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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
2章 --時計針止まるアークエンジェル--
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沈黙の楼閣 2

 グリフィンたちとともに赤い霧から距離を取り近くの部屋の中へと入る。

 ベニユキは別の場所を調べていたグリフィンたちに話を聞く。


「あの霧の中を潜って戻るのは危険か」

「襲ってきている怪物の姿が見えないからな。何人かの犠牲を覚悟すればたどり着けるかもしれないな」


「それはできないだろ、霧の中に何かがいるんだろ?」

「ああ、ここから見える範囲は霧の濃度が薄いが奥に行くにつれこくなっていく。中にいる怪物は当たる直前何かの爪のような物しか見えなかった。しかし怪物が出てくるとは思わなかったな」


「ああ、ここには人が居るって聞いていたのに」

「でもおかげで加減なしで戦える」


「武器が必要だけどな」

「参ったな部屋の前に霧が出ていると帰ることもできなくなるな」


「なら意地でもこの霧をなんとかしないとか」

「外から適当に撃って死んでくれるといいんだがな」


 ブラットフォードとエレオノーラが怪我人の治療を済ませて戻ってくる。


「戻ってきました。ブラットフォードさんが手伝ってくれて早く処置が出来ました」

「応急処置くらいなら私もできる、一応は医療関係者だったからな」


「そうだったんですね!」

「しかし、エレオノーラさんは手際がいいな」


「ここではすぐ怪我をしますから、急いで処置もできるようになりました」

「武器より救急箱の方が似合っているな」


「私も武器よりこっちの方を持っていたいです」


 外を警戒していたマルティンが叫んだ。


「大変だ、霧がこっちに流れてきてる!」


 報告を聞いて皆が武器を持ち立ち上がった。

 包帯や絆創膏の張られた負傷者たちも立ち上がり武器を持って戦う準備をする。


「霧が部屋に流れて来たら逃げられなくなるな、その前に移動しよう」

「さて、では戦うしかないようだ。おそらくあの霧は意志を持って移動可能だろう、逃げてもおって来るぞ」


「弱点はあるのか?」

「さぁな、霧の中の怪物を倒せば何とかなるのではないかと思っている。ダメなら引くだけだ」


 霧が部屋にたどり着く前に全員が部屋を出て霧に向けて銃を向けた。

 敵の姿は見えないがグリフィンの合図で乱射する。

 弾丸は霧の中へと消えて行くが手ごたえはなく撃ち続けている間もゆっくりとベニユキたちの方へと向かって流れてきていた。


「これ、意味あるのか!?」

「中にいる怪物は大きさどんなもんなんだろう。適当に撃って当たる大きさなのかな」


 迫ってきていた霧が散り始める。


「押し返した!」

「残弾すべて撃ち切るつもりで撃て! この先の部屋で弾も武器も補充できる」


 弾倉を変えると皆で霧へと向かって歩み寄りさらに撃ち込む。

 霧は急速に散り始め霧がなくなった場所には床や壁に切り傷や何かの青い体液だけが残っていた。


「怪物自体は倒し損ねたようだ」

「でも部屋に戻れるのは大きい、今のうちに」


「そうだな、戻ってくる前にいそごう」


 箱舟の出入り口が隠れている部屋の扉を開く。

 広い部屋の中には複数機のオートマトン。

 部屋の四方にはオートマトンの残骸と何かの怪物の死骸。


「ここも攻められてたか」

「何の問題もなさそうだけどな」


 オートマトンが足を折りたたみ武器の乗ったコンテナを向ける。

 ベニユキたちはすぐにそのコンテナから新しい武器へと持ち換えた。


『すみません。どうやら自体が私の予測を超えているようです。何が起きているかは調査中です。皆様にはもう少しここで怪物たちと戦い脅威を排除し私の調査の手伝いをお願いします』

「手伝いって」


『ここは閉鎖された施設です。怪物の数には限りがあります。数は多く無いはずです、数を減らせばそれだけ調査が早く進みます、出来れは私の目的の部屋を探してほしいのです』

「全部倒せと言うが、ここにある武器で倒せるのか?」


『できないことは無いはずです。この建物が大きくても施設に引き込む怪物には一定の制限を設けていたはず、今ある銃で怪物の対処はできるでしょう』

「弾丸が弱点に当たればとか言うんだろ」


 ミカからの返事はなく武器を持ち換えた皆は部屋を出る準備を始める。


「さぁ、探索へと戻ろうか。気が進まないが」

「怪我人が出るが今までの世界より怪物の密度が少ない。戦いやすいと言えば戦いやすいな」


「だけど、怪物は生き物じゃないまた変なやつだ。どう戦えばいいかわからないぞ」

「強力な銃を手にした、あとは撃って弱点を探るだけだ。どんな見た目であれ強力な威力を持っていれば力押しで倒せる」


「言うのは簡単だが、実行するのは難しいな」

「相手は群れていない。大勢で囲めば何とかなるだろう、我々は強力な武器を持っているのだからな」


「グリフィンのその自信はどこから出てくるんだか」

「あの赤い霧には報復をしないと気が済まないからな」


 ベニユキたちは武器を手にして部屋を出た。

 皆手には白い機関銃や黒い機関銃、散弾銃や狙撃銃を手にし大きな銃を扱えないと思ったエレオノーラたちはバットや剣を手にする。


「できればもう怪物には合いたくないです」

「そうだな、でも武装しておいて悪いことじゃない。ただ重たいな、長時間持ち続けるのは辛い」


「なら早く済ませましょう。けが人も少ないですしキュリルさんたちみんなで一緒にお風呂の約束したんです。今日は入れるといいな」

「ああ、怪我人を少なく済まそう」

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