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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
2章 --時計針止まるアークエンジェル--
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合間のブレイクタイム 1

 撒きあがる鎖の音が響く中、エレベーターの真ん中にミカのホログラムが現れ頭を下げる。


『本日もお疲れ様でした。……上でお待ちしています』


 返事はなく疲労からその場にいる全員がうなだれたまま礼拝所へと上がるのを待つ。

 エレオノーラとガーネットに運ばれ気を失っていたアンバーが目を覚ます。


「……ここは?」


 目が覚めると同時に流れ出た鼻血に驚くもののすぐにそばにいた二人が顔をのぞかせる。


「よかった目が覚めた、大丈夫アンバー? あ、鼻血出てる」

「何度も気を失うから心配しました。戦闘は終わり今箱舟へと戻っているところです、気分が悪いなら部屋まで支えますよ。休めば気分が良くなるはずです」


「そう、戦闘は終わったか。いや大丈夫だ」


「気を失う前になんかいろいろアンバーは変なことを言ってたね?」

「何だったんだろうね。ずっとふわふわした感覚だった私はまるで悪い夢でも見せられていたような、私が私でないような何かに体を動かされていたような」


「深く考えすぎない方がいいです、戦って勝って戻っているそれでいいじゃないですか。これからも続くんです、あまり考えこんでしまうと……テンメイは大丈夫ですか」


 エレオノーラがテンメイを探しマルティンたちとともに座り込んでいる彼女を見つける。


「思い出したかのように心配するね、忘れられてた? ……平気かどうか知らないけど、今は取り乱してないよ」

「よかった」


「夢に出そう、あれは今までの何かとは……何か言えないけど違う気がする」

「お化けみたいでしたね、怖くないよう手をつないで寝られれば良かったんですけどね」


「流石に子供じゃないんだから出来てもしないよ……うん」


 柔らかい青白い光で照らされた空間へと戻ってくると、エレベーターから降り武器を長椅子の上に置き水と携帯食料を取って席に着く。

 皆が舞台から降りると皆がさっきまでいた場所にミカが現れた。


『皆様の要望を叶え、休憩所とお風呂をご用意しました。どうぞ、疲れを洗い流していってくださいませ。それと今回集める金属で次皆様が目覚めるときには軽い食事がとれる場所をご用意できていればと思っています』


 そういうと今まで開かなかった礼拝所左右の大きな扉が独りでに開く。

 扉の先は広い通路、建築様式も変わらず礼拝所の入った教会が広がったかの様。

 バチンと音を立てて明かりがつき通路に白い明かりがさす。


「外に続く出口はないんだろうな」

「お風呂……お風呂……」


 ふらふらとキュリルやテンメイたちが新たにできた空間へと向かい礼拝所を出ていく。

 戦闘で負傷したアインやウーノンたちは自室へと戻っていき、グリフィンやマルティンは新たにできた空間を見に食事を終えてから立ち上がる。


「ベニユキ君も来ないかい?」

「ああ、行くよ。エレオノーラたちはこのまま休むのか?」


「お風呂入りたいです、食べ終わったら探しに行きます」


 食事を続けるエレオノーラたちと別れベニユキらは礼拝所から出ていく。

 礼拝所を出てすぐに施設があるわけではないようで、緩やかにカーブした広く長い通路が続いている。


「さて、どこに続いているのか。カーブを描いているから元の場所に戻ってこそうだな?」

「通路しかないな、部屋はどこだ?」


 通路の途中には開かない扉がいくつかありその奥に浴場があった。

 男女がわかるように青と赤の暖簾がかかっている。


「あったぞ、風呂。この通路カーブしてるから反対側からもこれそうだな」

「向こうに階段があるな、金網で閉ざされているが」


 グリフィンとマルティンが暖簾をくぐって中に入っていこうとするがベニユキは一人そのまま通路を進んでいこうとしていた。


「来ないのか?」

「俺は休憩室も気になるから少し見てくる先行っててくれ」


 軽く手を振って別れベニユキは浴場を通り過ぎ通路を歩き続ける。

 金網で閉ざされた階段の奥から機械の動く音が聞こえベニユキは足を止めた。


『その先は武器とオートマトンの製造工場です。それ以外の清掃用のドローンもこの先で製造、保管しています』


 振り返ればミカが立っておりベニユキの横を通り過ぎて光の粒子となって金網を通り過ぎていく。


「オートマトンはここから出て行っていたのか」

『いえ、ここ以外にもドローン用の通路はあります。この道に大型の機械を歩かせるのは邪魔でしょう。この道は小型ドローン専用の通路です』


「明日はどんなところに行かされるんだ」

『明日……次に皆様が目が覚めたときに向かう世界はただいま選定中です、やはり武力が足りていないと判断しました。次はより高性能な武器を探してきていただきたいです。では』


 金網の向こうで光が分散しミカは消えていく。


「あれ、ベニユキさん? どうしたんですこんなところで?」


 エレオノーラがアンバーとガーネットを連れて現れる。


「ベニユキさんたちと反対側の道から来たんですけど道繋がってるんですね」

「ああ、風呂はもう少し進んだ先だ。俺は少し見て回っていただけだ」


「今誰かいませんでした? 誰かと話していたような」

「ミカだよ、あのホログラム。この金網の先はドローン工場だって話してたんだ」


「今日はもう終わったんです、戦いのことは忘れてお風呂に行きましょ」

「俺も風呂に行くかな」


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