表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
2章 --時計針止まるアークエンジェル--
71/173

錆びた箱庭 2

 

 エレオノーラがアンバーとガーネットを待って礼拝所へと向かう。

 すでにマルティンやグリフィンなど皆が集まっていて長椅子に座っていた。

 いつもと同じ光景だったが舞台の上にはミカがいて、舞台の前には武器が並んでいる。


「なんだ、今日はなんか雰囲気が違うな」

「すでに武器が出ています?」


 いつもの様に最後に礼拝所にアンバーの手を引くガーネットが入ってきた。

 いつもより強く手を引くガーネットに腕を掴まれるアンバーは引っ張られて少し痛がりながら自由がなく困惑していた。


「手を引っ張るのちょっと強いのだけどガーネット?」

「いいから、私について来て私から離れないで」


「どうして少し怒っているんだい? やぁ、ベニユキ君エレオノーラ君おはよう。今日も戦うのか、私はこの施設の外を見て歩くの嫌いではないけど。まぁ人が死ぬのは見たくないが」

「今日は一緒に生き残るからね」


「どういうことだい?」

「いい?」


 彼女たちが礼拝所に入ってくるといつものようにすべての出入り口の扉が閉まる。

 扉が閉まると話し声はやみ皆が舞台の上に立つミカを見あげ、ベニユキたちが席に着く前にミカは話を始めだす。


『おはようございます、皆さんそろいましたね。本日は今までとは違う話をします。皆様に戦闘を行ってもらうことに変わりはないのですが、本日は世界に降りません』


 いつもと違い、明かりを消さないままミカは話を続けた。


『本日は他の箱舟への搭乗をお願いします。相手はおそらく武装するでしょう、血が流れます。本日は怪物との戦いはなく、人と人との戦いになるでしょう。残念ながら避けられません』


 左右にある大扉から機関砲を乗せたオートマトンが現れる。

 山で金属の像のような怪物と戦ったときに使った重機関銃。

 その背には複数のドローンが待機していた。


『小さく必要な設備だけを兼ね備えたこの箱舟3号と違い、調べたところ向こうの箱舟のサイズは現在の3号の三十七倍の広さを持っています。皆さんの間隔で言うとお城と同じ規模と考えてくれていいです。その広さに驚くこともありましょうが今回の目的は』


 そこで彼女は一度言葉を区切る。


『目的は待ち構える障害の排除とします。私は管理AIを止め向こうの箱舟を止めます。突然のことで申し訳ございません、ですが質問は無しでお願いします。それでは皆さん準備をお願いします』


 頭を大きく下げてミカは消え、ベニユキたちは武装を取りに前に集まり銃を手に取った。


「武器が増えているな?」


 アンバーが銃を手に取りベニユキに尋ねる。

 明るいオレンジのマーカーが引かれた暗い赤色の銃。


「外の世界から物を持ち帰ると武器が増えるんだ」

「ほぉ、私たちは他世界の技術を持ち帰っているのか」


「て言っても、銃なんか形が違うだけで仕組みは皆同じだろ?」

「なのかな? 私はよくわからないけどその形をしているにはそれなりの理由があると思うんだけどね」


 昨日までなかった銃のほかにブラットフォードの腕を切り落とした剣もバットと一緒に立てかけられているのを見つける。

 ふと横を見れば別の武器コンテナでキュリルがそれを手にしていた。


「人と戦うんですね……」


 エレオノーラが暗い顔をしながら銃を選ぶ。

 ベニユキたちのいる武器の乗ったコンテナの横、舞台前の両端にロッカーのような物が並んでいる。


「あれはなんだ? 昨日はなかった」

「見てみようか」


 ベニユキたちはロッカーへと歩む。

 薄い金属の扉を開けると中には服のような物やプロテクターのような物が並べられていた。


「何だこれ」

「防弾チョッキか?」


 固く厚い素材で作られた明るいオレンジ色のポケットの多いジャケット。

 見た目に反して軽く、持ち上げたベニユキが驚く。


「強化プラスチックのような何かか、強度が気になるところだけども何より……。色が目立つな、他の色に替えられなかったのか?」


 ブラットフォードがベニユキの後ろから顔をのぞかせる。


「本当にどうしてこんな色なんだ……と思ったけど。あの世界は地下だったな。国同士の戦いとか無くこれは警備員用とか?」

「かもな、それならこの色にもなっとくか」


「無いよりはましだろうけど、つけると目立つ。なんとも悩ましい」


 グリフィンやマルティンも蛍光色の防弾チョッキとプロテクターを見て悩む。


「今日は人と戦うんだろ、こんな色狙ってくれっていうようなもんだろ」

「参ったな、つけるか判断に困る二択だ」


 そんな二人にベニユキが尋ねる。


「二人は人と戦うのに怖くないのか?」


 マルティンは俯き、グリフィンは肩をすくめた。


「怖いさ、でも無理にでも戦わされる。死なないように立ちまわる、怪物と違って引き値を引くのに躊躇が出るかもしれないけども」

「俺は人と戦うのがここに来る前の仕事だからな。前と同じことをするだけだ、ただ相手の武器がどんなものかわからない以上不安ではあるが」


 グリフィンは隣に立つキュリルとテオの手にある剣を見た。

 別の世界の技術で作られた武器、仕組みや形状は似ているものはあれどそれと戦うとなるとその使い方を知らないといけない。

 襲撃者たちに赤く光る剣を持って追われた前回の世界での撤退時のことを思い出す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ