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大和物語~ザ・ビゲスト・バトルシップ~  作者: 佐久間五十六


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風呂の作法

 大和には、多くの兵士がいた為、大浴場があった。勿論、風呂の入り方にも厳しい作法があった。

 浴室に入るとまず各人碁石大のブリキ製板コインが3枚渡される。このコインは、真水を貰う為のコインで、なくしたり取られたりすると、海水の湯に浸かるばかりである。海水の湯は石鹸がよく効かない上に風呂上がりでも、体がヌルヌルして気持ちが悪い。

 まず最初に石鹸箱をタオルに巻き付けて、頭の上に鉢巻きをする。そして順送りに中腰になって、端から入って行く。8畳程の浴室の前方には、古参の水兵が番台後になって待ち構える。ここで、三枚のコインの内の一枚を渡すと、洗面器一杯の真水の湯が貰える。

 この一杯で体全体を石鹸でよく洗い、二枚目のコインで得た真水の湯で石鹸の汚れを洗い落とすのであるが、この石鹸汚れがよく落ちていないと、恐ろしい一等水兵に叩かれる。

 こうして無事に洗い終わると、また向こうの端まで行き三枚目のコインを使い最後の湯を貰い湯船の海水の塩分を濯ぎ落として、入浴完了となる。浴室では全員裸だから、階級など分かるはずもないのであるが、これが不思議と察しがつくものだそうだ。

 バッターで叩かれた後の尻の「艦隊マーク」がその目印となる。煙突に一本、二本と入っている白い線を艦隊マークと呼ぶのだが、これを文字ってそう呼ぶ。習慣で階級が分かってしまうと言うから、海軍と言う所は恐ろしい。

 また、連合艦隊司令長官専用の浴室もあり、此方は西洋風のバスタイル張りで長官の使うお湯は全て真水である。洗濯も貴重な真水を使う事が許されている。真水が貴重なのは言う迄もないが、大所帯の大和において、これだけの真水を確保する為には、スコールであろうが何であろうが、使える資源はフルに使わなければ、とても賄いきれないものであると言えるだろう。

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