↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
2章 --時計針止まるアークエンジェル--
81/173

与えられた試練 3

 近接武器の数に限りがあるが怪物に向かって複数人で一斉に詰め寄る。

 怪物は目を瞑っていて、ベニユキたちは固まり集団でいるため嗅覚だけでバットや剣を持っている個人を特定することはできていない。

 ただ、全員が逃げ回るのではなく詰め寄ってきたことに怪物は身の危険を感じ後退りをした。


「行くぞ!」


 反対側からも何人かがバットを持って飛び掛かる。

 迫ってきたのを感知し怪物は高く跳躍しエレベーターのそばへと降りた。


「逃げた」

「追え追え!」


 尾を振って座席を飛ばし、長い腕を振り回して接近を拒む。

 それでもバットの威力で腕を弾く。

 ベニユキは全力でバットを振り被って怪物の頭を殴る。

 咄嗟に頭を傾け脳天ではなかったが上顎にダメージを与え怪物の血が飛び散った。


「避けるのかよ、怪物!」


 負傷しながらも怪物は顎を開きバットを振り下ろし逃げようとするベニユキに噛みつこうとする。

 後ろからグリフィンが現れアンバーから受け取った剣を振り下ろす。

 片目に刀身が当たり白い湯気が立つさすかの高熱も固い頭蓋骨に当たると切れ味が悪くなり、深い傷を負ってそれでも怪物は噛みつこうと口を開く。

 ベニユキの前に出たグリフィン剣を持つ腕が、噛まれ強く首を振って食いちぎられ体が後ろに吹き飛ばされる。


「これでもダメか」

「あの頭、並々ならない硬さだ」


 剣は怪物の足元に落ちそれを踏みつけへし折り、グリフィンはもがれた腕を押さえて後ろに下がった。

 ベニユキはバットを構えて怪物と向き合う。

 片目を焼いた剣が頭から落ちるとすぐに傷は塞がりはじめ、殴られ歪んが顎も歪さを残すが戻り始めている。

 そして痛みなどなかったかのようにベニユキへと向き直りグリフィンの血を滴らせた牙をむく。


「もう治るのか、どういう生命力してるんだよ!?」


 そして前に出される前足でベニユキは後方に吹き飛ばされる。

 背後から飛び掛かったテオの攻撃も尻尾であしらい、激しく暴れだした怪物からそばまで寄っていた皆が距離を取り様子をうかがう。

 それでも接近戦を挑んだ者に当たらないように狙いをつけて銃撃は続いているが硬い鱗は銃弾を弾き続けている。

 吹き飛ばされ体のあちこちをぶつけたベニユキが痛みに耐えながら起き上がる前に怪物がとどめを刺しに迫ってきていて慌ててバットを向けて迎え撃つ用意をした。


「くそ。傷をつけてもすぐに治りやがる、どうやったらこいつを倒せるんだ」


 怪物に刺さっていた剣もすべて抜け怪物は傷跡が残るもののダメージは回復し少しも弱った様子はない。

 怪物はいまだなお目を瞑ったままだが真っすぐベニユキの方を向いていた。


「この武器の脅威は体で覚えたか」


 伸ばした両腕で羽虫を叩く様にベニユキをはさみ込もうとしベニユキは片腕を弾いて潰されるのを避ける。

 しかし弾かなかったもう片方の腕に殴り飛ばされ、さらにベニユキは吹き飛ばされ体を強く打つ。


「たっ助けます!」

「早くこっち向いてる! 急いでエレオノーラ!」


 エレオノーラとガーネットが駆け付け、ベニユキの手を引いてブラットフォードたちの方へと引っ張っていく。

 怪物は再度バットを持って飛び掛かるテオを警戒していて、ベニユキを追いかけなかった。

 負傷したベニユキを救出すると同じころ、閉じた扉の一つが扉の向こう側から叩かれ強引に開く。


「今度は何……」


 テンメイが泣き出しそうな声をだし銃を向ける。

 力尽くでこじ開けられた扉を見ていると、ホールに新たに入ってきたのは四つ足の機械。

 見覚えのある平たい鉄板の下に四本の足を動かすための装置がむき出しでついている機械。


「オートマトン!」


 その荷台には重機関銃が取り付けられている。

 オートマトンを見て近くにいた何人かがオートマトンへと向かう。

 何人かは重機関銃を目指して、何人かはこじ開けられた扉から外に出る出口を目指して走った。

 ホールへと入ってきたオートマトンは向かって来たアインたちの前で足を折りたたむ。


「こいつは弾いてくれたりしないよなぁ!」


 荷台の上にアインが乗り込み重機関銃を怪物へとむける。

 そして引き金を引き連続した重たい音がホールに響く。


『まったく、ミカは甘い』

『勝っていただかないことには意味がありません。ガブはずっとこのようなことを?』


『私の期待する成長法は強い敵を倒すこと。武器など無くても知恵を絞れば倒せるはずなの』

『道具は必要です、戦うための力。石や』


『しかし道具の力でごり押したところで彼らの成長にはつながらない』

『死んでしまったら何も生かせないんですよ、ガブ』


 エレベーターの上にはガブの隣にミカのホログラムも現れ並んで怪物を見る。

 重機関銃の弾は固い鱗を削り肉を裂く。

 それでも頭蓋骨を割ることはできずにその弾すら弾き返し狙いを胴体へと変え手足を攻撃する。

 突如現れた脅威を最優先で潰すべくオートマトンへと走り出すが、バットを持ったテオとふらふらのベニユキが立ちふさがった。


 怪物は目を開き小さな障害に目掛けて両腕を振り回すが、テオが振り下ろされた腕を弾いてバランスを崩させベニユキがもう一本の腕をかいくぐり腹部へとバットを叩き込む。

 怪物はよろけそこに休みなく重機関銃の弾が食い込んでいく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。