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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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飲み込む闇 4

 

 銃を撃つ人型の鳥の体を覆う羽毛はそれぞれ模様が異なり個性があるよう。

 しかしベニユキたち同様、怪物たちの持つ銃による攻撃は意味をなしていないようでヨヤミは何事もないかのように方向転換をおえて鳥の怪物たちの方向へと六買って進みだした。


 弾倉を取り換えることができないのか拾ったもので持ち合わせていないのか弾丸を打ち尽くした銃をヨヤミに向かって投げつけている。


「取るに足らないって、武器を扱える時点で人類には十分脅威に見えるんだが」

「武器の使い方を学習できても特別に頭がいい存在でもありませんから。原始的な人と同じだったはずです」


「ともあれ奴らの戦いから弱点が見つけられれば」

「そうなればいいのですが」


 ミカの説明中に銃を放つ怪物たちは、かん高い鳴き声のような物を上げ逃げ出すがヨヤミの広げる幕の中へと消えていくと時間を置かずに銃撃音が消え巨体ののたうつ音だけになった。


「みんな食べられちゃった」「何しに来たんだ?」

「おなかでもすいていたのではないでしょうか?」


「逆に食べられて……」「だからってあんなでかいのを食べようとするか?」

「人類も遠い昔、大きなマンモスなどを襲っていたのですよ?」


 ベニユキたちのことを覚えていないのか興味を失ったのか、ヨヤミはそのまま通路の奥へと向かって進み始めていく。

 どこからか地上に出る可能性もあるため最悪銃撃で気を引いてそれを防ぐため、巨体を見失わないように追いかける。


 逃げ出す際に壁や扉を怪物が破壊し壊したため通路は瓦礫も多くそれらの陰に隠れヨヤミを追う。


「どうする攻撃するか?」

「ひきつけたところで鬼ごっこが始まるだけだし、上に行こうとしたら止めればいいのでは?」


 動きは遅いが大きい分進む速度は速く、追われるの大変だったが追いかけKるのも一苦労でベニユキとマルティンがそんなことを話していると通路自体が気刻みに揺れ始めた。


 それは次第に大きくなっていき、皆がよろけて床に這いつくばる。

 施設のどこからか聞こえてくる巨大な生き物の唸り声のような音に皆が動きを止めて周囲を見渡す。


「何の音? 何の揺れ!」

「問題しか起きないな、今度はなんだ!?」


 テンメイとウーノンが辺りを見回し音の発生源を探した。

 その振動を感じてミカがつぶやく。


「ビーナスが動き出している? ビーナスを止めに向かったガブたちはこの箱舟内にいるはず、向こうも怪物に襲われた?」

「ルナ……他の部隊は大丈夫だろうか?」


「ディーバのせいで迂闊に連絡が取れない以上わかりません。私たちは……」

「わかってるよ、あのでかいのをなんとかするのが先なんだろ」


 施設内の灯りが急に明るくなり施設内にどこからか吹いてきた風が流れ始める。

 施設の破損個所で火花が散り、一部で火花の滝ができている。


「電源が復旧した……」

「するとどうなるんだ」


「怪物の管理室の開け閉めができるようになります。それと最悪異界へと向かうこともできます」

「移動されるのはまずいのか?」


「い、いいえ。この世界から消えるのならまだいいです、ヨヤミも地上に出ることはないですから。ですが、すべての怪物を解き放ちながら移動されるとこの世界が滅びることはなくともダメージは大きくなっていくでしょう。それに破壊しておかないと戻ってくる可能性もゼロではないですから」


 施設全体が揺れる振動にヨヤミも何が起きているかわからず足を止めていた。


「ベニユキさん!」


 エレオノーラの声に振り返れば後方から先ほどヨヤミにのまれた人型の鳥と同じものが数人立っていた。

 囀るような鳴き声を上げ仲間を呼んでいるようで、瓦礫に身を隠しヨヤミを観察していたベニユキらには気がついていない。


「さっきの……別れて行動していたか、撃て! 向こうも銃を持っている」

「うぅ、何も知らず連れてこられただけなのにかわいそうです」


「どうせ地上に出たら問答無用で殺される」


 ネシェルが武器を構え頭に狙いを定めていると引き金を引くより先に人型の鳥たちはヨヤミを見つけ手にした武器を構えて巨体へと向かって行く。


 構えていた武器をおろしてみんながどうせまた丸呑みにされて終わるだろうと思ってその様子を観察していると、黒い体に飛び掛かる鳥たちが黒い体に触れる。

 黒かった体の色がそこだけ藍色がかった色へと変わり、体液に濡れヨヤミの体と同じように黒く染まった怪物たちの手にした武器がヨヤミの肉に食い込む。

 その瞬間、巨体は殻の中へと吸い込まれるように消えていく。


「武器が通じたぞ?」

「みました。……体を覆う体液の様ですね。あれが体毛で拭われたことで一時的に攻撃が通じた、そういうふうに見えました」


「なら、あの巨体に雑巾がけして銃を撃ち込めば倒せるのか」

「核を見つけられれれば」


 殻の中へとすべての体が消えて行きそれを追い打つように殻へと向かった人型の鳥たちは、引いた波が返ってくるように勢いよく飛び出てきたヨヤミの黒い体の下に消える。


「チャンスは多くないみたいだね……」

「でも、これで攻撃が通じる方法はわかりました。危険ですが、この保管庫にいる怪物のリストの中で使えそうなものがあります」


 そういうとミカは周囲を見回し怪物が格納されている部屋の番号を読み始めた。

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