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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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世界を蝕む者 3

 

 地上に上がり止まない雨に鬱陶しさを感じながら銃を構え、話ながら大通りを歩いていると進行方向先でビルの倒壊する音が響く。

 大型の怪物の地響きがベニユキたちの隠れている建物が揺れる。


「こっちの道であってるな、急ごう」

「グリフィンらが全滅していなければいいな」


「そしたら俺ら、今ある2つの対戦車兵器で戦うのか?」

「手榴弾もある」


「そこまで接近できるか? 相手はでかいのばかりじゃないんだぞ」

「その時は援護を任せる、何とかして俺が投げ込んでくるよ」


 背後からも建物が倒壊する音が響いた。


「なんだ?」

「建物が崩れる音!」


 振り返れば土煙と空を舞う飛行型の怪物の姿。

 土煙の中から数匹の騒音を鳴き散らかす怪物も姿を現す。


「大きいのは向こう? じゃあ今さっきの音はなんだ?」


 背後に現れた怪物たちを見ていると、ベニユキたちが進んでいた方向の少し先のビルが倒壊した。

 その崩れ巻きあがった土煙の奥に大きな影が見える。


「大きい奴二匹います! 挟まれました!」

「どういうこと、大きい奴は一匹じゃないっての?」


 取り巻きの怪物たちに見つからないように建物の中へと逃げ込む。

 建物の奥は明かりなく暗いためベニユキたちは入口に集まり現れた大きな怪物に引きの様子をうかがう。


「どうして二匹……」

「……いや、怪物は一匹とは言っていたなかったような」


 どうしようかとベニユキたちが悩みながら現れた二匹の怪物見ていると、チカッと一瞬片方の怪物の背中が紫色に光る。


「何か光ったな」

「地下と同じで発光機関を持っているんじゃないのか?」


 続いて二回光り、かすかに破裂音のような音が響く。

 すぐに対戦車兵器の六角形の柱から放たれるうす紫色の光だと気がつき皆に知らせる。


「戦っている! 後ろにいる向こうの怪物と誰か戦っている」

「グリフィンたちか! 合流しよう!」

「遠くもないし、こっちからも攻撃して呼び出そう」


 戦闘が行われていないもう一匹の方はそのまま離れて行こうとして合流するなら今しかないと建物を出る。

 大通りへと向かい同じく大通りへと進み出た怪物に向かい合う形で武器を構えた。


「攻撃するぞ!」

「武器を貸してくれ!」


 対戦車兵器を構え狙いをつけると背後を見て安全を確認し紫色の光の砲弾を放つ。

 他と戦い盾になる飛行型の怪物もおらず、大きな体に吸い込まれるように飛んでいって当たり破裂するような音が響く。


「攻撃するなら今か、一機に打ち込もう」

「ああ、だが今ので撃ち尽くした。エネルギーパックを取り換えるんだ」


「そうだった、コウエイ替えをわたしてくれないか?」


 弾倉を取り換えウーノンとベニユキは再度狙いをつけて放ち、一直線へと飛んでいき紫色の光が瞬く。

 巨体の足元をうろつく飛ばないタイプの怪物たちは羽根をすり合わせ騒音を立てるだけで襲ってくる気配はない。


「当たるな、邪魔もない。あの足元でうろうろしている奴らはこっちにも来ないな」

「見ろ、やつの足が!」


 攻撃を受け前足の一本が千切れ落ちる。


「効いているな」


 少し雨が強くなってきたが怪物の様子が確認でき、怪物の様子をウーノンと確認し撃てるだけ全てを撃ち尽くす。

 大きな怪物はベニユキたちに向かってくるどころか攻撃を嫌がるかのように進路を変え大通りを突っ切りビルの方へと進む。

 ベニユキたちとは違う方向から複数初の光の砲弾が飛んできて怪物の背中から灰色い煙が吹き出始める。


「煙が出てるな」


 対戦車兵器を撃ち尽くすとそれを肩にかけ銃へと持ち替えた。


「ベニユキさん後ろ!」


 ホルテンが叫び振り返ると攻撃をしなかった方の怪物がベニユキたちのいる方向へと向かってきていた。


「攻撃しながら逃げるぞ、向こうにいるグリフィンたちと合流する!」


 怪物を追い立てるように放たれる紫色の光が何度か光り、その光が放たれる方向へと走りだす。

 大型の怪物を追い後ろから大型の怪物に追われるような形だったが、少し強くなってきた雨で視界が悪くなったが戦っている人影が見えてきたことで皆諦めることなく走り続けた。


 人影たちは地を這う怪物たちと戦っていたがベニユキたちに気がつき何人かは攻撃の手を止め手を振りかえる。


「ユキ!!」


 人影のほうから聞こえてきたのは聞き馴染みのある女性の声。

 雨に濡れた特徴的な色の髪をかき分けベニユキたちの方へと走ってくる。


「ユキ! ユキなの!?」

「ルナか!?」


 ベニユキたちが攻撃した怪物はビルを壊して移動していて、それを追撃するように紫色の光が飛んでいき破裂音が響く。


「今までどこに、探したんだよ! 探したんだよユキ!」

「こっちこそ、怪物との戦闘はどうなった?」


「もうだいぶ追い詰めた、あいつは弱ってるよじきに倒せる。もうじき帰れる!」

「こっちはこっちで戦っていたとしたら、向こうは……そうだ、怪物が追ってきているここから離れないと」


 振り返ると雨で視界が悪くなったが飛沫の舞う白い壁の中を黒く大きな迫ってくる大きな影が見えた。


「やけに揺れると思ったら、向こうからも大きい怪物が来ています。攻撃準備!」


 ベニユキたちを追うように向かってきていた大型の怪物が別の方向から攻撃を受ける。


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