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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
4章 --光目指し加速する箱舟天使--
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試練 2

 管理AIたちの4つの声が1つに重なり広いホールに響く。


『本日世界に武装し降りたち行ってもらう戦闘の目的は目標の完全排除。今日の戦闘にこの箱舟のこの先の未来がかかっています』


 ホログラムの立つ中央のエレベーターが降下していき、中央に大穴が開き大穴の上に浮くホログラムたちは話を続ける。


『本日降り立つ世界は外界侵略の世界。人ならざるものが世界を支配し滅んだ世界です。あなた方本日相手にするのは一匹の王からなる無数の兵隊たち。真社会性生物の母体、この生き物の完全排除になります』


 皆に見えるよう拡大され空中に複数映し出される画面。


「珍しいな、エレベーターに乗る前に情報を公開してくれるだなんて」


 調査用のドローンからの撮影の様で画像はどれも俯瞰からで廃墟と化した町を移動する様子が映されており、怪物の群れはどこかを目指して進んでいた。


『繰り返しになりますが、この世界での戦闘結果次第であなたたちには数日程度、我々にとってのこの長い旅に終わりを告げるかがかかっています。世界を救うため何としてもこの作戦を成功させてください』


 怪物たちは色とりどりでてかてかとした輝きを持ち、岩のようにゴツゴツトした外骨格に包まれた節足動物のような生き物たちが映されている。

 その中におそらくは討伐対象となるひときわ大きく他を圧倒する存在感のあるものがいた。


「虫か、体が長いなエビか? ハハハ、怪獣だな」

「大きいですね、車の残骸から大雑把な大きさを推測するなら一番小さくて6メートル程度くらいですかね」


「甲殻類って硬いだろ、破壊力はあった方がいいか。対戦車兵器は手放せんな」

「にしても、私のお母さんが持ってたブローチみたいな色してますね、ギラギラしてて」


 複眼と左右に伸びた目が左右に揺れるのを写す画面を見ながらグリフィンやキュリルは呟き声で会話する。


「カブトガニと蟹とクワガタの混ざりものみたいだねぇ」

「カナブンみたいな色してる。はぁ、硬いと銃弾が弾かれる。また銃が効かない相手かぁ」


「見たところ動きは早くないようだけど、小さな戦車の大群と言ったところか」

「あのキラキラはちょっと綺麗かな、オパールみたい」


「玉虫など一部の虫は昔から宝石としての価値を持っていたからね。虫が好きなのは男の子だけじゃないのさ」

「そういえば、家に蝶の標本が飾ってあったね。見たことないものばかりの、子供の頃は虫が怖くて見れなかったけども」


「あれは蛾だよ、珍しい蛾」

「そうだったんだ……」


 ベニユキの背後に座るアンバーとガーネットの声。


『4基の箱舟合同戦闘。合同とは言っていますが、それぞれが別の位置へと降下し個別に行動しターゲットを倒してください。戦闘の評価などは我々はいたしません。敵を排除できるかできないかそれだけが重要です』


 いったん言葉が区切られホールに静寂が響く。


『ここまでで、何か質問はありますか?』


 数人が手を上げ、その中に交じって高く手を上げるエレオノーラ。

 ライトが点灯しスポットライトの様にエレオノーラが照らされる。


「いまする質問じゃないんですけどいいですか?」

『はいどうぞ。おそらくその質問は大事なものかと思われます』


 ミカの返事に一呼吸おいて彼女は口を開く。


「私、昨日死んだときの記憶があるんですけど……」


 一呼吸おいて返事が返ってくる。


『はい、いくつかの世界を渡った際に死亡時のことを記録できるようになりました。これにより戦闘経験を失うことは無くなり、他の人との記憶の齟齬を減らすことができます。耐えがたいような痛みや苦しみの記憶はこちらで消去していますので、あなた方には眠るように記憶が途中で途切れていることでしょう。それでは次』


 天井のライトが消え、別のものへとライトが照らされた。


「世界を救う。本当におらたちがする必要はあるんだろうか」

『あなたたちしかできないのです。今ここにいるあなたたちしか』


 下がり再びせりあがってくるエレベーターには武器を乗せたコンテナを積んだドローンの姿。

 ドローンはそれぞれの階段状の通路を移動し、それぞれ固まって座る集団の前に止まる。

 コンテナに並ぶは見慣れない武器の数々。

 他の箱舟のメンバーの元にも同じ武器が渡されており、武装は統一されているよう。


『ここもまで戦った皆様のことを称え信頼し、元の世界の世界の技術で作られた武将をお渡しします。それでは武装を整えエレベーターへとお集まりください』


 空中に投影されていた画面とミカたち管理AIのホログラムが消え施設の灯りが戻る。

 明るくなり足元が見えるようになると、集まっていた各箱舟の人間たちがそれぞれが席から立ち上がり武器の用意されたコンテナの前へと向かう。


「こんな武器があったのに、今まで私たちは渡されなかったの?」

「相変わらず初めて見るはずなのに、見ただけで使い方がわかるんだねぇ。学習装置とはまたすごいものだ」


「実際に使ってみないと体に合う合わないか変わってくるだろうけどね」


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