情報 思想侵攻の世界
思想侵攻の世界は形を持たない精神体が彷徨う世界です。
私たちの制作者は時折、鳥になりたい虫になりたい魚になりたいと感じたことがあるそうで、ここはそれができる世界であることは間違いないでしょう。
この世界では信仰や崇拝などが人々の強い支えとなっており、多くの宗教が混在しており各々それにちなんだお祭りが開催されていたようです。
この世界が姿を変えた日も何かしらの宗派のお祭り期間だったようです。
都市部には大規模な神殿の建築と通路を模した魔法陣が描かれており、この世界の人類は何らかの儀式を終えて人は肉体を捨てたようです。
範囲が都市部だけだったのか、国全体を巻き込もうとしたのか、本当にただのお祭りで魔法陣が発動するとは思っていなかったのか不明ですが、全ての者が儀式に周知や同意をしていなかったようで、周囲の町では儀式で起こった当時の様子を記録媒体で不信や不安の声とともに残しておりました。
記録媒体によると儀式は成功したようで、その日のうちに肉体を捨てたものたちが白い霊体となり徘徊する様子が確認できました。
肉体を捨てたことで痛み、飢え、病、老いを捨て去り一時的な不老不死を手に入れたようです。
しかし、布教か宗教戦争か何が原因かはわかりませんが、肉体を捨てた精神体が国を出て他国への侵攻を開始したようです。
偶然拾った記録媒体の中に私のように何が起きたのかを調べに来た他国の使者が仲間とともに簡易的な説明、実態らとの戦闘、敗北の流れまでを記録へと残しており回収することで知ることができました。
その際、彼らは多宗派に関する角の生えた大きな人型や動物を模した霊体を呼び出す召喚術、土や木を思うがままに動かし使役する付与術、錫杖や拳に特別な力を宿し金属の塊を破砕する気功術など興味深い品々を持っていましたが発見時にはそれらの品々や媒体は破損と風化し回収したとしても復元は不可能と判断しました。
おそらくはこの時に精神体たちは他の国々へと仲間を増やすために流れて行っており、他国で精神体を増やしていった模様。
どこの国も頭を悩ませていた様子でしたが記録媒体は古く現在はどうなっているかわからないです。
周囲を調査したところ元凶と思われる各都市部を中心に周辺の町へと広がっていき、この世界は抜け殻が転がる世界へと変貌してしまったようです。
都市部でのより詳細な儀式方法などを調べようとしたところ、何かが干渉しドローンは操縦不能で墜落してしまいました。
原因が特定できず支援ができないことと箱舟が周囲に降りて不具合を起こす可能性があるため、戦闘行為は都市部から離れた場所を選定しました。
精神体への接触記録では終始と囁くような声で何かを言っており、音声解析で聞き取れた部分は「キュウサイ」と呟いておりました。
救済というのは他者に自身の正義を押し付けるには聞こえのいい言葉です。
箱舟で行ける並行世界、この別の異世界で彼らは何を呼び出したのでしょうか。
白い影
白い影は人型をした揺らぐ靄です。
複数体が薄まることで周囲の空間に霧のような靄を作り出し、密度が濃くなると人型の形を作るようです。
人の形を取っている無機質な入れ物に入ることができ、人形や案山子、マネキンや地蔵といったものがかりの肉体を得て物理的な干渉を行っていたみたいです。
散らすことはできても完全に消滅させることはできないようです。
戦闘記録を見返した結果、周囲の気温を下げると同時に触れたものの意志を負の方角へと引っ張る力を持っているようです。
赤い人型
人型を模した赤錆色の塊は錆びた金属の様です。
人のいなくなった町の至るところに配置され一度市街地へと入ると、通路のどの方角を見ても最低でも一つは目につく位置にあります。
調査の結果製造所のような物を発見することはできず製造方法が不明ですが形としては鋳造構造に近く成分は何層かに別れています。
外側から金属、粘土、人由来の何かで出来ています。
中心部は空洞でそこは風が吹いていなくても内側から音が漏れてきていました。
銀色の像
銀色の像は何か特別なものの様で個体数は少なく事前の調査でも四体しか見つけることができませんでした。
体に幾何学模様が刻まれ古い土器や工芸品のような印象を受けます。
赤錆色の像と同じく工場や工房の類を見つけられず製造方法が不明で同じく何層もの構造でできています。
人の様で人でない形状をしている理由は調査ではわかりませんでした。
この世界で宗教が流行っていたことを考えますと別宗派の神の像ということも考えられますが、詳しい資料も見つからず自ら動くという性質もあり、もともとがどこに居たものなのかも不明。
戦闘時の記録を確認した結果、その顔に空いた目や口に当たる空洞を見たものは不信感を抱くものにダメージを、無警戒なものに対し何らかの方法で心を惑わせる精神汚染をするようです。
都市部ではさらに大きな人型像を数体確認しましたが近寄ることはできず詳細は不明でした。




