気温45℃以上で限界突破?!
暑い。
暑すぎる。
今日も東京は35℃を越えている。
一体どうなってしまったんだ、日本も世界も。
でも暑くても仕事には行かなくてはならない。
美弥は今朝もとにかく起きて、朝の支度をした。
「うー今日もすごく暑そう」
「こんな時こそテレワークじゃないのかな」
ぶつぶつ言いながらも行くしかないので、淡々と準備を進めるしかない。
そして、淡々と外に出るしかないのだ。
「あつう」
駅までは歩くしかない。大した距離ではないのだ、普段は。
体中から汗が噴き出してきた。
すでにシャツが湿ってきた。
気のせいか通りすがりの男がこちらを見ている気がするが、構う気力もない。
不意に太陽を見上げてみた。
「今日もギラギラだねえ。。。」
(あれっ、視界が。。。)
美弥の意識はそのまま遠のいていった。
いびきの音で目が覚めた。
カーテン越しの隣人のいびきがうるさい。
ここは病院だろうか。
外でキュッキュッと歩きまわる音が聞こえる。
(私倒れて運ばれたのかな。。)
少し頭が痛い。
手首には点滴の針が刺さっていた。
「目が覚めましたか」
突然背の高い男がカーテンの中に入ってきた。
「キャッ」
「びっくりさせてごめんなさい。長い間寝てたので心配で」
優しそうな男の人だった。
「今日も凄まじい暑さですよ。外に出てはいけない。45℃くらいかな」
「45℃!?嘘でしょ?」
「いつものことですよ。この世界では」
男の人は、ルーサと名乗った。
「今はあなたの担当になってますので、何でも言ってくださいね。あなたの名前は何といいますか」
「美弥です」
「ミーヤ」
(ちょっと違うけどまあいいか)
「では、ミーヤあなたはいつどこから来ましたか。隣の方も昨日転生してきたばかりですよ」
「転生!?ってどういうこと?日本でしょここ」
「あなたは日本という所から来たのですか」
「。。。今は何年ですか」
「2050年です」
「。。。」
ミーヤ(どうやら私は未来の違う世界に来たみたいだ。。。)
ルーサ(どうやら彼女は前の時代の日本という所から来てかなり混乱してるようだ)
「私っ」
「あなた」
ほぼ同時に話した2人はしばし見つめ合った。
「私違う世界に来てしまったみたい」
「ここには様々な世界から様々な人が来ます。この暑さが1つは関係しているようですが、まだ調査中なのです。ここは病院のようでもあり、ミーヤのことは治療しますが、同時に調べさせてもらっています。研究所だと思ってください」
「分かりました。私何も分からないので、よろしくお願いします、ルーサさん」
「ルーサでいいですよ」
(ちょっとかっこいいかも)
「とりあえず体調が整うまではここでゆっくりしてください。その後少しずつ案内しましょうこの熱波の世界を」
こうして私の熱波世界への転生が始まった。
まだこの時はその凄まじさを分かっていなかった。
でもルーサも助けてくれるようだから、とりあえずはこの世界で過ごしてみようと思った。
元の世界には特に彼氏もいなかったし。
親に会えなくてしばらく寂しくなるけど、そのうち戻れるかもしれない。
まずはここで生き延びるしかない。