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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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混沌極まる世界 1

 ベニユキは目を覚まし睡眠カプセルから体を起こす。


「記憶は全部返されたんじゃなかったのか? 何だったんだ今日のは、いや、俺の記憶だったんだが」


 睡眠カプセルから出て周囲を見渡せはまたミカの箱舟ではない見覚えのない部屋。

 今までと違い机の上に用意されている服装はしっかりとした灰色と黒の戦闘服。

 防弾チョッキやヘルメットなども置かれていたが、身に着けると思ったより装備は軽く着心地も悪くはなかった。


「今までと違ったしっかりとした戦闘用の服だな。最後はこれで戦えってことか、見た目より軽くて本当に攻撃から身を守れるか不安だな」


 着替えるとベニユキは部屋の外へと出る。

 前回と同じでショーウインドウの様な壁には異界のものが並べられている箱舟は一番大きな管理AIガブの箱舟の中の様。

 いつもと同じように皆部屋から出てきて辺りを見回す。


「おはようございますベニユキさん。服、変わりましたね。特別感があります」

「おはようエレオノーラ。どうした、いつもより暗いな? どこか具合が悪いのか?」


「いいえ、そうじゃないんです。体はいつも通りにすごく軽くて気分も晴れているんですけど……。今日で戦いから解放されるんですね。でも、一つ気になっていることがあって、今日死んでしまったらどうなるんでしょう?」

「負けたら世界が滅ぶって言ってたもんな」


「違うんです、今日の戦いが終わったら私たちはどうなってしまうんでしょうと。最後の戦いということは次の戦いは無いですし、私たちもし死んでしまったら明日も目を覚ますことができるんでしょうか?」

「管理AIのミカに聞いてみないとわからないな、なら上に行くか。また階段を探さないとな」


「よく見たら少し昨日とは施設の形が変わってますよね」

「確かに昨日とどこか違うな、居心地のいいようにどこか改良でもしたんだろう。アンバーたちとマルティンたちが来た、一緒に行くかエレオノーラ?」


「はい、みんなで行きましょう」


 マルティンやウーノン、アンバーたちを合流し皆で階段を上がっていく。


「今までいろんなところで戦わされていたけど、僕らのいた世界を救うための練習だったんだね……はぁ」

「そうだな、なんでもない俺らに世界の命運がかかってるだなんてプレッシャーが大きいな。今になって体が重くなってきた」

「でも勝たなければ、私らもどうなるかわからないからねぇ……失敗しました次はありませんって」

「確実に勝てる万全の状態で挑みたいですよね、グリフィンさんみたいな戦いのプロの方の記憶をくれればいいのに。武器の使い方の知識だけくれるのならそれもできるはずですよね」


 階段を上がりホールへと出た。

 すり鉢状のホールの中央は一段高く部隊となっており、エレベーターのある大きなホールは改築され4基のエレベータが中央の部隊の横に置かれている。

 その舞台の上には管理AIたちが立っていて、皆の到着を待っていた。


『おはようございます。どうぞ皆さんが全員集まるまで席へ着いてお待ちください』


 ベニユキたちは席に着き皆が集まってくるのを待ち舞台の上の4名を見る。

 1人は箱舟同士の戦いの際にベニユキたちを待ち構えていた輪と羽根を持つ人型の異形。

 同じように他の三人も、人の体に角や何かが生えたりしている。


「舞台の上に立ってるのってホログラムじゃないよな?」

「人か? 管理AIの4人でいいんだよな?」


 複数あるホールの入口から続々と他の箱舟のメンバーたちも集まってきて席に座っていく。

 遅れてグリフィンら、ブラットフォードらも到着し席に着き舞台の上に立つ4名を見て同じような疑問を口にする。


「おはよう、記憶は返されたはずなのに元の世界の記憶の夢を見た今日の戦闘嫌な感じがするな」

「あそこにいる彼女らは管理AIでいいのかな。いつもと風貌が違うようだが? 彼女らも我々と同じ服を着ているな。戦闘に参加するということだろうか?」

「生身の人に見えるね。でもいろいろと体から出ている。あれは怪物の力を体に入れたのだろうか。寝返りとかうちにくそうで寝るとき不便そうだね」


 舞台の上の4名は落ち着かない様子でモジモジとしていたり、ぼーっと天井を見上げていたり、ホールに入ってくる皆を眺めていたり、自身の服装をしきりに直している。

 誰も彼女らに話しかける様子はなく、そのまま皆が集まるとホールの出入り口が閉じ明かりが消えていく。


『皆さんおはようございます。本日は最後の日、勝利を期待します』


 暗がりにホログラムが浮かび、その後ろに舞台に立っていた4名は下がるように移動する。


『それでは調査で集めた現在の状況を説明いたします。我々が戻る世界は現在、テロリストと交戦するために世界中の軍隊が上陸し戦争さながらの光景を作り出しています。各国の軍隊が入り乱れての戦闘。放っておいて相手が鎮圧されるならそれでいいのですが、残念ですがそうはなりませんでした』


 ホログラムは周囲に画面を浮かべ皆に見えるように大きく映す。

 移っている画面にはベニユキたちが行った、あるいはほかの箱舟が向かってであろう世界の情報が写っている。


『皆さんはご存じでしょうか事の始まりとなる世界統一をうたうというテロ集団を。元軍人だとか傭兵だとか言われていて、我々が調べあるいは彼らが戦うまで企業は本当の情報を隠していました』


 続いて映し出されたのは見覚えのある建物。

 ルナやここにいる大勢が務めていた企業の大きく天高く伸びる本社ビル。


『企業では多くの技術が研究されていました。医療、生活、軍事、娯楽これらに加え私たち管理AI、この箱舟も企業の隅で研究されていたものです。そしてこの箱舟は実験機でしたが、より前の並行世界潜航亜空間活動拠点に技術検証機ビーナスという施設が存在します』


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