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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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ダンジョン 2

 いくつもの方向へと延びる廊下の一本をスピカ―を短い射撃で破壊しながら進み、上の階へと続くエレベーターには破壊の跡を見ながら奥へと進む。


「誰かこの建物の構造に詳しい人? アンバーとかここのこと知らないの?」

「私もしがないいち研究員だよ、期待されても困る。ここは周りに会った研究棟とは違い一般向けでないものを開発していた。職員のレベルも高く用もなくここには来れないんだよ」


「一般的じゃないってなに? 兵器みたいな?」

「少し違うねぇ。他惑星への移住計画さ、宇宙船、テラフォーミング、重力制御、空間跳躍、新エネルギーなどさ。まさか怪物から新技術を得ていたなんてねぇ」


「いろんな世界に行ける技術があってなんで宇宙なんかに?」

「そんなこと私も知らないよ」


 敵を警戒し進んでいたミカが立ち止まり、また何かしらの異形の怪物と出会ったのかと皆が武器を構える。


「大丈夫です、警戒させてしまい申し訳ございません敵ではありません。ここから地下へと向かいます」

「上に伸びてる建物なのに?」


 テンメイが尋ねるとミカは近くの壁にあったエレベーターの各階の案内表を指さす。


「上はオフィスやサーバールームなどで研究室は地下にあります」

「そりゃそうか、さっきの怪物の地面から出て来たし。というか結局ここにある箱舟を破壊するなら他のチームもここに来るんでしょ? ここで待ってて一緒に行動した方がいいんじゃないの?」


「ここで待っていても他の箱舟の兵隊は来ません。我々はビーナスの破壊ではなくヨヤミの討伐。目的が違うため……」

「でも入り口はここなんでしょ?」


「この世界の軍隊との戦闘で空爆を受けビーナスに大穴があいています。破壊個所その位置がわかっているため彼らは直接乗り込んでいます」

「え、まだ怪物がいるんでしょ安全な場所に降りるんじゃないの?」


「すでに怪物が逃げた後ですから」

「私たちこれからその逃げた後の場所に行くんだよね?」


 エレベーター乗り場の横にある各界の案内表には地下に研究施設を現す案内は無い。

 壁にかかる案内表を見て今度はグリフィンが尋ねた。


「地下は倉庫やリクリエーション施設しかないようだが?」

「異世界から連れてきた怪物を管理しているなどとは言えないでしょう。本来は存在しない区画にビーナスはあります」


「確かにな、怪物がいたなんて警備をしていた俺らも知らなかったわけだし見えるところにはないか」

「すでに多くの怪物は地上に上がっていますが何が出てくるかわかりません」


 エレベーターの扉は内側から破壊されており何かが出た跡があった。


「エレベーターは壊れているようだな。さっきの虫が這い出て来たのか?」

「狭い空間にみんなで入りたくないよ、襲われたら逃げられないじゃん」


 エレベーター乗り場から離れ少し進んだ先に大きな階段を見つける。

 階段の段差も何かが這いずった跡があり大きくすり減っていた。


「足元気を付けてください、滑りやすくなっています。手すりにつかまりゆっくり下ってください」

「こけたらみんなで階段を転げ落ちていくだけだよ」


 怪物もおらず狭くなった段差を踏み離さないように慎重に下っていく。


「ここで働いていた人は逃げられたのかね?」

「病院にはこのビルから逃げてきた患者の方はいませんでした。他のビルからは何名かいたのですけど……」


 階段の最下部に乗り捨てられたパワードスーツがあった。

 戦闘の後の様であちこちが破損しており動かせる状態ではない。


「テロリストが乗っていたやつだな」

「ここまで来たのか」

「むしろ彼らが怪物たちを開放したのでは?」


 最後に階段を下ってきたキュリルが自分が下ってきた階段を振り返り時間をかけた割に大した段差を下っていないことにため息をつき再び前を向いたときに壁からはがれた標識を見つけ呟いた。


「そこ、非常時の避難区画じゃない?」


 階段の横に非常時の際に逃げ込む緊急避難シェルターの表示。

 廊下に沿っていくつもの扉が並んでおり誰かの助けが来るまで閉ざされている。


「そのようだね、生存者はいるんだろうか」


 マルティンがどうするとベニユキに尋ねる。


「先に進みます。救助ではありません」


 皆が降りてきたのを確認しミカの一声でまた進みだす。


「避難区画の扉、開いていないかい?」


 通路の先に一つ避難区画の扉が解放されている個所を見つけた。

 正しくは破壊され無理やりこじ開けられた跡。


「この様子なら中の人は……全滅していそうだね」

「注意して進もう、中から何が飛び出してくるかわからない」

「部屋の中を見たくないなぁ、何がいてもひどいことになってそう」


 そんなことを話していると避難区画の中から人影が飛び出してきた。

 服装は白衣を着た研究員だったが、茶色くくすんだ肌、落ち窪んだ眼、その顔体は干からびておりミイラの様。

 ゴム人形のようにくねくねと動きく研究員ベニユキたちを見るが、誰が何かを言う前に射撃しこれを倒す。


「こいつ、箱舟に来る前に見たやつに似てたな……」


 ベニユキがルナとともに研究棟へと向かった先で出会った最初の怪物。

 銃撃を受けても何度か立ち上がろうとしていたがやがて痙攣するだけとなった。


「なにこれ、動くミイラ?」

「職員の様だけど? 普通じゃないね」


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