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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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破壊の足音 3

 大通り裏の路地は複雑で曲がりくねり障害物の多い細い道を、怪物たちはお互いが引っ掛かり合い建物を削り壊しながら進むために逃げていたベニユキたちは比較的に巻くことができた。

 搬入業者が店に品物を搬入する用の少しだけ狭い駐車場に出てくるところまで進むと、建物が壁となり大音量は多少小さくなり会話ができるようになる。


「俺たちしか狙われていない気がするが他の奴らは戦ってるのか?」

「こうも五月蠅いと、戦闘音が聞こえないからな。建物の崩れる音は聞こえてくるがな」


「それで最初の攻撃で倒せなかったがどうやって倒す気なんだ?」

「対戦車兵器の方はまだまだ替えはある、近づいて死ぬまで撃ち込むだけだ」


「近づけるのか、飛行型も数人がかりで兵隊怪物を一匹を倒すのもやっとだったぞ」

「他が戦っているかわからない以上、班を分けるかいつも通り誰かが目標にたどり着ければそれでいい」


「でも、一匹倒すのに手がかかるのに」

「幸い向こうは頭がよくない、今もこうして巻けただろう。数で畳みかけるタイプだ、いくらでもやりようはある」


 遠くで建物の崩れる音。


「さっきより近くに来てるな」

「急いで離れないと、ここも建物が崩れてくるな。はしゃぎ過ぎたな、ここにいても仕方がない移動するか」


 路地を見張っていたギルベルトが叫ぶ。


「怪物が抜けてきてる、向かってきた手を貸してくれ!」

「応戦する」


 数人が集まり路地の奥へと向かって射撃を開始。

 狭い通路怪物は回避することもせず、体の頑丈さを前面に押し出して真っすぐベニユキたちへと向かう。


「それではベニユキ君、我々は先に行く。君らも頃合いを見てここを離れなわい」

「こいつは倒さないのかよ」


「どうせ奥からワラワラ来る、むきになって戦い続けるなよ」


 そういうとグリフィンはアインやキュリルらを呼び彼らを連れて、搬入口からビルの中を通ってその場を去っていく。

 戦闘経験の多いグリフィンについて行くものが多く、マルティンやホルテン、ブラットフォードなど見慣れたメンバーが残った。

 慌ててエレオノーラがベニユキのもとへと駆け寄ってくる。


「バラバラで行動するんですか?」

「ああ、どっちかがあの大物に接近できればいいだろうって。俺らはここで囮を任されたんだろうな」


「そんな……みんなで力を合わせて戦うんじゃ」

「俺たちもここを離れよう、雨で体も冷えて来たし」


 やかましい音が再び大きくなってきたことからベニユキが声を張ろうと息を吸うと、どこからか叫び声が聞こえてくる。


「ベニユキ君こっちからも!」


 マルティンの叫びに振り返ると建物の内側を通ってきた怪物が壁を破壊し現れようとしていてテンメイとネシェルが慌ててその場から離れていた。


「ここから離れる、離れないようについて来てくれ!」


 新手の怪物の出現に撤退しようとベニユキが叫ぶと、皆その合図に敵に背を抜け走り出す。


「さっさと離れよう、逃げるが勝ちって言うしね」

「どこへ逃げるんです?」


 ウーノンが手榴弾を投げ時間を稼ぐ。

 後ろを気にしながら走るテンメイとエレオノーラが追ってくる怪物相手に銃を放つ。


「わからないけど囲まれないようにするしかない」


 路地を抜けようと移動しベニユキは皆が付いて来てるか確認する。


「壁を壊して進める相手に建物の中に籠城もできないし、この地形は不利じゃないかい?」

「武器は全く通じないわけでもないが数が多い、囲まれずいい具合に戦えれば数も減らしていける」


 戦わず走るキュリルが舌を打つ。


「他の箱舟の人間はどこ行ったのさ!」


 路地を抜け別の道路へと出る。

 この世界の戦闘部隊がいたようで広い道路の真ん中に虫の死骸と数台の戦車が、破壊され廃棄されていた。


「虫に食い散らかされた戦車がある」

「金属をボロボロにするんだもの、どうにもならない」


「どうにもならないのはいつもだったろ、でもどうにかしてきた。だから今回も的は倒せる。何人生き残れるかだ、今回はみんなで……くそっ!」


 大通りに出た瞬間に雑音に交じって重たい音が響いてくる。

 見上げれば飛行型の怪物が待ち伏せて迫ってきていて、ベニユキたちと並んで先頭を走っていたエレオノーラが長い足に引っ掻けられ連れ去られようとした。


「エレオノーラ!」


 そのまま通りを低空飛行で飛び去ろうとする怪物の背をベニユキに続いてウーノンとマルティンが銃を構え引き金を引く。

 怪物の足が長かったこともあり胴体を狙ったビームは羽根や足の付け根を攻撃し、その拍子で捕まれていた脚から離されガシャンと音を立てて彼女は自動車の屋根に堕ちる。

 攻撃を受け弱った怪物はエレオノーラを話したのち、ふらふらと飛行しビルの中へと突っ込んでいった。


「他に怪物はいないな、エレオノーラを助けに行く」

「そこのビルの上にいる!」


 狙撃銃を持つネシェルがビルの上から様子をうかがっていた飛行型を撃ち抜き、今度こそ敵がいなくなったことを確かめるとエレオノーラの無事を確かめるため皆が駆け寄る。


「大丈夫か!」

「痛いですけど、立てます走れます!」


 近くのビルが倒壊する音が聞こえろ奥の路地につながる道から土煙があふれ出てくる。


「もうじきここに来るぞ!」

「あの対戦車兵器を持っている奴の大半はグリフィンについて行っちまったぞ、ここにあるのは2つだ」


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