タニセウ
タニセウは、研究の途中でこの研究所に寄ったらしい。
美弥は、気になったことを色々と聞いてみた。
「あなたは、熱波師なのですか」
「そうだよ。熱波師にも色々いるし、自分で名乗れば熱波師になろうと思えばなれるけどね」
早口な感じでタニセウは言う。
「具体的には何をするんですか」
「それは、熱波師によってバラバラだよ。ただ祈るだけのやつもいるし、熱波師と言いながら、詐欺師みたいなやつもいるよ。でもおれは正真正銘の熱波師さ。だから、祈りもするけど、雲を探すのさ」
「雲?」
「そう、自分の飛行機で飛び回ってとにかく雲を探す。全然ないけどね」
「そうなんだ。雲を見つけたらどうするの」
「飛行機から種をまく。そうして雲を育てるのがおれの熱波師のやり方さ」
わかったようなわからないような話を聞いて、美弥は不思議な気持ちになった。
ただ、タニセウが嘘を言ってるわけでないことは分かった。
実際に知りたいと思った。
「私も熱波師の仕事を見てみたいな」
「いいよ」
「えっ」
「行こう」
「えっ、今」
「うん」
「ルーサ、この子借りるよ」
タニセウは、ルーサに話しに行った。
「まだ早いのでは」
「大丈夫だよ」
「ミヤ、行こう。熱波世界を自分で見てみるんだ」
「分かった。ルーサ行ってくるね」
「気をつけるんだよ」
タニセウの2人用の飛行機の後部に乗せてもらった。
「行くよ、ミヤ」




