっきり死ぬのと同じくらいイヤだと思っていたのですけれど、死ぬよりイヤだったんだ。ww なるほど。ww 思わぬ一言で、自分の本心を知る一件でした。ww
世界で一番大切なのは、あなたの命です。生きてさえいれば100点満点! そして生きてりゃイイコトありますし、好きなことなら頑張る力が自然と湧いてきます! 頑張ることができないのはあなたがわるいワケじゃなく、単に相性が合わないだけです。だからご自分を責めないでください。そして生きて楽しいことを見つけてください。
学生さんだけじゃなく、働いている方も、そうじゃない方も同じです! 生きてりゃイイコトありますから、死にたくなるようなコトから全力で逃げてください!! そしていつか「あの時、死ななくて良かった!」そう思ってください!
約束ですよ!!