17.1R風呂トイレ少女付き
さて、とりあえず危機は去ったが、まだまだ楽観はできない。さっきのヘルメス様の様子だと、ポーションや浪漫コンクリートの粉の出処を、どう説明するのか考えてなさそうだしな。
俺のスキルがどの程度のチートかはまだよくわからんが、ポーション作成だけでもかなり有用だということはわかった。戦闘能力も似たレベルのチートだと動きやすいのだが、鑑定眼が魔王どもに通じなかったことを考えると、鑑定眼以外の判断材料が必要になるかもしれん。
まぁ、悩んでも仕方がないのでポーション作るか。
何時間ほどたったのだろうか。作成できたエリクサー(高品質)が約500本、上級ポーション(高品質)が1000本。瞑想を使うと一時間でエリクサーが60本ほど作れるので、10時間近く経っているようだ。地下室だから時間の感覚がわからないが、今は昼くらいかな。
非常に疲れた感じのヘルメス様がやって来た。
「イチロウ様から頂いたエリクサーのおかげで、兄達や重体だった者たちが多数助かりました。なんとお礼を申し上げたら良いのか。いえ、まずは謝罪が必要ですね。調理場ではナイフを突きつけてしまいます、大変申し訳ありませんでした。」
なんか気持ち悪いくらいにヘルメス様が低姿勢になってる。罠か?それとも俺の価値はそこまで高いのか?
「ヘルメス様、深夜に忍び込んだ私が悪いのですから、謝罪の必要などありません。」
「とんでもありません。イチロウ様程の方ならもっと堂々と恩を売る方法もあった筈です。ですが、今回は目立ちたく無いと言うイチロウ様のお言葉に甘えさせて頂きます。どうかこの街の為に力を貸してください。ここに滞在して頂いている間は、私が身の回りのお世話をさせて頂きます。」
どうやらポーションと浪漫コンクリートの威力は相当高かったらしい。
「ヘルメス様、お気遣い有難うございます。ですが、私がここに居るとお屋敷の方に気が付かれ、問題になるのでは?」
「この部屋は、過去中央の争いで落ち延びた姫君を匿った時に作られました。それ以来、この部屋の存在は辺境伯家当主と管理をするその娘だけに教えられ、現在は父のトウシュダ・シューマッチョと私しか知りません。私の前に管理をしていた叔母は去年亡くなっています。他の者に知られることはありません。」
何気にこの部屋それなりに設備が整っている。風呂とトイレが別れている10畳位の1R、キッチンは無いが生活に必要な物は一通り揃っている。窓は無いが作られた経緯を考えれば、セキュリティ的に仕方が無かったのだろう。
「わかりました。しばらくはここに滞在させて頂きます。ところでヘルメス様、必要なポーションの種類と数はどの位になりましまか?」
「はい。まだ怪我人の全てを把握できているわけでは無いのですが、四肢欠損などエリクサーが必要と思われるのが約400名、上級ポーションが必要な者が約3500名。中級ポーションが必要な者が約1万名となります。人口が2万人の街なので、ここから大幅に増えることは無いと思います。」
改めて聞くとすごい被害だ。街はほぼ全壊で住人の半数以上が結構な怪我を負っている。それを俺一人で大部分を解決してしまうんだから感謝してもしきれないのは理解できる。
俺としても踏ん反り返って特別待遇を求めたいところだ。
原因が俺の召喚した魔王共でなければ。
「では、まずはエリクサーを500個お渡しします。」
俺がゾロゾロとエリクサーを床に並べて行くのを見て、一瞬ヘルメス様が固まったが、すぐに復活してエリクサーを回収してゆく。
「次に上級ポーションをとりあえず1000個お渡しします。」
さらにゾロゾロと上級ポーションを床に並べていく。それを黙々と回収してゆくヘルメス様。無限に収納できる便利道具でも持ってるのかな。
「イチロウ様、有難うございます!これだけあれば致命傷を負ったものが全員助かります!」
ポーションの回収を終えたヘルメス様がそう言い残し、勢いよく部屋を飛び出していく。
ヘルメスさんや、飯はまだかいのぅ。