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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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飲み込む闇 3

 ヨヤミと毛むくじゃらの蛸の戦いから巻き込まれないように距離を置き、壁際に移動して話し合う。

 ちょうど、T字路にいたため曲がり角も近くにあったため、その角へと移動しようやく一呼吸おいて休むことができいったん武器を置いて水を飲む。


「それで、あいつをどうやって倒すの? 銃弾が効かないんだけど」

「体のどこかにある核を攻撃すれば、銃弾一発で済むんです」


 テンメイが皆に聞こえるように尋ねるとミカは即答した。


「それで、その核の場所はどこなの?」

「体のどこかとしか。調べる時間がなく、ディーバの存在に気を付け危険を冒しながら集めた情報なんです」


 黙っていたウーノンが口を開いた。


「どうして武器を変えたんだ? 昨日使った武器を使えば威力もあったしダメージを与えられたかもしれないのに」

「この間使っていた武器はこの世界の兵器には有効でしょう、皆さんの持っている武器はより強力でこのビーナスにいる怪物に有効なんです。威力も弱くはないはずです。ですがまさかヨヤミに通じないだなんて思っても……」


「それでどうするんだ。ここにあのエレベーターが呼べるなら新しい武器をよこしてくれないのか?」

「もう箱舟は来ません。すでに箱舟の機能は停止しているでしょう」


「ならこの武器だけで倒せと?」

「核さえ……」


 か細くなっていくミカの声。


「それはもういいよ」


 テンメイの一言でしゅんとした様子で口を閉ざすミカ。

 空気が悪くなるのを感じ話題をそらそうとベニユキが前に出て話す。


「あのヨヤミとかいう怪物と戦って何かわかったことは? 気がついた何かでもしかしたら対処できるかもしれないから」


 ベニユキが尋ねるとブラットフォードとエレオノーラとテンメイが答える。


「体に銃弾は通じない、殻は硬くて弾かれる」

「真っ黒で大きいです、名前通り夜の空みたいに星みたいのが光ってます」

「飲み込まれたら終わりで大きな鉄の塊でもぱくりと飲まれちゃう」


 銃を強く握るネシェルと水筒を取り出すホルテンが呟く。


「このへんな銃のビームもなんか吸い込まれるみたいに消えちゃった」

「さ、最悪、俺があの体をナイフで切り付けてみるっすか? 頑張りますんで、骨は拾ってください……」


 二人に続いてアンバーとガーネットが声を発する。


「爆発物を試していないんだろう? ひとまずみんなが持ってる手榴弾を投げ込んでみるってのはどうだい? 迂闊に近づくのは危険すぎる、大きいだけあって思っているより早い斬りつける前に轢き殺されてしまうよ」

「もっとここに封じられている怪物を解き放ってあの怪物を倒せるのを探すってのは?」


 腕を組んでウーノンやマルティンは黙り込みベニユキが答える。


「それ俺らも危険だよな、ここにいるのはみんな巨体ばかりだ。それにヨヤミと戦ってくれるとも限らないだろ、地上に逃げ出しらたヨヤミも一緒に外に出ちまう」


 話し合っていた間、角から二匹の怪物の戦闘を覗いていたコウエイとカノンが駆け足で戻ってくる。


「蛸が負けました」

「か、体の横から触手みたいの伸ばしてて。そ、その先端が触れた途端に痙攣して」


「今食べられ始めました」

「ど、どうしましょう」


「私の目でヨヤミの注意を引きます。その間に皆さんは回り込み弱点を探して下し亜」

「まてまて。それは危なくないか、まだどこに核があるのかわからないんだから。ミカに死なれたらグリフィンらもいないし統率がとれなくなる。今何とか集団行動が出来ているのは、ミカに従って戦えば勝てるって望みがあるからなんだからな」


「わかりました、慎重に核を探していきましょう」

「逃げながらな」


 そういうとヨヤミの注意をひきつけるため銃撃を始めながら逃げ始めるベニユキたち。

 すでにもう一匹の怪物の姿はなく周囲を何か探すようにきょろきょろとする真っ黒な怪物がそこにはいた。

 銃撃を受けその頭をベニユキたちへと向け動き出す。


「今までの世界でも僕たちって逃げてばっかりじゃないかい?」

「ただの人間が戦車でも勝てないような怪物に立ち向かっていったって仕方ないだろう。無謀を勇敢とは言わないってグリフィンも言うさ。虎視眈々と勝機を待つ」


 皆が走り出すと同時にベニユキたちに向かってくるヨヤミの背後通路の奥から聞こえてくる複数の破裂音。


「銃声?」


 複数の人影が銃を持ちヨヤミへと向かって攻撃していた。

 すぐに足を止め銃を撃つ者たちを見る。


「他の箱舟の人間か?」

「軍がここまで来たという線は薄いよね?」


 人間より一回りほど大きく体を覆う羽毛、顔には黒く大きな嘴があり、白目の無い大きな目がヨヤミを見て攻撃していた。


「人、じゃないね。なんだあれは?」

「梟みたいな顔してますね?」


 人型が持っているのは間違いなく銃で乾いた音が通路に響き、ヨヤミが身をよじり進行方向を変える。


「あいつらはどこから来た? 大きくないし上の階から降りて来たのか?」

「その可能性もあるね。ミカさん、あれはなんだ?」


 マルティンがミカに尋ねる。


「あれは社交性に優れた鳥類ですね。名前は何だったか……別段脅威度も高くはなく、とるに足らない存在で特に名付けてなかったかもしれません」


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