天一号作戦
少し後の事になるが、天一号作戦について語っておこう。天一号作戦とは、戦艦大和最期の戦いであり、事実上日本海軍最後の艦隊作戦となったものであり、巷では「大和沖縄水上特攻」として認知されている。
天一号作戦に参加した艦艇はわずか10隻程からなる艦隊は、戦艦大和を旗艦として、米軍の沖縄上陸を防ぐ為、日本本土から出撃し、米軍を確個撃滅する為の作戦であった。
結果から言えば、この日本艦隊は壊滅して米軍の沖縄上陸を許してしまう事になる。戦力がどうと言う前に、米軍のターゲットは明らかに戦艦大和に集中していた。事実、大和に集中砲火が浴びせられて、大和が沈んでからは他の日本海軍艦艇には投降を促している。最早日本には海軍艦隊を維持させる力は無く、空母も戦艦もなくなった。
大和を撃ち取れば確実に日本軍の戦意は落ちる。そう米軍は見ていた。事実、大和がやられ連合艦隊は消滅したも同然となった。そもそも、天一号作戦と作戦名だけは立派で、聞こえは良いが艦隊とは名ばかりで、天をひっくり返す様な戦果を得る事は難しい。
無論、日本海軍の首脳陣も大本営も馬鹿ではない。たった10隻の艦船で、3年間戦っているあの米軍に勝てるとは思っていなかった。最早戦局は100:0で日本が不利な事も理解していた。それでも彼等にも意地とプライドがある。何の抵抗も無しに沖縄を取られたら、それは「日本海軍末代までの恥」であって、そんな事は許されない。天一号作戦の目的は勝つ事にはあらず。
くだらない大本営と海軍のプライドを守る為におよそ3000人以上の海軍将兵が亡くなった。その事実だけは揺るがない重大事案であった。




